表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新装版】オレンジボイス 〜女装してアイドル声優になった結果、周りが地雷だらけで詰んだ件〜  作者: 乙希々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/114

《続》小倉ももは、決して許さない。①(激おこ)

 ──週末。とある回転寿司チェーン。


「──あ、橙華とうかさん、お醤油お願いします」

「ぁ、はい……」


 テーブルを挟んで向かい合う、夏服に衣替えした白セーラー服姿が一見清楚なJK(女子高生)は、一皿500円(税抜)の大トロ皿を躊躇なく回転レーンから引ったくるなり、パキンと割り箸を割った。


 対し僕は、例に漏れず青少年保護条例対策として文系女子大生に偽装し、レーンを流れる中トロ皿に一旦手を伸ばしかけたが、財布事情により泣く泣くスルー、一皿110円のサーモンで妥協しつつも、目の前でご機嫌斜めなJK──小倉もも(本名不詳)の顔色をただひたすらうかがっているところだ。


「ぁ、あの……」

「もぐもぐ(数量限定本マグロを咀嚼)」

「え、ええっと、それで……今日はボク、私に一体何の用かな、先週もファミレスで会ったばかり──」

「もぐもぐ(続けて北海道産ホタテを咀嚼)」


 なるほど。無視ですか、そうですか……。


「あのぉ、そのぉ……、ええっと……、ももちゃん……」


 ──ドン!


「ひっ!」


 突然、目の前で湯呑みをテーブルに叩きつけられ、前髪ぱっつんの美少女顔が至近距離まで迫りくり、僕はメイドボイスでガチな悲鳴。


「……わたし、怒っています。激おこです」


 妹系ボイス──「激おこだよ!(CV小倉もも)」を頂き……じゃなくて。


「な、ななな、なんで?」


 と言っても大方、先日の海、グラビア撮影の件だろうな……。


「──え、ええっと……そそその、もしかして、あやちゃん(東雲)と撮影で行った海のこと? だ、だったらあれは、その」

「えっ……、撮影? 海?」


 しまった、墓穴を掘った。


「……ぁ、あ、あの、今のはナシで……ひっ、い、いや、だ、だからね、撮影って言ってもさ、ちょ、ちょっと海でワチャワチャするぐらいだったし」

「綾乃さんと二人で海でイチャイチャ……」

「い、いや、〝イチャイチャ〟じゃなくて〝ワチャワチャ〟ここ大事だから! 砂浜で水着になって、はしゃぐ程度で」

「み、みみ水着ですか!? あ、綾乃さんの尊い水着姿……ぽわあ〜、じゃないですっ、橙華さん! 綾乃さんと海って、一体どういうことですか! ここで洗いざらい話してください、さあ今すぐっ!」

「うっ……」


 突き出された右の人差し指が、鼻の穴を直撃しそうな勢いで万事休す。


(い、いや待て。よくよく考えれば、自分は何も悪くない。あくまでも「仕事」の撮影で海に行っただけだし……って、思い出したぁああ! 桃色水着お尻どアップショット──いやいやいやいや、流石にアレは誌面的にNG……だよな?)


 ある意味、特級呪物になりかねないグラビア写真の可否は、早急に柏木(敬称略)に確認するとして、今は目の前でぽわんぽわん鼻息を荒くしているJKについてだ。


 このまま店内で騒げば、店員から警察を呼ばれかねない。そうなると色々とヤバい。成人した男が性別詐称して未成年女子と会っている時点で間違いなく不審者認定。身バレした時点で声優どころか、人生そのものが詰みかねん。


 だからここは慌てず騒がず、お茶をズズッとすすり。


「ももちゃん、気持ちも分かるけれど、一旦落ち着かない? ほらお寿司がどんどん流れてくるよ、この玉子なんかふわふわしてて凄く美味しそうじゃない、ね!」


 表面上だけは、仲の良い姉妹を演じ、優しい朗らかな姉らしい面立ちで、駄々っ子の妹──ももちゃんを優しくなだめた。


「そうですね、わたし、少々熱くなっていたかも知れません」


 と。


 ももちゃんは流れてきた「炙りノドグロ(380円)」の皿を静かに掠め取り、醤油にドボリと浸しつつ──突如、ぱっつん前髪の隙間から覗く眼球がギロリと開眼。


「──橙華《《お姉様》》」

「お、オネエサマ?」


(えー、何故ここでお姉様呼び!? いや、いちおうももちゃんの姉を演じてたけど、でもどうせだったら……お兄様、とか、お兄ちゃん♡ でお願いしま──)


「──わたし、わたしだって、綾乃さんと海に行きたいです!」


「え?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ