8「同族」
「ザクロさん、何するんですか!?」
メイドは去る音を聞いて、ザクロはカトレアの口を塞いでいた手を退けた。
「別に?テメェはなんも食べてない、今死なれちゃ、オレが困る」
「…人間は一食抜いただけでは死にません」
夕食を食べていないことをなんで知っているのかわからないが、先ほどから心を読んでいるようなことを言う人?だ。もう無視しよう、突っ込んでいたらキリがない。
カトレアはそう決め込む。
「そうか?だが、腹が空かねぇわけじゃねぇだろ?頭使うから、食っとけ。それにタメでいいぜ」
そっちの方が面白そうだ。
ケッケッケと独特な笑い方を子狼の細長い口からこぼす。
「わかったわ」
カトレアの雰囲気がガラリと変わる、可憐な棘のない薔薇のような気配は息を顰め、触れたら棘が刺さりそうだ。
ザクロは満足気に歪な笑顔を深めた。
食事が運ばれ、それをテーブルに広げた。
「まずは、オメェが死ななきゃいけなかった意味を教えてやる」
肉に齧り付きながら、ザクロはあっさりと答える。
「わかるの!?」
「当たり前だろ。同族の気配なんぞ、見飽きるくらい知ってんだよ」
顔を苛立たし気に歪め、あっという間になくなった最後の一口をザクロは口に放り込んだ。
「同族?」
「つっても、“アイツの血”の影響で同族になっただけだ。元は人間の死霊の塊かもな“あれ”は」
ザクロの話が見えない。
カトレアは眉をひそめ、ザクロを睨む。
ザクロはカトレアの視線に気づき、あっ、とした顔をして、頭をかいた。
「まあ、同族云々はどうでもいいか。テメェには関係ないしな。
言えるのは、オメェの死因は、あの女に手を貸してるヤツが周囲の人間を操ってそうなるように仕向け孤立させたことだ」
「…色々と聞きたいことはあるけど。
つまり、私と同じくあの女がザクロのようなものを呼び出した。だから、私は前回、死んだということでいいのね?」
「そういうことだ」
ザクロが同意し、カトレアは頭が痛くなった。
あまりにも非現実的すぎる。元々、魔法が使える霊族ならまだしも、自分の母方の祖先がこの悪魔のようなものと契約を結んでいたのだろうか。それになぜ、私が狙われていたのだろうか。
疑問が常時、浮かび続けた。
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この作品において、ザクロがアイツと呼んでいる人物や同族については深く言及することはないです。
完結済みの作品「見知らぬ美女が旦那の部屋で寝ていたのだけど」も同じです。ただ、“同族”は出てきます。それが誰かは読んでみてください。




