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文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


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巻き込まれた側の事情

「……?」


異変に最初に気付いたのはエリシアだった。


朝の拠点。


いつもの光景。


……のはず。


だが。


「……空気が妙ですね」


「やめろ」


俺は即座に否定する。


嫌な予感しかしない。


「また何かやらかしたの?」


リナの視線。


なぜか刺々しい。


俺のせいではない。


はずである。


「いえ」


エリシアは首を振る。


「環境ではなく……」


視線がこちらへ向く。


正確には。


俺とリナ。


「……?」


「……」


「……」


沈黙。


なぜだ。


なぜ微妙な空気。


「……何か問題でも?」


エリシアが真顔で聞いてくる。


やめろ。


一番困る質問をするな。


「別に」


リナ即答。


だが明らかにトゲ付き。


「……」


エリシア、わずかに考える。


珍しい挙動。


「……理解不能です」


「だろうな」


ガルドが笑いを堪える。


「ですが」


「なぜか違和感があります」


「やめろ」


二度目の否定。


だが。


次の瞬間。


「……あ」


エリシアの動きが止まる。


「?」


視線。


俺を見る。


次にリナを見る。


また俺を見る。


「……なるほど」


「なにが」


非常に嫌な予感。


「原因を推定しました」


「言うな」


「昨日の会話ですね?」


「言うな」


三度目。


「……え?」


リナが固まる。


「昨日……?」


「はい」


エリシア真顔。


「主人公が私との関係性を評価した件」


「ちょっと待ちなさい」


リナの視線がこちらに突き刺さる。


「なにそれ」


「いや違う違う違う」


「誤解だ」


「どの辺が?」


非常にまずい。


極めてまずい。


エリシアは冷静に続ける。


無慈悲である。


「主人公は言いました」


「“お前ら仲良いよな”」


「言うなあああああああ!!」


「へえ」


空気凍結。


「……私のせいでは?」


エリシア本気困惑。


「違う!!」


満場一致。


「主犯こいつだからな」


「なぜですか!?」


リナは腕を組む。


完全に意地モード。


「……別にいいけど」


良くない。


絶対良くない。


「仲良いんでしょ?」


「いやだから」


「違います」


エリシア即答。


「え?」


「任務上の関係です」


「えっ」


なぜか俺がダメージ。


「特別な意味はありません」


「えええええええええ!?」


なぜだ。


なぜ少しショック。


ノアが呟く。


「めんどくさいですね人間関係」


「元凶が言うな」


こうして。


最上位護衛官は理解した。


拠点の真の脅威。


ナノマシンでも兵器でもない。


恋愛絡みの空気変化


最も危険である。


主に精神的に。

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