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藤宮静与からの視点ー2

「ルール覚えられない?」


「うん、オフサイドがいつまで経ってもわからなくてさ。先生から何回も怒られて、お前はロングシュートだけ極めればいいって言われて。でもそんなわけにもいかないから、他に何か始めてみたいなって思って」


 「本当に?」と聞くと、「本当に」と返ってくる。私は頭を抱えそうになった。


 やがてその他にも「疲れて授業中寝ちゃうんだよね」とか「汗かくのやなんだよね」とか「腹減ってお腹の音鳴るの恥ずかしい」とか、情けない理由の数々を聞いた。


 拍子抜けしてしまうような理由の数々に、私の息子は、実はかなりヘタレではないのかと驚いた。けれども今まで不安定だった息子像が掴めたような気がして、少し安心する。


「じゃあ、どうして志望校を変えたの?」

「え? なにが」

「なにがって、高校。変えたじゃない」

「……ああ!」


 私は最も気になっていることを聞いた。けれども息子は、そもそもそんな事実を覚えていなかったようで、やや時差があって答える。


「一番近いところに通おうと思ってさ。そのほうが家にいっぱいいられるし」

「家にいてどうするの?」

「寝たりゲームしたりする。あ、ご飯も食べる。なんかのんびりしたいんだよね」


「…………」


 最近の息子の奇行は、彼なりの理由があって、しかもそれを隠しているつもりはないらしい。なんだ、そうだったのか。私が臆病になりすぎて、きちんとコミュニケーションを取れていなかったようだ。


 情けない。情けないのは一体どちらだ。親の私の方じゃないか。…………いや、ルールをいつまで経っても覚えられない方が情けなくないか? いや、でも……。


 葛藤していると、双子のパンダが生まれたとかいうテレビニュースを口を開けながら間抜け面で見ている悠斗を見て、やっぱり私がしっかりしなくちゃいけないと決心したのだった。

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