↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
護衛騎士?ヴィンセント  作者: れすた
第二章 アイリス初公務
PR
13/91

第十二話 盗賊登場


アスファルトの試験敷設をひとしきり見届けた一行は、再び南方都市を目指して進んでいた。


 街道は次第に深い森林へと入り込んでいく。


 木々が生い茂り、頭上を覆う枝葉によって陽射しも弱くなっていた。


 先行していた親衛隊の斥候が戻ってくる。


「皇女殿下」


 斥候がアイリスの前で一礼した。


「この先に、盗賊と思われる一団が待ち構えております」


「まあ」


 アイリスは驚いた様子もなく尋ねる。


「人数はどれほどですの?」


「二十名ほどです」


「二十名……」


「我々の情報を聞きつけたようです。皇女殿下の一行だと察し、待ち伏せしているものと思われます」


 親衛隊の空気が一気に引き締まる。


 二十名。


 決して少ない人数ではない。


 しかも、ここは深い森林の中。


 待ち伏せには絶好の場所だった。


「…………」


 アイリスはしばらく考えた。


 そして、隣に立つヴィンセントを見る。


 じっと見つめる。


「……あなた」


「はい?」


「倒せますか?」


 ヴィンセントは一切迷わなかった。


「問題ありません、アイリス殿下」


「そう」


 アイリスは小さく頷いた。


「では、このまま進みます」


「承知しました」


 ヴィンセントはいつものように答える。


「お任せください、アイリス殿下」


「頼みましたわ」


「はい」


 その瞬間、親衛隊の隊長がすぐに指示を飛ばした。


「全員、殿下を中心に!」


「はっ!」


 親衛隊八名が即座に動く。


 アイリスの前後左右を固め、周囲を警戒する。


 ヴィンセントだけが、アイリスの前へ一歩進み出た。


 親衛隊は決してアイリスから離れない。


 それぞれが周囲を警戒しながら、いつでもアイリスを守れる態勢を取る。


「アイリス様!」


 そのうちの一人が、思わず声を上げる。


「大丈夫です! 我々がお守り――」


 そこまで言って、ふと止まった。


「…………」


 視線がヴィンセントへ向く。


 そして、思い出す。


 選考会。


 武器すら持たずに、他の候補者たちを圧倒していった男。


 あの時の光景が、脳裏に蘇る。


「…………」


 親衛隊員は静かに息を吐いた。


「……大丈夫ですわね」


「ええ……」


 隣の隊員も小さく頷く。


「ヴィンセント殿ですもの」


「……そうでした」


 隊長も短く頷いた。


「我々は殿下の護衛に集中する」


「はっ!」


 アイリスはそんな親衛隊のやり取りを不思議そうに見ていた。


「どうしましたの?」


「いえ!」


 隊員たちは一斉に姿勢を正す。


「何も問題ございません、アイリス様!」


「そうですの?」


「はい!」


 アイリスは小さく頷いた。


「では、参りましょう」


 そのまま一行は森林の奥へ進んでいく。


 やがて。


 木々の向こうから、武装した男たちが姿を現した。


 二十名ほど。


 街道を塞ぐように立ち並んでいる。


「止まれ!」


 盗賊の頭目らしき男が声を張り上げた。


「皇女の一行だな! 武器を捨てろ!」


 アイリスは親衛隊に囲まれたまま、静かに前を見る。


 そのすぐ前には、ヴィンセントが立っている。


「ヴィンセント」


「はい」


「お願いしますわ」


「お任せください」


 ヴィンセントが一歩前へ出る。


 盗賊たちは、まだ笑っていた。


 二十人対一人。


 どう見ても勝負になるはずがない。


 ――少なくとも、彼らはそう思っていた。


 アイリスの周囲では、親衛隊が一切の隙なく警戒を続けている。


 誰一人として持ち場を離れない。


 そして、その中心でアイリスは静かにヴィンセントを見つめていた。


「……では」


 ヴィンセントが静かに口を開く。


「始めましょうか」


 森林に、緊張が走った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。