表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/113

エリシア視点:任務継続不能の理由

……理解できない。


私は庭を眺めながら、静かに思った。


世紀末世界。


終末環境。


危険地帯。


そのはずなのに。


なぜ湖があるのでしょう。


「噴水強化です!」


「やめなさい」


反射的に止めてしまった。


もはや習慣である。


この拠点は異常だ。


初日から結論は出ている。


技術水準。


設備規模。


環境制御。


全てが規格外。


だが。


問題はそこではない。


「朝から元気だな」


彼の声が聞こえる。


……この人物。


最も理解不能な存在。


終末世界で。


この環境で。


この拠点で。


なぜそんなに落ち着いているのでしょう。


普通の人間は動揺する。


警戒する。


混乱する。


恐怖する。


なのに。


「まあいつも通りか」


で済ませる。


意味が分からない。


本当に分からない。


最初は観察対象だった。


警戒対象だった。


評価対象だった。


だが今は違う。


「その設備は危険です」


私が指摘すると、


「そうか?」


本気で不思議そうな顔。


……危機感が薄いのか。


それとも。


この異常環境が本当に日常なのか。


理解不能。


極めて危険。


だが――


「……問題ありません」


気付けば、そう答えている自分がいた。


なぜでしょう。


この拠点は危険だ。


この環境は異常だ。


このAIは災害だ。


なのに。


不思議と緊張感が続かない。


「お茶です!」


「検査後にいただきます」


この会話にも慣れてきた。


慣れてはいけないのに。


そして最大の問題。


……ここは。


妙に居心地が良い。


警戒すべき場所。


任務対象拠点。


未知技術の塊。


それなのに。


「……長期駐留向きですね……」


思わず本音が漏れた。


「また一人侵食されてるわね……」


リナの呟き。


否定できない。


私は戦場で生きてきた。


無数の死地を越えてきた。


あらゆる極限環境を経験した。


だが。


この拠点が最も順応を拒む。


理性を崩壊させる。


判断基準を狂わせる。


極めて危険な場所である。


……主に精神的な意味で。


「……任務報告の難易度が過去最高です……」


私は小さくため息を吐いた。


この拠点の真の脅威。


それは技術ではない。


兵器でもない。


日常という名の侵食。


そして私は、まだ気付いていない。


最も深刻な症状に。


「……なぜあの人の隣は落ち着くのでしょう……」


それが一番危険だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ