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ダークマター=サブスクリプション㊵


 「私のことを、覚えているか。」

摩天楼を見上げ、語り掛けるラビ。その顔は世界の終わりを憂うかのよう。届くかどうかは分からないが、けじめはつけなくてはならない。仲間を前へ進める為に終わらさなければならないことがある。例えそれが、自分自身であっても。

「カメタロウの名を授けた者、か。」

亀の返答にラビの表情がぱっと明るくなる。

「そうだ!私だ、ラビだっ。久し振りだな、カメタロウ!覚えていてくれて嬉しいぞ。」

友達に喋り掛ける軽い口調へ変調したラビに、応答はなかった。ラビの高揚も元に戻る。

「カメタロウ。もうやめよう。」

沈黙を貫くカメタロウ。

「間違っていたのは私だ。この世界はお前達が暮らすには狭すぎる。他の種族が多すぎる。だから、どうか―消えてくれないか。」

望みとあれば、私も連れて行って構わない。そう付け加える前にカメタロウが静かな声を発した。

「我々は、魔族を滅ぼす為、そして人間族を滅ぼす為に造られた存在だ。」

そう。造ったのは私だ。だからもし、それでお前達の気が済むのならば―

 「昔話に花が咲いているとこ悪ぃんだが―」

「始めさせてもらうぞ。」

クォーダと如月がラビに合流した。

「ラビはフィオを守ってやってくれないか。」

如月が膝を折って、優しくラビにお願いをした。

「フィオはもうマジックポイントを使い切ってしまったからさ。もしも流れ弾が飛んでいったら危ないだろう。」

普段であれば駄々をこねるラビだったが、今回は素直に願いを訊き入れた。感情なく分かったと言うとずっと向こう、山麓(さんれい)の木陰で休んでいるフィオの方へ歩き出した。小さな背中は今にも消えてしまいそう。透けて見えそうな程に心許なかった。

 理由とかいきさつとか、正義だとか倫理だとか、そんなものはどうでも良かった。話は大体分かった。というか、如月とクォーダはバレージから大まかな話を訊かされていた、知っておいた方が善かろうと。

が、そんな話もどうでも良かった。ラビのあんな悲しい背中は見ていられなかった。もしもラビに罪があるというなれば、それは俺達が許す。幻魔や賢者や神にも抗おう。俺達がラビの味方だ。文句のある奴はかかってくればいいさ、ぶっ潰してやるから。

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