現場のアイディアという名のカオスに流される企画書(涙)
とんでもないことに読み手(お犬様)の方からとばりのファンアートを頂きました(゜Д゜ノ)ノ
URLを張る許可を頂いたのでぜひ見てくだせぇ。
みてみんURL: https://42204.mitemin.net/i759361/
もともと別件主体で来ていたらしい桔梗とはあれからすぐ別れた。
屏風覗きの前に現れたのは挨拶のついでにスマホっぽいもの『俗称・板』の情報について、一足早く近況を伝えるため。
人はそれに縁があると、わずかな情報からでも何か引っかかるものを感じる時というのがあるからね。こういうカンというか、変にまとわりつく縁という影響力を馬鹿に出来ないのが生き物だ。何気なく知ったくだらない情報ひとつとっても、どこかにその縁に繋がるヒントが隠れていたりする。
そして悪縁ほどどこまでもついて回るもの。かつて妖怪が下界の人間と作ってしまった縁は間違いなく悪縁の類だろう。
――――この悪縁の元凶はふたつ。
ひとつは奪われた幽世の宝とやら。そしてもうひとつはこのスマホっぽいものだ。特に妖怪の国を脅かしかねないこの『板』とその出所は、いずれ必ず押さえねばならない。
今のところは下界との行き来に制限があるが、将来的なアップデートで人間たちが軍勢を送り込めるような機能が追加される可能性もあるのだから。そうなる前にさっさと回収するなり奪うなりして、下界との接点を完全に断ってしまったほうがいい。
なにせ屏風覗きの『04』と黒曜の『03』が下界と幽世を行き来できるのだ、下界の人間と懇意にしているらしい『02』が出来ないとは言えないだろう。山内の『05』は出来なかったようだが、検証できる数が少な過ぎて個体差か性能差かの断定はまだできない。
便利に使っているのに未だ謎だらけのスマホっぽいもの。これが何なのかはひとまず置こう。
確認しているスマホっぽいものの数は今のところ5枚。そのうちの1枚、黒曜の持っていた『03』は屏風覗きの持つ『04』に統合されて消滅した。
現世から来た女学生、山内苺の持っていた『05』は没収して立花様に預けている。
残りは『01』と『02』。
ただし『01』は味方っぽい――――屏風も知る御方の影が見え隠れしている。確定ではないが。
目下の問題はやはり『02』だろう。持ち主の正体は当然、どこにいるのかもまだ分からない。
本人の拠点は下界のいずこかと思っていたが、今回の話から藍ノ国に潜伏している疑いがやや強まった気がするのは飛躍しすぎだろうか?
『02』は山内を保護しており、藍ノ国から山内の作った印鑑を流す伝手を持っていた。
さらに藍の商人の落とした荷物によって山に潜伏していた黒曜が『03』を拾う切っ掛となったとすれば、そこに誰かしらの意図を感じてしまう。
まあ商人の落とし物に関してはまだ情報として確定していないし、あまりに突飛すぎる発想だと自分でも思うけどね。
ただ相手は文字通りお山の大将として贅沢してきた黒曜だ。失脚したからと言って今さら山に隠れて質素に暮らすなどできないと踏み、通りかかった商人から金目の物を奪わせることを目論んだ気がしてならない。
ダメだ。『落とした』という表現がどうしても気にかかる。それは本当に落としたのか? わざわざ運んできた商品ならよほど変な場所に落ちない限りは見つかるまで探すだろうに。
もう少し詳しく聞きたかったが部署の違う相手に根掘り葉掘り聞かれても鬱陶しいだけだろう。彼女からすればお礼の意味も含めて、立花様にご報告前にフライング気味に教えてくれたのだろうし。
どだい屏風は賢人ではない。頭の悪い人間は頭が悪いなりに、目先の事をコツコツと片付けていくしかない。たとえ効率が悪いと笑われようと、やらないより問題は減るだろうさ。
宿に許可をもらって各部屋を遮る襖を取り払い、大きな一室にすることで即席の稽古場とする。こういうとき昔の和室は便利だ。なにせ隣を隔てるのは壁ではなく襖だけなのだから。
そういえば旅館の謎スペースは外廊下の名残らしいね。昔の宿の部屋は廊下で囲まれるような形だったんだとか。ホテルで寝るとき壁際じゃないと落ち着けないタイプの人とか大変だったろうな。内側にいても旅仲間に囲まれ、外側でも誰かが歩く音や気配がするだろうし。
「ほりゃ。騒いどらんとちゃんと筆をとらんか。後で見せてくれは通らぬぞ」
タヌキ座長こと設樂氏が前足を叩いて音頭を取ると、それまで好き勝手していた一座の皆が紙と筆を持って座っていく。
浦風一座との稽古に入る前に、突貫で書き殴った台本を清書がてら全員の認識共有を深めていこう。なんせコピー機なんて便利な物は無い世界なので、何事も人海戦術だけが頼りなのだ。
それにキャラクターの個性や物語の流れが妖怪ごとにブレては、観ている人にも演じている役者にも違和感が出てしまう。最初の段階で全員のお話への理解を共有したほうがいい。それとおのおのが清書していけば、嫌でもセリフが頭に入るだろうとの姑息な考えもある。
まずはストーリーの大筋の流れと、それぞれの役割。何より世界観を共有して一座の空気を一体にしないといけない。芝居とは物語という夢を売る商売だ。客が違和感を感じて素面になられては困るのである。
話の流れは王道の勧善懲悪もの。変に複雑にするには稽古時間が足りなすぎるから、いっそ話自体は知らなくてもスジを想像できる定番物がいいだろう。
知り合いの道楽隠居の観光に小遣い稼ぎも兼ねて、護衛として付き合ってやった若侍らレギュラーメンバーたちが活躍するというのが主なストーリー。
道中立ち寄った黄ノ国の小さな町で、役人と結託した悪党が町の者や旅人たちから金を巻き上げているとの話を聞くのが導入。そして若侍たちも案の定ターゲーットにされて――――という巻き込まれ型のエピソードから入ることになる。
つまり、だいたい屏風が首都に入る前に体験した実体験です。この場合、屏風覗きが道楽隠居で若侍が東名山様の元ネタとなるのかな。誰が道楽隠居やねん。いかん、心のろくろちゃんが突っ込んでしまう。
そして今回重要になるのは色恋パートだ。
ただし恋人役はあくまでゲスト枠。じっくりと思慕を練り込む期間は無いので、実は女の子である若侍にちょっと気のある素振りを見せられて舞い上がった初心な輩とする。そして若侍たちを助けるために動いた結果、悪党の凶刃によって散る。というのが大筋だ。
これなら若侍の気持ちがどこにあっても角は立つまい。初めての恋に暴走機関車と化した若者と書くと青春だけど、現実のように勘違い野郎やストーカーにならずにさっさと退場するのが利点だろうか。
死に役のゲストモブ。実に屏風覗きらしい役どころだろう。
「白石様ぁ、若侍のほうが相手に恋するのではいかんのやろか?」
じゃあ話のスジはいいとしてぼちぼち清書していこう、という段階で一座でも設樂氏に次いでまとめ役になっているお栄さんから、そんな返答に困る質問が入ってしまった。
「まあのぉ。客から浦の字と白石様を見たとして、どちらかと言えば間違いなく若侍役の浦坊のほうが初心じゃろうな」
「男を片手で投げ飛ばしたことはあっても、そっと手を繋いだことなど無さそうじゃしの」
「それまで平気であったのに好いたことで目も合わせられん、という女子の機微も、今の浦の字ならすぐモノにできるはずですわ。なんとかならりまへんか?」
それだと話が全然違ってくるんですが。こっちは徹夜で書いたのに、あっという間に魔改造を提案されてしまった。これが創作現場のノリか、恐ろしや。
「てめえら好き勝手言ってんじゃねえよ!」
あたいだってなぁ、 男と手を繋いだくらい、繋いだ、くらい。
そんな感じに出した言葉がどんどんしぼんでいく浦衛門。
こっちのまじまじとした視線を受けて恥ずかしくなったのか、お顔真っ赤である。別に色恋に疎い人を馬鹿にするような人間ではないので安心してほしい。そもそも付き合った数やときめいた数を自慢する輩など、単に節操が無くて関係が長続きしないだけの人なのだから。
恋なんてしょせん熱病だ。苦い記憶という薬を飲んで、気付けば治っているものである。いけない、目から汗が。
しかし、確かに今の浦衛門を見るとこのリアリティは捨てがたい。下手な台本よりずっと訴えかけるものがある。性癖というか、出羽亀根性みたいな? 他人の恋愛話となると突っ込んでくる女子の癖に刺さりそう。
というわけで言い出しっぺの法則として、君らにもシナリオ起こしてもらいます。
えー、じゃない。徹夜の恨みを思い知れ。書いたテキストまるまる破棄じゃねえか。
<実績解除 企画倒れ 1000ポイント>




