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魔法陣エンジニア|その天罰は、加護だった。群像×魔法犯罪×サスペンス  作者: chamoro
第二章 血濡れの魔法陣

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閑話休題 解呪師の新人研修

 年に数回ある、解呪師の新人研修。ローテーション形式で現役のチームに指導の順番が回ってくる。

 今回の担当は、ダミアン、ジャン、マルコのチームだった。


 仮想の事件として組まれた現場に赴き、実際の現場の状況を再現して研修が行われる。


 新人が幾つかのグループに分かれ、現場での対応を行う。

 ダミアンはその様子を観察し、指示を出していた。ジャンとマルコは、そのサポートだ。


「貴様、何をしている?邪魔だ。下がれ」


 ダミアンが、静かに新人を睨む。

 そう言われた新人はビクリとすくみ上がる。


 それを見たジャンが、サッと現れて新人に声をかける。


「落ち着け。今のはな、“危ないから無理するな。後ろに下がって安全確保しろ”って意味だ」

「え、そうなんですか…?」

「そうだ。主任は言い方が死ぬほど悪いだけだからな」



 ダミアンが、別のグループを見て眉間を寄せる。

 そして、事件現場の魔力を感知しながら、新人の一人に声をかける。


「貴様、そこから動くな。死にたいのか?」

「す、すみません……!」


 新人が、萎縮する。そこにサッとジャンが割り込み、明るい調子で、しかし、現場からは目を離さず、新人に話しかける。


「違う違う、怒ってるんじゃねぇ。今そこ動くと呪詛の範囲に入るから、じっとしてろって意味だ」

 そう言い、ジャンが怯えている新人の肩をポンと叩く。新人は、安堵してジャンの方を見た。


 そんなジャンを見てダミアンが口を開く。

「そう言っただろう」

「言ってねぇよ」



 さらに、別なグループの新人を見て、ダミアンが静かに口を開く。

「……魔力感知の精度が弱いな。貴様は下がれ。」


 そう言われた新人は、泣きそうな顔でダミアンの目を見た。

 そこに、マルコが慌てて新人に近づく。

「今のは、“今の現場は危険度が高いので、今回は後方支援に回って経験を積んでほしい”と言っていますね」

 マルコがそう言うと、新人の顔に、少しだけ安堵の表情が戻った。


 * * *


 演習が終わり、控室。

 ダミアン、ジャン、マルコの三人が、静かにコーヒーを飲む。

 そしてジャンが意を決し、ダミアンに対して口火を切った。


「主任、もう少し柔らかく言えないのか?新人が怯えてるぞ」


「何が問題だ。事実を言っているだけだが」

 ダミアンは、特に何も問題が無いような言い方をした。


 そこにマルコが、困ったように話しかける。

「主任、今の言い方だと3-4人は解呪師辞めますよ」


 ダミアンはマルコを見向きもせず、すぐにこう言った。

「なら向いていない」

 ※翻訳(この仕事は危険だから、適性を見極める必要がある)



 それを聞いたマルコが、悩ましく眉間を抑える。


「主任…人間は皆、主任みたいな精神力じゃないんですよ…」


「それが理由で辞めるなら、そのほうが本人も周囲も死なずに済む」

 ※翻訳(人にはそれぞれ適正があるから、向いていないなら辞めた方が安全だ)


 そのダミアンの発言を聞いて、マルコが渋い顔をしてダミアンに噛みついた。

「…主任が間違ってるとは言いませんが、それでも言い方っていうのが……死にたいのかなんて…」


「死ぬ位置にいるから、死にたいのかと聞いただけだが?」

「生き残る上で必要なことは、常に伝えている。」


「言い方ァ!!!!」

「まあ、諦めろ」

 ジャンが、ニヤつきながらマルコの肩をポンと叩いた。

いつも読んでいただきありがとうございます。


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