「ソロプレイ編④」
「そういえば、このゲームって他に誰がやってるの?」
怜は尋ねた。
閃や能勢、みのり以外にも知り合いがいるのか気になった。
『あー、あとミチもやってますよ』
どうやら光井もプレイしているらしい。
「そうなんだ」
『そのうちミチにも会うかもしれませんね!』
みのりが楽しそうに言った。
「光井はどんなキャラクターなの?」
怜が尋ねる。
『ブタです!』
みのりは即答した。
『ブタ……』
その姿を想像した怜は、思わず笑いをこらえた。
◆
『てか、怜先輩。あたしと一緒に住みません?』
先ほどの話の流れで、みのりは怜の現状を聞いていた。
「みのり、家持ってるの?」
怜は尋ねた。
『はい!って言っても小さいんですけど……』
『でも、増築すれば問題ないですし、一から建てるよりずっと安く済みますよ』
みのりはそう言った。
「いいの?」
怜は少し驚いたように尋ねる。
『もちろんです!(ていうか一緒に住みたいし)』
「みのりがいいなら、お願いしようかな」
怜は答えた。
『やったぁ♡決まりです!』
みのりは心から嬉しそうだった。
家の話題で思い出したが、閃も今はホームレス状態だった。
「……閃とは一緒に住んでないの?」
怜が尋ねる。
『閃先輩は違う人と”同棲”するんですって!』
『“ハルニャン”とかいう人と!』
みのりはほっぺを膨らませ、プンスカと怒るエフェクトを出していた。
「そ、そうなんだ……」
怜はその勢いに圧倒される。
『なーんて。全然怒ってないですよ!冗談です』
『ゲーム上の話ですし』
そう言って、みのりはケラケラと笑った。
◆
『あ、同棲の話なんですけど、怜先輩がしたいって思った時にしましょ』
『先輩もゲームを始めたばっかりで、まだ色々やりたいことがあると思うんで』
みのりはそう言った。
たしかに、怜にも他にやりたいことはたくさんある。
「ありがとう。そうさせてもらおうかな」
怜は微笑んで答えた。
『うふふ♡じゃ、あたしはこれで!』
そう言うと、みのりは手を振りながら去っていった。
(みのりのおかげで、なんとかやられずに済んだけど……)
(次からはちゃんと調べてから行かないといけない)
怜はそう思った。
◆
もふもふの村へ戻った怜は、改めて装備や持ち物を見直すことにした。
現在の所持金は1200チップ。
決して多い額ではない。
以前持っていた鉄の棒も、すでに売ってしまっている。
何となく村を歩いていると、不意に人だかりが目に入った。
(なんだろ……)
「さぁ!週に1度のガラガラくじだよぉー!」
「参加者1人につき1回!」
「誰でも無料で参加できるよぉー!」
広場では、ガラガラくじのイベントが開かれていた。
テーブルは5つ並び、それぞれに多くのプレイヤーが列を作っている。
(無料って言ってたな……やってみよ)
怜はとりあえず列の最後尾に並んだ。
◆
怜の番がやってきた。
正直、何が当たるのかはまったく分からないが、とりあえずガラガラくじを回してみる。
すると——
コロン、と転がり出てきたのは銀色の玉だった。
「おお!おめでとう!2等が当たったよぉー!」
カランカランと景気よく鐘が鳴る。
周囲の人たちがチャットで祝福してくれた。
怜は少し照れながら、ぺこりと頭を下げた。
「じゃあ、これ!2等の景品だよぉー!」
そう言って、店員はプレゼントBOXを手渡した。
怜は少しワクワクしながら、そのプレゼントBOXを開ける。
そこには——
“テカテカマッチョTシャツ”が入っていた。
▼テカテカマッチョTシャツ
(うわぁ!いらねぇー!!)
怜は久しぶりに、心の中で盛大に叫んだ。
——つづく。




