mean.15
店を出て、駐車場まで歩く。
「いいんすか? 家まで送ってもらっちゃって」
「もちろん。俺の大切な史佳ですから。ちゃんと家まで送り届けますよ」
「あはは、信嗣さん、恥ずかしいじゃないっすか。やめてくださいよ、そんな言い方……」
「島村!!」
突然呼び止められた。
声の主は――寺西だ。
「はあ!? 寺西!? なにお前いきなり。どっから出てきた?」
激しく頭の中をかけめぐる寺西ストーカー疑惑。
まさかこいつ、このあと俺たちが食事した店でメシ食って、明日学校でその話をすんのか? そんなことまで真似すんのか!?
「そいつ……誰だよ……」
寺西が泣きそうな顔で俺たちを見た。
どうしよう。どうしよう。
姉ちゃんの彼氏と一緒に食事したなんつったら明日絶対同じネタを披露する気だ。
っていうかそれ以前に寺西に姉ちゃんっていたっけか?
いやいや、今はそんなことどうでもいいだろ。とにかくこれ以上真似されないようにしなくては。
だけど、このタイミングで寺西と遭遇するとは思っていなかったので、まだ寺西にどう伝えればいいのか、何も考えていなかった。
「えーっと、あんまり言いたくない……というか……。
あんまり俺がこの人と食事をしたこととか、そういう話を、明日みんなに言わないで欲しいというか……えーと……」
言葉を探り探り口に出していると、寺西が何かを察したらしく、ショックを受けたような顔をした。
「まさか……つきあってんのか……? そいつと……?」
え? なに? そういう方向の察し? たしかに最近は巷でそんな話もあるけどさ。
発想力アクロバットすぎんだろ。飛びすぎだ寺西。
「……俺は……島村はてっきり吉田サン狙いだと思ってて……」
うわっ! バレてる! 寺西の観察眼すげえヤバイ! 怖すぎ! ウソだろ? 俺、ぜっっったいに態度なんかに出してない自信あるけど! まさかこいつもエスパーなのか!?
「だから俺は……ずっと……。
でも……お前がそうなら……。俺だって……俺だって……! なんで俺じゃないんだよ! 俺にだってチャンスをくれよ!」
「おお~。男らしい~」
隣で信嗣さんが寺西に拍手を送っている。
俺だけ状況が飲み込めない。
は? チャンスってどういうことだ? 真似するチャンスってこと? それとも今日の店でメシ食うチャンスってこと?
「……信嗣さん? あの、これ……どういう状況なんすか?」
信嗣さんが寺西を指さした。
「彼が史佳の真似をしてた友人くんで間違いない?」
「あ、はい。そっす」
「なら、君のことが好きすぎて真似してたってことが証明されたね」
「……は?」
「告白されたみたいだけど、どうするの? 返事、今してあげる?」
「……は?」
告白……?
俺の頭は完全にフリーズした。




