ダークマター=サブスクリプション㊶
ラビが護衛に回って正解だった。流れ弾なんて生温い攻撃ではなかった。亀は一切動かない。その山とも見間違える巨体故、前足を踏み出すことすら億劫。戦闘において重要な要素を占めるスピードがゼロ。引き替えての圧倒的火力。甲羅が光るとそこから無数の青いビームがあらゆる方向へ一遍に放たれる。狙いなんてありゃしない。亀からすれば糸のように細い光線なのかもしれないが、ラビやフィオを丸々飲み込んでしまいそうな丸太大の無属性ビームが一定間隔で発射され続けた。5秒に1回。全方向に高威力の砲撃を短い間隔で放つ幻魔の強力な攻撃だが、反撃は可能。魔導銃と大剣の刀気で頭やら甲羅へお返しするも、効いているんだかどうだか。蚊に刺された程の反応も示さない亀であった。
気付いたら穴だらけ。地面だけではない。背後の山だって流星群にも似た流れ弾のせいでボコボコ。如月、クォーダの2人はうまくレーザー攻撃をかわしてはいるものの、予期せぬ事態に遭遇していた。どこもかしこも穴だらけ、足の踏み場もない戦場で戦わざるをえなくなってしまった。殊に影響を受けるのはやはり如月。非力で耐久力にも秀でていない如月は、どうしても素速く動いて幻魔の飛び道具を回避し続けなければならない。クォーダ程の力と体力があれば剣で弾くことも可能なのだが、残念ながら如月にその腕力は備わっていない。バランスを崩した途端、格好の餌食となりかねない。マジックポイントを消費して魔法の盾を召喚することはできるが、できれば盾には頼りたくなかった。自信がなかった。一発、二発ならば防ぐことはできよう。しかし防御で手一杯となり、その場から動けなくなれば、次々と襲い来るビーム砲に串刺しにされうる。一歩踏み違えることが、致命傷になりかねない。




