良質な指揮官の生み出すハーモニー
海上自衛隊の主力は自衛艦隊と潜水艦隊である。言って見れば航空部隊は"おまけ"みたいなものである。
雅人の所属する哨戒機部隊の主目的は自衛艦隊や潜水艦隊を補完する事にある。だからといって、艦艇や潜水艦が偉いと言う事ではない。階級の上下はあっても、部隊同士の間に序列はない。優先順位はあるかもしれないが、それを海上自衛隊では序列とは言わない。
作戦を行うにあたり、部隊間に序列があるとスムーズに作戦が行えない。それだけではなく、意味の無い縄張り争いが出現してしまい、健全な部隊運用が出来なくなってしまうのである。確かに役割や期待の異なる部隊同士が同じ作戦に従事するのであるから、一般的には考えればズレが出来るしまうのも無理はない。その為自衛隊では各職種皆平等である。
軍隊の運用とは、指揮官にとっては悩みの種であるだろう。しかしそれを避けては通れない。部隊がより効率的に動ける様に、最善を尽くすのが指揮官たる人間の務めである。無論、どんな国のどんな軍隊の指揮官にもあてはまる。大国も小国も関係無い。結局、大切なのは部隊の垣根を越えて、協力しあうと言う事である。
戦争と言う巨大プロジェクトに参加している仲間だと思えれば、くだらない縄張り争いは無くなるだろう。そうなれば、意味の無い序列により悩む事は無くなる筈である。軍隊と言うのは、一種の複合体である。様々な構成要因から軍隊は構成される。それらを上手くコントロールする為には、指揮官のさじ加減を無視する事は出来ない。良質な軍隊には、そう言ったさじ加減の上手い指揮官がいるものである。良い軍隊は調和がとれているものである。




