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プロローグ「後悔」

 男なら誰しも、異世界という言葉に惹かれる。異世界転生やら、異世界召喚やらに憧れ、妄想するものだ。

 なぜ妄想するのか、至って単純。それは自分の物語を作りたいから。しかし、そういう妄想をする人は何かしらから逃げている……と、俺は思っている。


「はぁ……」


 小学生から高校生まで引きこもりを網羅した俺は、久々に外の世界に出ていた。理由は親が俺を見捨て、自分で生活するしか無くなったからだ。そりゃそうだろう。こんな無能で役に立たない人間を置いたって、なんの得にもならないどころか不利益になる。だから俺はその選択肢を否定しない。


「……行っときゃ、良かったかな……」


 もう、遅いのに、俺はそんなことを呟いてコンビニに向かっていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「何もねぇじゃん……」


 夜中のコンビニとは雰囲気がある。怖いと、恐ろしいとかではなく、何か風情があるような、そんな気がする。

 中に入ると、コンビニとは思えないほど物が少なかった。


「今どきのコンビニはこんなもんなのか……?」


 辛うじて食料、飲料水を手に入れることができたが、本当にここはコンビニなのかと疑っている。

 あまりにも商品が少なかったのだ。ネットにあげればバズるとも思ったが、意味の無いことなのでやめておく。


「そもそも……スマホねぇしな、俺」


 はぁ……と、再びため息を吐き俺は店内を出た。

 時間帯はもう夜だ。真夜中、恐らく2〜3時辺りだろう。コンビニが24時間営業で助かった。


「……あれ、帰り道、どっちだっけ……」


 ほとんど外に出たことがないからか、俺は道に迷った。方向音痴……ではないが、久しぶりはなれないものだな。


「……ぁ?」


 コンビニの敷地から出ようとした瞬間、一瞬、ほんの一瞬、世界が光に包まれた。……いや、闇、だったかもしれない。


「……疲れてんだろ、俺。早く帰らないと……っ!?」


 横断歩道を渡っている最中、急に頭痛に見舞われた。痛い痛い痛い、頭が割れそうだ。


「っ………あ」


 俺の横から、ヘッドライトの光が照らされる。刹那、俺は自身の死を悟る。

 普通ならば、ここで走馬灯が流れるはずだが、俺には何も無かった。そりゃ……そうだ。俺は何も成し遂げていないし、何もしていない。楽しい学校生活なんてないし、友達もいない。……家族も、もういない。


「こんなことなら……もっと学校行けばよかったな……」


 しかし、今更後悔したところでもう遅い。俺の死は確定している。


「…………ぁ、」


 刹那、俺はヘッドライトの鉄の塊に、吹き飛ばされたのだった……。

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