No.556 鬼畜生キャップ
22世紀には今の効率くそみたいな英語教育も改善されて
偏差値50以上の大学を卒業していればギリギリ一般会話できる程度の英語力がある前提
って思ったが翻訳ツールが発達した場合どうなんだろうねマジで
「あ、ツナは「Eek…! Uh-uhm… I-I…」」
エロマからの証言を聞き、今度は妙に自分の死角に回り込もうとすり足で動いていたツナにノートが振り返って話しかけると、ツナは真っ赤な顔になってビクリと飛び跳ねた。
言葉もツナからは珍しく英語が聞こえる。JKはよく感情の高まりで翻訳のフィルターが外れやすいが(これはノート達が英語を理解できるから、というのもある)、ツナはそれ以上に訛りが優先されてあまり英語そのままで聞こえることは少ない、よほど感情が高ぶっている状態でもなければ。
ノートに見られているのも恥ずかしいのか俯くと、直剣を納刀している途中のGingerの後ろにそそくさとツナは逃げ込んだ。
GBHWでの特訓を経て、二人の仲もかなり深まったようである。
「Gingerは?」
「トン姉か、ほんの少しユリンっぽい感じもしたんじゃが、明確に違う感じがしたのお。危険な匂いもしおったし、不気味じゃったから反射で斬ってしまったんじゃ」
「ふーん、なるほどねぇ。あ、カるタは……いや、わかった、その反応で十分」
カラッとした様子で言ってのけるGinger。特に気にした様子もない。
その後ろでツナの更に後ろにそろりと隠れようとしたカるタはノートに声をかけられると、普段なかなか見せないような凄く切羽詰まった顔でノートを見ていた。
目で「察してくれ」と訴えていた。ここでは言えない、と。ノートはそれだけでカるタが誰を見たのか察してそれ以上の追及をやめた。
「因みにケバプさんは?」
「VM$さんに近い見た目ではありましたが、違和感は大きかったね。私も罠だと思ってすぐに攻撃したよ」
色々な反応を個々人が見せる中で、多分これで確定するだろうとケバプに問うと、ケバプも特に後ろめたさもなく答える。
これでノートの中では大体ギミックの内容が確定した。
「…………」
「え、無視ですか放置プレイですか御褒美ですか?」
「いや、もう、だって。殴ったんでしょ?」
「エミュがロークオリティーすぎてムカチャッカファイアーだったので」
「ああそう」
「素っ気ないこの感じ!これですよこれ!コレが鬼畜生キャップあひんっ」
大体先ほどの幻影の正体がつかめたノートがスルーしようとすると、ゴロワーズは勝手に申告してきた。ノートが最初に見たときはトンカチを振るっていた姿だったので、ゴロワーズも即座に攻撃した組だとわかっていたのだ。そして構ってほしそうにこちらをさりげなく見てくる素振りで誰が見えていたかを聞くまでもなかった。なのでノートはスルーでもいいかと思ったのだが、勝手にヒートアップし始めたのでデコピンでこれを沈黙させる。
「な、なんだよっ」
「………へっ」
「お前っ」
別の意味でスルーしようと考えていたスピリタスだが、顔を赤らめてノートを睨んでおり、そちらを向けば自然と目が合うわけで。
わかってますよとノートが揶揄い混じりに笑うと、見事に点火してつかみかかってきた。
スピリタスも見たときにビンタしたような姿勢になっていた。これは偽物と見破ったというより、皆の前で口説かれて(いるように錯覚して)羞恥心が上限を超えて咄嗟に手が出てしまったとみるべきとノートは見ていた。
「なんて言われたの?」
「言わせんなアホっ!」
「当ててやろうか」
「やめろっ!ここでやんなっ!」
あまりに弄りがいのある反応を楽しんでいると、ニヤニヤと胡散臭い笑みを浮かべたVM$
最終的に全員から何が起きたのか聞けたノートは、大体の答えを察する。
「(おそらく、パーティーメンバーの中で一番好感度の高い人物が口説いてくる、って感じかな?)」
ハッキリ見えた人物とそうでない人物。特に幻覚でノートが見えていたメンバー達はわかりやすい。
加えて、ヌコォが見えた、とJKが言った時点でもうほぼほぼその傾向は断定できる。正直ここで自分が見えたと言われた場合にはさてどうしようかとノートは薄ら思っていたのだ。その点、JKが自分から言ってくれたのはありがたかった。
一方でハッキリ見えなかったパターンは、断定するほど顕著ではなかったり、恋愛としての好感度とは違うのだと考えられる。
エロマにスピリタスが見えたのは、格闘技を習う師匠として好感度が高かったから。実際根が常識人な2人はノートから見ていても相性が良く仲が良い組み合わせと見ていた。
ケバプの場合であれば、このメンバーの中で一番付き合いが長い同郷の者で、若干孫のように接していた部分も無きにしも非ず故、VM$が見えた、と推測できる。アサイラムに加入した後は特に2人だけで動く様子はないが、時たま会話をしている様子は目撃している。国が同じではあるが年も離れ過ぎているので男女のアレコレを考えなくて済む関係というのは、VM$にとって存外貴重な存在なのだ。
他のメンバーには多かれ少なかれ猫を被るVM$。だがケバプだけには違う。祖父に甘える様に接してくるそんなVM$をケバプも可愛らしいと思っているのだ。
Gingerの場合ならよりシンプル。遊び相手として一番適格で、楽しいから、と考えられる。ただ、理想形はトン2クラスの実力があってなおかつもう少し背格好が高い人がいいという願望でも混ざったからか、姿が揺らいだ。そもそも恋愛に対する興味がないタイプなので、好みと言われてもピンときていない可能性があった。
「リーダーはなに見えたん?」
「みんな見えたよ?」
「う、うわぁ……曇りなき眼をしとる………」
一人で納得したような顔をしているノートに、いたずらっ子のような顔で周囲が気になっていたことを代表してVM$が問いかける。
対してノートはノータイムで回答する。誰よりも、何もやましいことはないと言わんばかりに、平然と。
間近でノートの目を見てしまったVM$は怪物と目が合ってしまったように少し青ざめて後ずさる。ちょっと面白半分でつついたらダメだったと白旗を振る。
「(いやー、やってることヤバくないかALLFOさぁ)」
そんなVM$はさておき。
アサイラムメンバーだったからまだしも、もし例えば、ラノベのラブコメみたいな状態のパーティーがここに入ったら修羅場じゃすまないんじゃないか、とノートは思う。下手したら人間関係に致命的な亀裂が入ってもおかしくない。カるタを除いて皆が誰が見えたか自分の口で申告したからいいが、男女混合のパーティーで下手に隠そうものなら、要らぬ誤解を生むケースも考えられる。
「(ん?むしろ同性だけのパーティーの方が…………)」
さてどんな地獄になってしまうのか。
冷静な人がギミックを推理してくれればいいが、誤解と思い込みのミルフィーユを経て変に拗れた時が最悪になりそうなギミック。
流石にこれはどうなのか、ALLFOに苦情を入れるべきか、今後踏み入るプレイヤー達が掲示板で絶叫するのを待つか。ノートは後者を選んだ。
なお、ノートは知らないが普通はもっとマイルドである。言われてみれば、いやでも、違うか?くらいの精度である。フィルター全カットなおかつ好感度の傾向がわかりやすいメンバーが多く、しかも変な称号を色々と持っていて、SOFIA的にも「コイツらならいいか」と判断したが故の特殊裁定に近い。なのでノートが期待する後発のパーティーブレイクの絶叫は残念ながらいつまで経ってもまず聞けないのである。
カるタ君が誰の姿を見たか当てたらセクシー大根ポイント1万点あげます
一応ヒントになってないヒント
①クランメンバーです(未登場ではない)
②カるタ君には彼女がいます
③重要なのは容姿です




