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ジンコもトレーニングをして上達しているようだ…そして3人組悪鬼に俺達は狙いを定めて偵察している。

死霊屋敷から帰った俺達は色々と忙しい日々を過ごした。

翌日『ひだまり』に行ったジンコは直ぐに採用が決まり、大学のテスト期間中は週1フルタイムと加奈と共に研修で週1回半日間働く事になった。

俺達は本格的に屋敷の強化工事に取り掛かり、屋敷の窓や壁の強化と共に屋根裏から屋根に張り出す鐘楼のような物を作り、屋敷に近づく悪鬼を狙撃できるような物を作る事になった。

夜になると鐘楼から見る範囲にいくつかの街灯を暗闇の死角が無くなる様に作る予定だ。

鐘楼に圭子さんがライフルを持って陣取れば万が一悪鬼の集団の襲われてもかなりの悪鬼を屋敷に近づく前に始末できるだろう。

そして屋敷に隣接した場所に頑丈な壁で出来たガレージを作る事にして工事が始まった。

ガレージには地下があり、完成すれば直線で30メートル以上の空間が出来る。

そこには強力な換気扇を付けてピストルの射撃練習が出来るようしたし、地下に通路を作り、屋敷の地下室まで行き来できるように設計をした。

これで外からの攻撃を受けずにガレージと屋敷の行き来が出来る。

邸の屋根とガレージの広い屋根に太陽光パネルを張り巡らせ、更に敷地の中に小規模の風力発電の風車を2基作る事にした。

そして屋敷とガレージに大きな蓄電用の設備を置き、発電機も設置して使う電力は全て屋敷内で補えるようにした。

また、嗅覚が強い喜朗おじによって水脈を見つけて井戸も掘り、湧いた水を屋敷に引き込むことにした。

これで最悪な場合でもかなりの間死霊屋敷に立てこもる事が出来そうだ。

死霊屋敷の要塞化工事はまずまずの滑り出しだ。

工事の間、俺と四郎、明石と『ひだまり』が休みの時には喜朗おじが交代で死霊屋敷に詰めて工事を見守った。

その間に四郎と明石は時間を作り、はなちゃんが見つけた3人組の悪鬼の偵察を行った。


俺のマンションから車で小一時間と言う距離にそこそこ強そうな奴が2匹、雑魚が1匹。

強そうな悪鬼は男女のペアで雑魚の悪鬼は女性らしく、つがいの強そうな悪鬼は雑魚の悪鬼を奴隷のように支配しているようだった。

この前の廃ボーリング場の経験から俺達は慎重に内偵を進め、他の悪鬼との集団と繋がりが無いか調べた。

表向きは個人タクシーをしている3人組の悪鬼に他の集団との繋がりは今のところ確認できなかった。

その3人組の悪鬼は今は殆ど人が住んでいない団地にいた。

広大な敷地に作られた団地はすっかりさびれて時代に取りこのされた老人達が何世帯かが住んでいて、その世帯は団地入口の目の前のほぼほぼ広い道路に集中していて団地の奥まった所に住んでいる3人組の悪鬼の近所には住む人が無く、団地全体の8割以上が空き家のゴーストタウンのような状態だった。

待望のボルボ240ターボが納車されてご機嫌の真鈴ははなちゃんとジンコを乗せて団地まで行き、遠くから3人組悪鬼を観察し簡単な見取り図を作成してきた。


「こんな感じの所ね。

 あの団地はどちらかと言うと近代的な長屋って感じでさ。

 5~6軒の家が合体して並んでいる感じの建物が並んでいるのよ。

 あの3人組の悪鬼の所はあいつらしか住んでいなくて両隣全部空き家だから。

 はなちゃんが音の壁を作って夜なら目立たないで始末できるかもね。

 はぁ、来週テストが始まるんだよね~。

 あいつらがどれくらいのサイクルで人間を殺しているかまだ良く判らないと四郎達も言ってたけど、出来ればテスト終わるまで討伐しなくても犠牲者が出ないと良いんだけどね~。」


ダイニングで見取り図を作成した真鈴がため息をついた。


「真鈴、もう少しの我慢よ。

 テストが終わったらあの悪鬼を始末してボルボでドライブ行こうよ。」

「そうね~、もうそろそろ暑くなってきたからどこか涼しい所に行きたいわね~!」


そう、もう6月に入り、蒸し暑く感じる日が何日かあった。


「ところでジンコは『ひだまり』はもう慣れた?」


俺が尋ねるとジンコが笑顔を浮かべた。


「そうね、働きやすいと言うか居心地が良い店よね。

 あの制服も可愛いし、喜朗おじが作る賄いも美味しいし、結構お客さんが来ててかなり忙しいけど、楽しいわ。

 今日、真鈴にあのボルボを運転させてもらったけど中々ご機嫌な車ね。」

「ジンコ、車の免許持ってるんだ。」

「何よ彩斗、当然でしょ。

 私達、地方に住む者には免許は必需品だったのよ。」

「そうそう、東京に来て免許持ってない人が多くて驚いたわ。

 でも、車の免許持ってない男子って、ちょっと物足りないわ。」

「そうかもね。」

「今日、遠くから双眼鏡で雑魚の女悪鬼と強い女の方の悪鬼を見たんだけど…特に普通の人間と変わった所は見えなかったわ…本当に悪鬼なの? 

 特に雑魚の女悪鬼はなんかびくびくしてる感じがして全然強そうには見えなかったわ。

 強い女の悪鬼だって普通の不愛想な中年の女って感じだったし…。」

「確かにそうじゃの。ジンコが言う通り、あの雑魚の悪鬼はかなり怯えているじゃの。

 恐らく強い悪鬼に強く支配されていると思ったじゃの。」

「悪鬼の集団の中でもやっぱりそう言う関係になるんだよな~。」

「そうじゃの、人間達の集団以上に上下関係は強いと思うじゃの。」

「そうだね、あの廃ボーリング場でも親玉の悪鬼が逃げるために手下の悪鬼を掴んで俺達に投げつけたりしてたもんね。

 まるで物扱いだったよ。」

「質の悪い悪鬼にとっては、まあその奴その奴で違うとは思うが、しょせん自分が悪鬼に仕立てた雑魚の悪鬼など使い捨ての召使くらいにしか思っていないかも知れぬじゃの。」

「はなちゃん、確かにそうかもね。」

「ところでさ、彩斗、ジンコがかなり腕を上げたよ。

 私と死霊屋敷でナイフトレーニングして、時々加奈も混じってやるんだけどね。

 ジンコは初めて加奈の身体に紙の棒を当てたよ。」

「…ええ!まじか!」

「そうだよ。

 私も5回に1回か2回はジンコにやられるしね。

 彩斗、最近忙しくてトレーニングさぼっていない?

 私達に置いてけぼりにされるかもね~!」


真鈴が大笑いしてジンコも笑顔を浮かべた。

いや、そんな事はない!

俺もトレーニングはしっかり続けているし、四郎にも最近上達していると褒められているんだ。

だが、真鈴、加奈、ジンコの3人はどういうトレーニングをしているのだろうか?

加奈流の悪鬼の明石や喜朗おじからさえ無茶と言われるトレーニングをしているのか、俺は非常に気になった。


「ねえ、確かに最近俺も忙しくてなかなか一緒にトレーニング出来て無いから今度一緒に合同でトレーニングしようよ。」

「あら、私達は全然構わないわよ~!

 でも今日はこれから死霊屋敷で工事を見てる四郎を迎えに行くんでしょ?

 まあ、後から私とジンコも死霊屋敷に行って泊りがけでテスト前の追い込みするけどね

 その時に時間作れるかな?」


真鈴はボルボが納車されてから死霊屋敷に良くジンコと出掛けている。

大学に行くのも最寄りの駅までボルボで行ってそこから電車で行けば、このマンションから大学に通うのとそう変わりない時間だと言っていた。

あれからかなり家具などを揃えて随分死霊屋敷は住み心地が良くなっていた。


「しかしさぁ、あの悪鬼はどういう手口で人間を殺していると思う?

 男の悪鬼が個人タクシーしているから定期的に客を襲っているのかな?」

「う~ん、どうなんだろうね?

 でも、そうそう都合が良い所、人目に付かない辺鄙な場所とかにタクシーで行く人は少ないだろうし、1人で運転席に座っていて後席にいる人間を襲うとしたら、少し無理があると言うか、発覚する危険は高くなるわよね。

 なんだかんだ言って車ってガラス張りの部屋みたいな物なんだしさ。」

「そうだな、俺の考えではあの団地まで連れて行けばもっと簡単に殺せると思うけど、やはりタクシーとか使ってあの団地から遠い所から獲物を連れてこないと、と思うよね。

 そうすれば被害者の範囲を広げられるから行方不明の人の捜査など攪乱させることが出来るしね。」

「そうか、何らかの手段で怪しまれずにあの団地までタクシーで連れて行くと言う事ね…しかもタクシーの中で襲うと血の掃除とか大変そうだからタクシーから降りたところを狙うと言う感じよね。」


俺達は3人組の悪鬼の手口が判らずに考え込んでしまった。

この社会で人を殺し続けてそれを発覚させない事も非常に難しい世の中だ。

それを定期的に殺して警察にも怪しまれないと言う事はあの3人組もかなり色々手口を研究しているのだろう。


そして悪鬼はどれほど強いのだろうか?


「はなちゃん、強い方の2匹の悪鬼はどのくらい強そうだった?」

「彩斗、男の方は外に出かけていて見なかったが、女の方の悪鬼はそんなに強くはないじゃの。

 あの廃ボーリング場の親玉の取り巻き位の強さと言う事かの?」

「そうか、少しだけ安心できるな。

 まぁ、俺や真鈴やジンコではとても歯が立たないだろうけどね。」

「雑魚の女の悪鬼はかなり弱いとは思うじゃの。

 あれなら加奈は勿論、彩斗や真鈴やジンコでも始末できそうな感じじゃの。

 だが、なんだかんだ言って悪鬼じゃから油断は禁物じゃの。」

「そうだねはなちゃん。

 気を引き締めるよ。

 さて、俺は四郎を迎えに行くよ。

 最近四郎も免許を取るとか言って屋敷で工事を見ながら学科の練習してるしね。」

「四郎なら少し練習すれば簡単に車の免許取れると思うね。」

「そうだね、四郎が免許取ったらもう一台車が必要になるかも。」

「車は多い方が私達の機動力も上がるから良いんじゃない?」


真鈴が言い、ジンコが頷いた。

俺は地下駐車場で律儀に土下座して俺を見送る若い死霊に鷹揚に頷き、ランドクルーザーで死霊屋敷に向かった。






続く





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