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羅針盤が示す異世界で。  作者: AIで書い太郎
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第12章 災禍の港ティル

――虚界の渦と、第三の導者の影


◆到着 ―― 災禍の香り漂う港


第二の門を抜けた瞬間、荒れた潮風が吹きつけた。


「ここが……《災禍の港ティル》……」


アリアが身をすくめる。

港町は広いのに、人の声がほとんどない。

代わりに――低く、うねる音が海の奥から響いてくる。


――ゴォォォ……ゴポ……ゴオォォ……


海というより、“底なしの穴”が呻いているような音だった。


ノアが懐中時計を軽く揺らしながら言う。


「虚界のネザーホールが近い。  あれが、異界とこの世界を“噛み合わなくしている”原因だ」


港の沖合に――黒い渦。

海水ではなく、影のような、時間の穴のような。

見ているだけで視界が歪む。


アリアが俺の腕をぎゅっと掴む。


「レイ……あれに近づくと、“時間が抜ける”んです……。  ティルはもう、半分虚界に飲まれています」


ノアは淡々と告げる。


「この街には、もう一人――“第三の導者”がいるはずだ。

 虚界に適応した、特異な導者がね」


アリアの指先がピクリと震えた。


「……第三……?

 私以外に、導者が?」


その声は、わずかに不安と敵意を帯びていた。



---


◆封鎖された街と、奇妙な住民たち


俺たちは港のメインストリートへと足を踏み入れた。


だが――異様だった。


人々は生きているのに、どこか“時間が遅れて”いる。


・話しかけても返事が数秒遅れる

・歩き出しても足がワンテンポ遅れた影のように揺れる

・商品の値札が、見るたびに別の日付に変わる


アリアが青ざめる。


「……時間遅延症状。

 虚界の渦の影響で、街全体が“未来の一部”を失っています……」


(未来が失われる……?)


ノアが指を鳴らす。


「つまり――この街は、滅びる寸前ってことさ」


アリアが不安げに俺の袖を掴んだ。


「レイ……ティルには近づきたくない……  ここ、嫌な予感がします」


「まあ……俺も嫌な予感しかしないな」


だが同時に――

どこかで、俺を呼ぶ声がした。


(……来て……来て……選定者……)


微かな声が、渦の奥から聞こえた気がした。



---


◆《第三の導者》との遭遇


港の奥に進んだときだった。


――シャラン……


鈴のような音。

澄んだ、それでいて海霧に溶けるような声。


「あなたが……《この世界の選定者》ね?」


濃い紺色のローブ。

潮風に揺れる長い髪。

瞳は――虚界そのもののように紫がかった銀。


少女が一歩、こちらへ歩み出た。


アリアが即座に俺の前へ出る。


「だ、誰ですか……あなた……!

導者なら名乗りなさい!」


紺の少女は胸に手をあて、静かに礼をした。


「――名は、リゼル。

 “虚界適応型導者ネザーガイド”」


アリアの顔がこわばる。


「虚界……適応……型……?」


ノアが小さく舌を打つ。


「やっぱりか……

 この街に“渦の適応者”がいると聞いていたが……まさか導者だったとは」


リゼルは俺をまっすぐ見つめた。


「レイ・アサクラ。

 あなたの未来、少しだけ視たことがあるわ」


(視た……? 未来を?)


リゼルは、ふっと微笑んだ。


「あなたは――私を選ぶ“可能性の未来”も持っている」


アリアの肩がビクリと跳ねた。


「なっ……なななっ!?

 レイは! レイは私の、“選定者”で……!」


リゼルはかすかに哀しげに目を伏せる。


「あなたと争いたいわけじゃない、アリア。

 でも――“必要”なの。この街を救うために」


そして俺の手に、そっと触れる。


「レイ。

 虚界の渦へ行くには、あなたの“羅針盤”と……

 私の力が、どうしても必要なの」


アリアが俺の腕を引き寄せる。


「レイに触れないで……!

 未来同調は、選定者と導者の――特別な行為なんです……!」


リゼルは静かに、しかし強く言った。


「この街はもうすぐ沈む。

 アリア一人の導力では――虚界には入れないわ」


アリアの目に悔しさがにじむ。


「ぐ……っ……!」



---


◆揺れる未来選択


リゼルは俺へ視線を戻した。


「レイ。

 選んで――

 “二人の導者”と行くか……

 “アリア一人”を守って残るか」


アリアは震えながら、俺の手を掴む。


「レイ……わ、私は……

 あなたを……失いたくない……」


リゼルは静かに言う。


「でも――あなたが動かないと、この街の未来は消える」


街の奥。

黒い虚界の渦が、今も潮を吸い込み続けている。


未来が――二つに分岐していた。


・アリアと二人で進む未来

・リゼルも連れて、危険に踏み込む未来


どちらが正しいかなんて、わからない。


だが選ばなければ――未来は閉ざされる。



---


◆レイの決断(直前)


俺は、二人の少女の手を取った。


「……俺は――」


次の瞬間、海が大きく鳴動した。


――ゴオオオオオオッ!!!!


渦が膨張し、“何か”が浮上しつつある。


ノアが叫ぶ。


「来るぞ!!

 虚界獣が……街へ出る!!」


アリアもリゼルも俺の腕を強く掴む。


「レイ!!」


そして俺は――決断の言葉を放つ。

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