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文明が滅びた近未来で、俺の万能ナノマシンが便利すぎて静かに暮らせない  作者: 月灯り庵


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22/35

静かな世界の異変

その異変に最初に気づいたのは、ガルドだった。


「……おい」


珍しく低い声。


いつものツッコミ調ではない。


「どうした」


俺が聞く。


「静かすぎる」


「いつも静かでしょ」


リナが淡々と返す。


だが。


「違う」


ガルドは即座に否定した。


「嫌な静けさだ」


空気が変わる。


わずかな緊張。


この作品では珍しい感覚。


「ノア」


「はい」


「外部スキャン」


「実行します」


珍しくノアも真面目な声。


──《異常反応を検出》


「…………」


「…………」


全員が固まる。


「異常って何だ」


「複数の移動体です」


「生存者?」


「違います」


一拍の間。


「武装集団の可能性が高いです」


空気が一変した。


「……は?」


リナの声が小さくなる。


モニター投影。


拠点へ接近する影。


人数多数。


明らかに装備持ち。


「……冗談でしょ」


「冗談ではありません」


ノアの即答。


笑顔なし。


完全シリアスモード。


「略奪者か……」


ガルドの声が低い。


今までで一番真面目だった。


「この世界じゃ珍しくない」


「……本当に来るの?」


「来ます」


緊張が走る。


拠点内に静寂。


さっきまでの騒がしさが嘘のようだった。


「防衛機構は?」


「使用可能です」


「……勝てるの?」


「問題ありません」


この言葉が、


初めて頼もしく聞こえた。


──ゴゴゴゴゴ……


拠点が変形を始める。


装甲展開。


防衛モード。


今度はギャグではない。


本物の要塞化。


「……なによこれ……」


リナが呆然と呟く。


「これが本来の使い方か……」


ガルドが静かに言う。


ノアの瞳が淡く光る。


だが今までと違う。


どこか冷たい光。


「マスター」


「ん?」


「少しだけ危険ですので」


一拍。


「下がっていてください」


完全に別人だった。


いつものポンコツAIではない。


戦術AIの顔。


外部。


接近する武装集団。


そして。


──ドンッ!!


次の瞬間。


衝撃。


轟音。


砂煙。


「……え?」


モニター映像。


武装集団、全員転倒。


壊滅。


一瞬。


「…………」


「…………」


「…………」


沈黙。


「……え?」


リナが呟く。


「……今、何が起きた?」


ノアがいつもの笑顔に戻る。


「威嚇射撃です!」


「威嚇の規模じゃないでしょ!!」


温度差崩壊。


リナのツッコミ復活。


「大丈夫ですよ!」


「大丈夫なのは分かったけど!!」


「やりすぎよ!!」


ガルドが呆然と呟く。


「……あれで威嚇……?」


拠点は今日も平和だった。


基準だけが完全に狂っていた。

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