19 楽しい時間とムヤムヤの正体
遅くなってすみません。
受験勉強をしていたら、こんなに時間が空くまで更新できませんでした。
これからは頑張って更新していくので、よろしくお願いします!
「それじゃあ、カンパーイ!」
香里奈の声の後、カンッという音が生徒会室に響いた。
生徒会室にある机の上にはさっき買ってきたお菓子などが端まで一杯に置かれていた。
そのうちの一つを拓磨が、他の一つを幸宏が、他の一つを蓮が開けていた。
しかし三人が開けたのは全てポテチの袋だったのがわかると、香里奈が席から立ち上がって抗議した。
「ちょっ、何で三人してポテチの袋を開けるんですか! そこはチョコとか甘い物も開けてくださいよ!」
「だって被っちゃったんだからしょうがないじゃん?」
「それに最終的にポテチも全部食べるんだから今食べても同じでしょ」
「同じじゃないですよ! しょっぱいじゃないですか! 甘い物が欲しくなりますよ、絶対!」
香里奈はそう言い切ると、私の方を向いて同意を求めてきた。
私はしばらく頭の中で考えていたが、確かに欲しくなるなと思ったので香里奈の言ったことに同意した。
私が頷いたのを確認した香里奈は、三人にどや顔をしながら言い放った。
「ほらぁ、愛留奈もこう言ってるじゃないですか! やっぱり偏ってるのは嫌なんですよ!」
「うっ……愛留奈さんがそう言うなら、チョコも――」
「ほらよ。食べたいんだろ?」
拓磨が顔をひきつらせてチョコを開けようと手を伸ばした時、私の目の前にチョコが現れた。
その方向に目を向けてみると、若干顔を赤くしながらチョコを差し出している静悟がいた。
「え」
「だからっ、チョコ食べたいんだろ!? ほらっ、毒なんて盛ってねーから安心して食え!」
いや、別にそんな心配をしている訳ではないんだけど…。
だけど確かに甘い物が欲しかったから、素直に「ありがとうございます」と言って食べ始めた。
そしたら再び顔を赤くしてたけど、どうしたのかな?
横では黒いオーラを出しながら静悟を睨んでいる拓磨もいるし…。
そんな私達を見ていた龍次は一瞬悩んだ後、ポツリと「餌付け?」と呟いた。
その言葉が耳に入った三人が一斉に龍次の方を向き、真剣な顔で否定し始めた。
「先輩、失礼なことを言わないでくださいっ! 愛留奈が餌付けをしてるんですよ!」
「そうです……って、ちょっと待て! 俺は餌付けされてないからな!?」
「つまり、さっきのを餌付け感覚でしていたんだ……。
とりあえず先輩、愛留奈さんを動物みたいに言わないでください。兎とかは可愛いからともかく」
「確かに可愛いよねー、兎って♪ 愛留奈にぴったりだもん!」
「いや、それはそれでどうなんだ!? 確かに可愛いけど……って、何言ってんだ俺は!」
………………………何このカオスは。
というか私って可愛いのか? 確かにゲームでの佐渡山愛留奈は可愛かったけど…。
そう思っていると、今度は開いてあるポテチの袋が二つ目の前に現れた。
その方向を見てみると、笑顔で差し出している蓮と顔を赤くしながら差し出している真沙斗がいた。
「先輩、開けてしまったのでこれも食べてください」
「愛留奈先輩っ、どどどっ、どうぞっ!」
「あ、うん。ありがとう」
私はそう言って二人が持っているポテチの袋からそれぞれ一枚ずつもらった。
一枚食べるとその様子を見ていた蓮が「先輩の食べ方、可愛いですね」と言ってきた。
「へ?」
「いやだから、先輩の食べ方が可愛いですねって。小さく食べているので」
「え……おかしい?」
「おかしいというか、先輩自身を食べたくなります」
その言葉を、蓮が微笑みながら言い放った。
それを聞いていた真沙斗は目を見開きながら蓮を見ており、向こうで言い争いをしていた四人が驚愕な目で蓮を見た。
話に加わらずにニコニコしながら見ていた幸宏は、お腹に手を当てて笑い始めた。
「ちょっと蓮!? 何言ってるの!?」
「そうだよ! 愛留奈にそんなこと言わないでー!」
「つーかお前、コイツに興味があったのかよ!」
「いくら後輩でも、譲れないことがあるんだからね?」
「大丈夫ですよ。人のいないところで食べますから」
「そういう問題じゃないと思うが……」
「アハハハハハハッ! 蓮も言うようになったね、アハハハッ!」
色々なことを言いながら楽しく談笑する七人。
私はその様子を見ながら、この前のムヤムヤの正体を理解した。
(ああ、そう、だ。本来ならいないんだ。この場所に、私は、佐渡山愛留奈は)
そう、ゲームでなら佐渡山愛留奈は出てきていない。本当は、成績発表の時点でつるんでいないんだ。
それなのに、ここにいる。何故かいない人物が、この輪の中にいる。
じゃあ、どうしている? いるのがおかしい私は、どうして未だにここにいるんだ?
私は訳がわからなくなり、それを誤魔化すようにしてチョコをパクリと食べた。
甘い味と香りが、口の中に染み渡った。




