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魔法陣エンジニア|その天罰は、加護だった。群像×魔法犯罪×サスペンス  作者: chamoro
第二章 血濡れの魔法陣

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閑話休題 爆運の男

 ※このお話は本編とは直接関係のない、解呪師チームのとある日常です。


 ある日の昼下がり、解呪師の詰め所。

 ジャンとマルコが部屋で書類を書いていた。

 そこに、困惑した顔のダミアンが現れる。

 彼は、両手いっぱいに缶の飲み物を持っていた。


 ダミアン「おい。すぐそこの自販機こわれてるぞ」

 マルコ「あれ? 俺がさっき買った時は普通でしたけど?」

 ダミアン「連続で10回、当たりが出続けた」

 ジャン「それは壊れてるかもしれねぇなぁ。修理の人に連絡しておくか」

 ダミアン「そうしてくれ、これで3回目だ」

 マルコ「3回目!?」

 ダミアン「ああ、先月もそうだった」

 ジャン「……それって──」

 マルコ「……俺、ちょっと自販機で飲み物買ってみます」


 そういって、マルコが出ていく。

 数分後、マルコは沈黙のまま戻ってきた。

 手には一本だけジュースを持っている。

 その顔には「なんで当たらないんだ……」と困惑が滲んでいた。


 マルコ「……普通に買えましたけど……」

 ダミアン「……」

 マルコ「主任、確認なんですけど……最近、呪詛攻撃を受けてる心当たりってあります?」

 ダミアン「ない」

 マルコ「最近の主任、お店のくじ運、飲み物、抽選、全部一発です。むしろ怖いです。たとえば、他者の犠牲が必要なタイプの呪いとか──」

 ジャン「……それ、呪いって言わないんじゃないか?」

 マルコ「ジャンさん、過剰な幸運は絶対やばいですって。世界の均衡が崩れますよ」

 ジャン「そうかぁ?」

 マルコ「周りは誰も被害をうけてないんですね?」

 ダミアン「それはない」

 ジャン(あれ多分、精霊からの加護だよなぁ……)


 その数日後、ダミアンは別な自販機でまた当たりを出し、ジュースを8個ほど手に持っていた。

 マルコも流石にこれは呪いではないということに気づき、衝撃をうけていた。


 マルコ「ジャンさん、加護ってあんなに強くなるんですか……!?」

 ジャン「……まあな。個人差はあるが、あれぐらいの”祝福”を受ける奴はたまにいる」

 マルコ「祝福?加護じゃなくてですか?」

 ジャン「あれくらいになると、“加護”って呼び方じゃ足りねぇ。特に精霊に愛されてるって意味で、“祝福”って言うんだよ」

 マルコ「そういえば、俺、主任の後ろに立ってるときだけ、魔法攻撃の被弾がほとんど無いかも……」

 ジャン「……一応言っておくが、それお前の実力じゃねえからな?絶対無茶すんなよ?」


 マルコ「でも、主任って自分が豪運なことに気づいてないですよね?」

 ジャン「気づいてない。または、興味がない。だな、あれは」

 マルコ「えー! もったいなくないですか!? もっと使えばいいのに!」

 ジャン「……精霊は、豪運にあぐらをかいて悪用する奴には”祝福”を与えない。俺たちみたいなのとかな」

 マルコ「俺、一生あのレベルになれないってこと!?」

 ジャン「そ。まあ、観念して地道に努力しろってことだ」


 * * *


 マルコ「主任はもう、当たりつきの自販機は禁止で。幸運は現場で使ってください……ある日突然無くなったら怖いです」


 そうマルコに言われ、ダミアンは数週間、『当たりつき』の自販機を避けて暮らすことになった。

 彼の爆運が、次にどこで発動するか――チームの誰もまだわからない。

いつも読んでいただきありがとうございます。

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因みに、本人はあまり気づいてないですが、ジャンも現場では強力な加護が発動してます(ダミアンや他の人だけ気づいている)

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