コロッセオの熱狂と、先鋒ルルのフルスイング
【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】
★毎日「朝7時」更新中!★
舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!
剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!
※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!
翌日。獣王国の王都にそびえ立つ、巨大な石造りの闘技場。
すり鉢状になった広大な観客席は、国の行く末を見届けるために集まった数万人の獣人たちの熱気と怒号で、ちぎれんばかりに揺れていた。
「見ろ! 穏健派の腑抜け共は逃げ出し、人間のガキと小娘を身代わりに立てやがったぞ!」
闘技場の中央で、過激派のトップである大虎の獣人がマイク代わりの魔導具で煽ると、観客席の半数を占める過激派の獣人たちから、ポンタたちへ猛烈なブーイングが降り注ぐ。
完全にアウェーの空気の中、厳格な顔つきをした鳥人の審判が進み出て、大声でルールを宣言した。
「これより、獣王国の命運を懸けた代表戦を開始する! 試合は5対5の団体戦! 先鋒から大将までの5番勝負とし、3勝した陣営の勝利とする! 武器・魔法の使用は一切自由! 決着は相手の『降参』『気絶』あるいは『場外』とする! ただし、殺しは厳禁だ!」
闘技場の巨大な魔導盤に、両陣営のオーダーが貼り出された。
過激派は、選りすぐりの屈強な獣人戦士たちが5名。
対するポンタ側の陣営は――先鋒ルル、次鋒エリス、中堅ミリーナ、副将ヒルデ、大将ポンタ。
「ぎゃはははっ! なんだあの小娘どもは! 俺一人で捻れそうだぜ!」
第一試合、先鋒戦。
闘技場の中央に進み出た小柄なルルを見て、過激派の先鋒である『猪の獣人』が腹を抱えて大爆笑した。彼は身の丈を優に超える巨大な戦斧を持ち、分厚い重装甲の鎧を纏った巨漢だった。
「はじめっ!!」
試合開始の銅鑼が鳴り響く。
猪の獣人は「ひき肉にしてやる!」と叫び、高い身体能力を活かした恐るべきスピードでルルへと突進してきた。
「っとと!」
だがルルは慌てることなく、靴に仕込んだ『圧縮魔力ブースター』を起動し、闘牛士のように軽々とその突進を躱す。
そしてすれ違いざまに、闘技場の床へ小さな機械をポロリと落とした。
カッ……!!
ドォォォンッ!!
直後、強烈な閃光と爆音が猪の獣人の背後で炸裂した。ルルのお手製『閃光音響弾』だ。
獣人は高い身体能力を持つ反面、五感が優れすぎている個体が多い。その分、光と爆音のダメージを人間の何倍もダイレクトに受けてしまうのだ。
「ぐおおおっ!? 目が、耳がぁっ……!!」
目を回し、ふらつく猪の獣人。だが、そこは過激派の精鋭。怒りで強引に態勢を立て直すと、血走った目でルルを睨みつけた。
「ええいっ! ちょこまかと逃げないで、正々堂々と勝負しろ!!」
「ふーん。別にいいけど、おじさん怪我しても知らないよー」
獣人の激しい煽りに対し、ルルは余裕の笑みを浮かべた。
そして、おもむろにアイテムボックスから『等身大の巨大なモンキーレンチ』を取り出す。
「おおおおおっ!!」
猪の獣人が渾身の力を込め、大地を砕くような猛スピードのチャージ(体当たり)と、戦斧の連撃を仕掛けてきた。
ルルは逃げない。真正面からレンチを構え、その重い一撃を迎え撃つ。
ガァァァァァンッッ!!!
闘技場に、凄まじい金属の衝突音が響き渡る。
「な、なんだと……っ!?」
巨漢の獣人が、驚愕に目を見開いた。
渾身のフルチャージを、小柄な人間の少女が一歩も下がる事なく、巨大なレンチで完全に受け止めていたのだ。
素早い立ち回りや、発明品を駆使した戦うスタイルゆえに忘れられがちだが、彼女はれっきとした『ドワーフ』の血を引いている。
その見た目に反して非常に規格外の腕力を秘めており、鉄の塊である等身大のモンキーレンチすら、おもちゃのようにブンブンと振り回せるのだ。
「ドワーフの血を舐めないでよね!」
「ば、馬鹿なっ、この小娘のどこにこんな力が……!」
「そんでもって、これがおまけ! ユニークスキル『機工の神髄』!!」
力比べで驚愕し、動きが止まった獣人に対し、ルルの瞳に幾何学的な魔法陣が浮かび上がる。
機械や装備品を含め、その構造を一瞬で分析・把握できる、技師であるルルにとって最高に相性のいいチートスキルだ。
ルルは猪の獣人が纏う重装甲の鎧の『構造』を瞬時に読み取ると、目にも止まらぬ魔力を走らせ、装甲の継ぎ目や重要な留め具だけを的確に外していく。
ガシャンッ! ガラガラガラッ!!
「……あ?」
次の瞬間、猪の獣人の鎧がバラバラに解体され、闘技場の床に崩れ落ちた。
闘技場の大観衆のど真ん中で、巨漢の獣人は『下着姿のあられもない姿』を晒してしまったのだ。
「な、俺の鎧が!? ひぃっ、見、見るな! 見るんじゃねえっ!!」
突然の羞恥と混乱で、顔を真っ赤にして股間を手で隠し、完全にフリーズする獣人。
その隙だらけの無防備な巨体に向けて、ルルは野球のバッターのように、巨大なレンチを大きく振りかぶった。
「首を洗ってー、出直して来なー!!」
カキィィィィィィンッッ!!!
快音と共に放たれた、恐るべき腕力から繰り出されるフルスイングの打撃。
下着姿の巨漢は、ライナー性の恐ろしく速い弾道で闘技場の宙を一直線に吹き飛び、そのまま場外の分厚い石壁に「ドゴォッ!」と激突して、深くめり込んだ。
「…………え?」
「「「「…………」」」」
壁にめり込んで白目を剥き、完全にピクピクと痙攣している過激派の先鋒。
さっきまでポンタたちを嘲笑していた何万人という観客たちは、あまりに一方的で規格外な戦闘を目の当たりにし、水を打ったように静まり返ってしまった。
「じょ、場外および戦闘不能! 勝者、先鋒ルル!!」
静寂の中、審判の震える声だけが響き渡る。
ルルは肩に巨大レンチを担ぎ直すと、控室で見守るポンタたちに向かって、満面の笑みでVサインを掲げるのだった。
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