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異変

夜。


オーガの村。


灯りは少ない。


静かだ。


だが——


死んではいない。


生きている静寂。


風が通る。


高台。


見張りが立つ。


動かない。


ただ——見ている。


その外側。


影が一つ。


コーゲン。


音はない。


気配もない。


風に溶ける。


侵入。


低い姿勢。


地面に触れる足音すら——ない。


視線だけが動く。


(……少ない)


即座に違和感。


数が足りない。


集落規模に対して——明らかに。


だが。


(武装は——整いすぎている)


置かれている槍。


手入れされた鎧。


配置。


導線。


無駄がない。


(隠している?)


一拍。


(いや——違う)


気づく。


(“着ていない”)


理由は不明。


だが——合理。


音。

疲労。

負担。


削っている。


非戦闘個体。


見張り。


だが——


(視線が甘くない)


高台。


厄介。


だが——


(懐に入れば問題ない)


判断。


進む。


中心部。


大きな建物。


他より一回り大きい。


(あそこか)


入口。


武装個体。


二体。


動かない。


呼吸も浅い。


“番”。


そして——


視線が上へ動く。


屋根。


張り付く影。


一体。


(……監視?)


違和感。


姿勢が妙。


だが——


見ている。


じっと。


一点を。


(……対象固定?)


理解できない。


だが危険度は低い。


無視。


風が変わる。


コーゲンの体が——消える。


そのまま。


離脱。


外。


森。


距離を取る。


ようやく息を吐く。


(……おかしい)


整理する。


・数が少ない

・武装が異常に整っている

・非戦闘個体が見張り

・配置が合理的すぎる


(だが——穴がある)


結論。


(今なら削れる)


風に紛れて消える。


——翌日。


早朝。


霧が薄く残る。


ガリョウホースー。


四人。


位置取り。


完了。


チシャが短く言う。


「速攻で削る」


コースイが頷く。


「長引かせない」


ジシレが笑う。


「援護任せて」


コーゲンは——


すでに消えている。


突入。


一瞬。


オーガ兵が気づく。


遅い。


接敵。


斬撃。


矢。


魔法。


同時。


一体。


二体。


血が散る。


だが——


倒れない。


腕を失った個体。


それでも前へ出る。


(……止まらない?)


コースイが眉を寄せる。


「再生……違う」


ジシレが即座にバフをかける。


速度が跳ねる。


人智を越える加速。


斬る。


避ける。


撃つ。


連携は完璧。


だが——


(致命に届かない)


オーガ兵。


引く。


傷を負った個体が下がる。


代わりに——


新しい個体が出る。


ローテーション。


(なんだこれ)


チシャの目が細くなる。


「交代制……?」


コースイが詠唱に入る。


短い。


爆裂。


——轟音。


吹き飛ぶ。


だが。


煙の中。


立つ。


鎧。


焦げている。


凍っている。


痺れている。


だが——


貫けていない。


(硬いんじゃない)


チシャが理解する。


(“通していない”)


急所。


守っている。


徹底して。


その時——


鐘。


低い音。


村全体に響く。


空気が変わる。


動きが変わる。


逃走個体。


戦闘個体。


分離。


明確。


(統率……?)


コーゲンの声。


背後。


「時間だ」


同時に。


空気が変わる。


前方。


二体。


ナイザー。


メント。


歩いてくる。


余裕。


だが——油断はない。


チシャが構える。


「来るぞ」


一瞬。


交差。


槍と剣。


火花。


重い。


速い。


正確。


(……強い)


だが——


(読める)


チシャが踏み込む。


コースイが魔法で牽制。


ジシレが補助。


連携。


完璧。


優勢。


だが——


違和感。


ナイザーが息を吐く。


「ふー…」


メントも笑う。


「位置が悪いな」


だが——


言葉は違う。


「仲間をやらせねぇ」


温度がズレる。


楽しんでいる。


守っている。


同時に。


理解が追いつかない。


コーゲンが低く言う。


「離脱」


限界。


その瞬間——


閃光。


爆音。


コースイの爆裂魔法。


視界が白に潰れる。


耳が死ぬ。


衝撃。


村中央。


別の爆発。


混乱。


その隙に——


消える。


四人。


完全離脱。


森へ。


——その頃。


村外れ。


風の音。


養殖場。


ヴォイドが歩いている。


魔鶏を見る。


「……増えたな」


ぼんやり。


その時。


遠く。


爆音。


視線が上がる。


「……ん?」


村の方向。


歩き出す。


だが——


止まる。


目の前。


いつの間にか。


ユリ。


無言。


じっと見る。


道を塞ぐ。


「……なに」


ユリは何も言わない。


ただ——


動かない。


一拍。


ヴォイドが首を傾げる。


「……なにかあったか」


少し遅れて歩き出す。


——村。


煙。


焦げ。


血の匂い。


倒れている。


オーガ達。


息はある。


だが——深い傷。


腕を失った者。


動けない者。


それでも——


まだ立とうとしている。


ヴォイドが止まる。


見る。


しばらく。


何も言わない。


ただ——見ている。

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