mean.11
「俺が聞いたらマズい感じの話なんすか? 姉ちゃんから口止めされてるとか」
「違うよ、そういうのじゃなくて、俺が言いたくない話ってこと。
史帆に聞けば、すぐに教えてくれると思うけど……白状するとさ……。
……俺とつきあいたかったんだってさ、その子」
すごく大きなため息とともに、信嗣さんが重たそうに言葉を吐き出した。
俺にはその言葉の意味が理解できなくて、しばらく信嗣さんのことを見つめてしまった。
信嗣さんは疲れた笑みを浮かべると、俺に説明を補足してくれる。
「自分が史帆とそっくりになれば、俺とつきあえるって思っちゃったんだってさ、その子」
自嘲の笑みを浮かべ、信嗣さんは俺の視線から逃げるように目を伏せた。
「史佳の大切な姉ちゃんが、俺のせいで変なのに絡まれて……、気分悪いよな。
もし俺だったら、そんなやつが姉貴の彼氏なんて、ふざけんなって思うし……」
「そ……そんなことないっすよ。
俺、信嗣さんのこと全然怒ってないっす。だって、どう考えたってその真似してた人のほうが考えが異常じゃないですか。
そんなの気にしないでください。姉ちゃんみたいな変わり者と付き合えるのなんて、信嗣さんくらいなんで、ホント姉ちゃんと末永く仲良くしてやってください」
「ホントに? 史佳が史帆に別れろなんて言おうもんなら、俺なんて速攻で史帆に捨てられちゃうよ。
ホントのホントに俺と史帆が付き合ってるの、史佳は賛成してくれてる? 末永くって思ってくれてる?」
珍しく自信がなさそうな信嗣さんに、なんだか親近感を覚えた。信嗣さんでも弱気になることあるんだ。
「もちろんですよ。それより姉ちゃんだって、そのこと、完全にお見通しなんですよね?
なんか言ってました?」
「『貴重なデータが取れたわ』だってさ」
信嗣さんが姉ちゃんっぽい声の出し方で再現してくれた。
「うわ。超姉ちゃんだ。真似うまいっすね、さすが彼氏。
あ、でもせっかくなんで教えてもらってもいいですか?
俺が仲間に真似されてるって話を姉ちゃんに相談したら、姉ちゃんは真似するのは『好きだからだ』って言ってたんす。
でも、姉ちゃんの真似をした人は、姉ちゃんじゃなくて信嗣さんが好きだったんですよね?
そういう心理って、信嗣さん的にはどう分析してるんですか?」




