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文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


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ガルド視点:慣れという名の敗北

人間は順応する生き物だ。


それは知っている。


戦場でも。


終末世界でも。


極限環境でも。


だが。


「……いや慣れすぎだろこれ……」


庭を見ながら、俺は真顔で呟いた。


湖。


噴水。


意味不明拠点。


今日も安定の非常識空間。


初めてここを見た時は衝撃だった。


世界観が吹き飛んだ。


常識が崩壊した。


理解を拒否した。


なのに今は。


「まあいつも通りか」


で済ませている。


「順応って怖いわね……」


リナが遠い目をする。


本当にその通りだ。


この拠点はおかしい。


どう考えてもおかしい。


物理法則も世界観も怪しい。


だが。


問題はそこじゃない。


「お茶です!」


「おう」


普通に受け取っている自分が一番怖い。


昔の俺なら警戒していた。


未知技術。


未知AI。


未知環境。


危険要素の塊。


なのに今は。


完全に日常扱い。


そしてもう一つ。


最大の違和感。


「朝から騒がしいな」


こいつである。


主人公。


なぜだ。


なぜこの男が一番落ち着いている。


普通逆だろ。


終末世界の人間が慣れていて、


外から来た人間が困惑するはずだろ。


なのに。


この拠点では立場が逆転している。


エリシアが真面目に悩み、


リナが頭を抱え、


ノアが暴走し、


信者が跪き、


そしてこいつだけ。


「まあ平和だな」


……意味が分からん。


だが認めざるを得ない事実がある。


この拠点。


異常だが。


妙に居心地が良い。


安全。


飯がある。


風呂がある。


騒がしい。


退屈しない。


終末世界基準なら、


ここはどう考えても天国だ。


「理想郷では?」


信者の発言。


「違う」


即答したが。


完全否定できないのが困る。


結局のところ。


この拠点で起きている最大の異変。


それは湖でも噴水でもない。


「……俺たち全員、感覚狂ってないか……?」


誰も否定できなかった。


主人公を見る。


相変わらず平然。


……こいつが一番重症な気がする。


だが。


なぜか一番安心感があるのも事実だった。


「……ほんと、変な男だよな……」


俺は小さく笑った。


今日も非常識な朝の中で。

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