鹿屋飛行隊哨戒機部隊長の任
雅人は江川海将補に呼ばれた。理由は分からないが、江川海将補には何やら狙いがあるらしい。
「忙しいところ申し訳ない。君には鹿屋飛行隊の司令官になってもらいたい。」
「いきなりその様な大役を私にお任せ下さるのですか?」
「君のキャリアなら妥当な判断であり適任だと考えているのだが…。」
「哨戒機部隊の隊長と言う認識で宜しいでしょうか?」
「そう言う事だ。哨戒機に乗る事もあるだろう。」
「自分には経験の無い事ですがやりましょう。」
「君のパイロットとしての腕は高く評価しているからこその、飛行隊長就任要請だと思ってくれ。」
「分かりました。」
「それよりも大変なのは、ここからだ。その説明をしなければならない。」
「大方の予想はついてますよ。」
「聞いているかも知れないが、鹿屋は対北朝鮮の最前線である。」
「そうみたいっすね。那覇で中国と戦争したから分かります。」
「海上からの攻撃があるらしいんだ。」
「北朝鮮の海上からの攻撃と言えばSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)とかすかね?」
「その辺りの詳しい事は、よく分かってないんだ。何せ不安定な国だからな。」
「あの…飛行隊長って事は、陸上で無線指示ですよね?」
「現場のわくわく感を得たいのも分かるが、指揮官は空には飛べないよ?」
「江川海将補がいるから自分は空に…。」
「行かせません。私はこの海上自衛隊鹿屋基地全てのトップだ。哨戒部隊以外にも部隊はあるからな。哨戒部隊は規模も大きい。だから君に飛行隊長になって貰った訳じゃないか?」
「レーダーや管制塔と連絡を取り合うんですよね?」
「そうだ。それが飛行隊長の役目だ。」
「やってくうちに慣れますよね?」
「そうだな。と言うか、これは海幕の指示なんだ。」
「自分を飛行隊長にするのがですか?」
「そうだ。海幕は、君を海上自衛隊のエースにしたいらしい。ま、君ならやれるだろ。」
「ではまた、現場に戻れるのですね?」
「先の事は、分からないが位が上がれば、現場からは離れる事になるだろう。」
「そ、そんなぁ。」
「日本の為には優秀な指揮官は多い方が良い。」
「それに、君の出世スピードなら海幕や統合幕僚長も充分狙えるぞ?」
「頑張ります。結果をきちんと出して行ける様に。」




