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始まり  作者: 安雲満
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歪められた霞烏山の神

何故、真津楽比古大王が侵攻を決めたのか、それは真津楽比古大王から寵愛を受けていた妃、阿古屋比売(あこやひめ)が西方の国に昔から伝わる話をの一つ、“聖なる山に棲む烏神”の話を寝物語に話した事から始まった

阿古屋比売にしてみたら、寝物語に話す程度の認識で話したに過ぎないが、真津楽比古大王に取っては旨味のある地の出身の妃が話した興味深い話。と言う認識であった

この、“聖なる山に棲む烏神”の話こそ、霞烏山に棲む霞烏神の事を差していた

共通点があるとするならそこだけで他は事実とかけ離れた内容になっていた

“聖なる山に棲む烏神”の話の原形となる伝承が遥か(いにしえ)の頃から珂津の部族連合首長家の直系血族にのみ脈々と受け継がれており阿古屋比売が伝承を受け継ぐに相応しい人間であるのなら

まだ分かるが、阿古屋比売は珂津部族連合首長家とは縁も所縁も無く血縁者が珂津の地にいる筈も無く珂津がどの様な地であるのかも知らず知っているのは出鱈目の様な話だけ

出鱈目と言うのは些か(いささか)言い過ぎだろうか、出鱈目と言うよりは、伝聞形式による国から国への伝播により時が経過すればする程乖離して行き、珂津の地にある霞烏山がどの様な山でどの様な神が霞烏山に棲まい、霞烏山がどの様な存在であるのかが部外者により歪められた結果“聖なる山に棲む烏神”の話が生まれた

それが洙族の琴線に触れているとも知らず・・・・

霞烏山の存在は洙邑を束ねる長、洙一族により霞烏山の存在は寧安国建国以前から洙一族が厳しく厳守されていた。

それでも漏れてしまう事もある

口の軽い者が口を滑らせてしまい霞烏山の存在が外部に漏れ、広まりその話は尾鰭が付いて広まったのだろう。


阿古屋比売は珂津の地出身では無く、都賢瑋から遠く離れた南方の国、砂于磨琉(さうまる)国出身ではあるが西方の国斐の国の大豪族、北振(きたふり)君の養女に迎えられ、北振君の娘として後宮に召し出され真津楽比古大王の寵愛を得た

砂于磨琉国は斐の国を通じて西方の国々とも交易を行っている為、繋がりが出来ていた。

阿古屋比売が真津楽比古大王に寵愛された理由は砂于磨琉国の有力者の娘である事や斐の国の大豪族北振君の孫である事が大きい


砂于磨琉は何世代に渡り交易を行い繋がりのある国がある。

南方にある部族連合の国、(しん)(しゃ)国は砂于磨琉との交易を行い交流は盛んだ。


王宮には珂津出身の者は王宮に多く、珂津の地理に詳しい者が多い

だから、情報を得るのは容易いと思われた。

しかし、珂津出身の者からその情報を聞き出す事は叶わなかった。

珂津出身の者達のほとんどが洙邑に縁故のある者が王宮に仕えているので、霞烏山の事が漏れる筈が無かった

烏神の元になる神や神が棲む山、物語の舞台となる地に住む者、烏神が棲まう山は霞烏山の事だが、霞烏山には山鄔族と山鄔族に仕える者達が暮らす集落しか人は住んでおらず部外者は霞烏山に棲まう霞烏神が生み出す毒に耐性のある人間はいない

霞烏山を下り人里に下りた先にある集落は龍樹族が暮らす龍樹邑のみ

珂津は、山鄔族と接点がある者が暮らす地域と山鄔族との関わりが一切無い者達が暮らす地域に分かれていた。

洙邑に縁故のある者達は前者に当たり霞烏山は洙邑の長、洙尚を始めとした洙一族が霞烏山の存在が外部に漏れぬ様厳しく厳守され最悪の場合洙族が私刑を下す事もあった。

寧安国の主である真津楽比古大王が、裁きを下すのでは無く、洙邑の長洙一族の族長洙尚の命によって・・・である。

洙邑の長は霞烏山と外界との中間地点を総括する役目を担い生殺与奪の権利を持つ

寧安国が建国以前からこの役割はありその歴史は古くからありこの部分に関しては寧安王家は不可侵犯領域となっていた。

その理由は、洙一族が寧安王室の圧力により屈服させられ権力を削がれる様な存在では無い事だ

洙一族と寧安王室の関係は洙一族の長、洙尚の姉が真津楽比古大王の即位前からの妃、洙妃と言う名の妃であり真津楽比古大王がとの間に何人もの子を成している

またの名を玻瑠照比売(はりてるひめ)と言う

この妃は、大王妃よりも強大な権力を持ち真津楽比古大王も洙妃は軽んじる事が出来ない存在であった









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