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「おかえりー! ねぇねぇ、お兄さん。どんなスキルを持ってたのー?」
冒険者ギルドのエントランスへ戻ると、ティディが目をキラキラさせながら近寄って来た。
催促はしないものの、ラブルも興味津々といった面持ちで、俺の検査結果を待っている。
「あー、それな。うん、それなんだけど」
「うんうん」
二人の期待を込めた視線が辛い。
そしてこの二人をがっかりさせたくない。だが、嘘をついたところで直ぐにバレる。仕方が無い、
「実は何もスキルが無かったんだ」
……
少し迷ったが、正直に告白してみた。
二人が無言のまま、互いに目を合わせている。想定外の結果だったためか、困惑しているようにも見える。
「そ、そういう事もありますよ」
「そ、そうだよー。それに、スキルなんてこれからいくらでも修得していけば良いわけだし」
ぎこちなく笑みを浮かべながら、二人があからさまなフォローを入れてくれる。
何か気を使わせて悪いなと、こちらも沈んでしまいそうだ。
「そ、そうだ。勇樹君の適性は何だったの? 戦士系なら鍛冶屋に行けば良いし、魔法系なら魔導書を買いに行きましょう」
「そうだね。ラブルの言う通りだよー。本当はボクだってラブルみたいに魔法を使いたかったんだけど、適性に合わせて体術の修行してたら、凄く強くなれたもん」
「そうよね。勇樹君は、何適性だったの?」
「……村人」
……
ラブルがおそるおそる近づいてきた。
「ご、ごめんね。もう一度言ってくれる? 小声で聞き取れなかったの」
「……村人」
……
再び訪れる沈黙。
流石に、今度は二人ともフォローが出来ず、下を向いてしまった。
……
「と、とりあえず、時間も遅いし晩御飯でも食べよっか」
まだ夕日が沈む前なのだが、重い空気の中でラブルが何とか絞りだした提案に乗る事となった。
会話の内容を微修正しました。
 




