一章 四話「ようこそ、異世界の来訪者よ」
エクスカリバー、その男は確かにそう名乗った。
エクスカリバーとは、アーサー王伝説に登場する、アーサー王が持っていたとされる誰もが知る剣である。(コピペ)
ただ、エクスカリバーは剣であるが、その男は当然人だ。しかも、髪は青色。みんなが想像するエクスカリバーは、赤色だと勝手に予測する。
「エクス……カリバー?」
「そうだ、俺はエクスカリバーだ。もう既に名乗ってるだろう? それとも何か……他に納得できない部分があるのか?」
……剣のような鋭い言葉と鋭い目に、一瞬怯んでしまった。エクスカリバーの言う通り、俺は少し納得できない部分があった。
「……気になる、と言えば気になるんだが……何故髪が青色なんだ? 俺が想像するエクスカリバーは、赤色なんだが」
「おいおい、勝手に自分の思想を押し付けないでくれよ。……まぁ、言いたいことは分かるさ。青か赤かと言われれば、確かにイメージの色は赤色だが、俺はこの色が好きなんだ」
「……すまん、傷つけたのなら謝るよ」
「いいや、このくらい何ともないさ。それで? 君はどこから来た、何者なんだ?」
空気が若干重くなる。下手なことをしたら殺される……。そんな雰囲気が漂い始めた。
俺は、言葉を選び……慎重に話し始める。
「……俺、は。俺は……こことは違う、別の世界……いわゆる、異世界から来たんだ」
「……異世界から?」
その時エクスカリバーの目は獲物を狙う虎のように鋭くなる。隙を見せれば殺される。こんなにも緊張したのは生まれて初めてだ。
「……たまに、別次元から迷い込む人がいるとは聞いたことがある。だが……実際に見たことはない」
「俺もにわかには信じられない。だけど、これが事実なんだ。信じてくれ……とは言わないし、権利もない。……でも、俺は敵じゃない。それだけは……本当だ」
今の時点で、エクスカリバーは敵か味方かは分からない。だけど、俺を助けてくれた。悪人は決してそんなことをしないだろう。ましてや俺は男だ。女ならそういう目的で助ける人もいるだろうが……俺は男なのだ。つまり、エクスカリバーは善意で人を助けたということになる。
「……わかった。今は飲み込んでおこう。……異世界から来たという証拠があればすぐに信じられるのだが……」
「異世界から来た証拠……」
身体能力……はあまり意味をなさないだろう。なんせ、この世界にも(恐らく)人はいるだろうから、この森に迷い込んだだけで済まされる。……ならば、これは?
「そうだ……文字! 文字を見れば証拠になるかもしれない!」
「……! 文字か、それならこの世界の人間は全員この世界の文字を書けるから、理にかなっているな。」
そう言うとエクスカリバーはどこからかペンのようなものと紙を取り出した。
「今の……一体どうやって……」
「ん? これは空間ボックスだ。ある程度の名誉があれば誰でも貰えるものだ。君もいずれ、貰えるようになるさ」
やがてペンは止まった。俺にその紙を見せつけ、この文字が読めるかどうか試してきた。
「……読めないな、さっぱり分からない」
「ここで嘘をついても何か得があるわけでもない。本当に読めないんだな。これで君は異世界からの来訪者ということが判明した」
紙を再びボックスにしまい、俺に向き直る。
先程の異様な雰囲気はなくなり、元の森の雰囲気に戻った。
「……さて、歓迎しよう。異世界の来訪者よ。ようこそ、コレクト王国へ!」
「コレクト……王国……」
こうして俺は、地獄とも天国とも呼べる世界に、足を踏み入れてしまったのだった……。




