海上自衛隊航空部隊の運用方法
雅人は本来ならば、艦乗りを目指す筈であった。ところが地連のおっさんに、お前は適性があるからと、航空学生を勧められた経緯があった。
無論、航空自衛隊の戦闘機乗り等とは意味が異なるのは直ぐに分かった。海上自衛隊の航空学生は哨戒機や艦艇に搭載されるヘリコプター等になる幹部候補生だった。
あまり知られていないが、海上自衛隊はかなり充実した航空戦力を保有しており、世界でも有数の実力を持っている。しかし、海上自衛隊に志願するほとんどの者が、艦艇や潜水艦と言った職種にしか興味を持っていないのは、明らかに広報の怠慢であり、海上自衛隊のイメージが偏ったものになっているのは事実である。
とは言え、哨戒機もヘリパイもパイロットがいなければ、話にならない。そこでまず教官は、適性の有無を判断して、機会を見つけて海上自衛隊航空部隊の話をする。そこが教官の腕の見せどころである。
ただ、航空戦力とは言っても、あくまで海上自衛隊の主力は地方隊と自衛艦隊と潜水艦隊であり、これらの主力部隊を補助する為に存在している事は忘れてはならない。教官もまずその事は最初に触れる。大切な事は艦乗りばかりが国防において重要ではないと言う事である。
第二次世界大戦の頃なら未だしも、現代戦において、航空戦力無しに戦争遂行は出来ない。技術の進歩もあり、航空機も多様化している。そう言う事を教官は学生に伝える。すると、学生の方にも意識の変化が見えてくる事になる。
嗚呼、そうか。艦隊勤務や潜水艦だけが海上自衛隊の仕事ではない事を知る。どんなに優秀な機体も、パイロット養成にも多額の税金がかかる。優秀な機体を只の鉄の箱にしない為にも、航空機に乗り組む航空要員を育てる為には、手厚いサポートが必要不可欠である。
そうやって、長い年月をかけて、ようやく航空部隊は運用する事が出来る。当然、航空要員は人間だ。30年もすれば、現役を退く事になる。その為、恒久的に部隊を運用して行く為には、常に新人隊員を教育し、それを継続しなければならない。システム的には海上艦艇を育成するのと、マッチする部分が多いと言える。




