恩師の手腕
彩花は、美優の愛の告白ともいえる真摯な言葉を聞き、先ほどの冗談をそのまま美優に返した。
彩花: 「美優も、そんなに熱く語って、加藤教官、好きにならないでよ。」
美優は微笑み、彩花の手を握った。
美優: 「大丈夫だよ、彩花。あの人が私たちに与えてくれたのは『愛される資格』だ。私たちは、加藤教官に当時助けられて、いや今も助けられているからこそ、お互いに好きでいられるんだ。本当に感謝しかない。」
二人は、恩師の深い配慮が、自分たちの秘密の愛をここまで守り、育んできたことを改めて噛みしめた。
そして、美優は、もう一つ、加藤教官の的確な手腕を思い出した。
美優: 「そういえば、卒業前に、加藤教官が私たちに地域課とか交通課とか、赴任希望を聴いてくれたことがあっただろう?」
彩花: 「ありましたね。私は、美優と同じ課がいいって駄々をこねたのに、教官に静かに諭されたんだった。」
美優: 「ああ。結局、私たちは同じ警察署という近しい場所に配属されながらも、私を刑事課、君を地域課(あるいは美優を生活安全課、彩花を地域課など…)という、別々の課に赴任させた。あの時の手腕は、本当に的確だった。」
もし二人が同じ課に配属されていたら、公私混同の懸念や、厳しい同期の目に晒され、愛を隠し通すことは不可能だっただろう。加藤警部補は、二人の能力と、秘めたる愛の将来を見越して、最も安全かつ、お互いの成長を促せる配置を行ったのだ。
美優: 「あの人は、私たちの愛の防波堤になってくれていたんだ。私たち、本当に運がいいよ。」
彩花: 「運命ですね、美優。すべてが、私たち二人の愛のために整えられていたみたい。」
二人は、恩師の深い配慮に改めて感謝し、この旅の夜を、より深く、温かいものとして過ごしていった。




