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鉄パンツの王女、宮廷に現る  作者: まこ


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6/6

変わり者の王太子妃

朝から目まぐるしく時間が流れた一日が、ようやく終わろうとしていた。

王太子夫妻の婚儀に続く夜会も無事に終わり、

テオドール、フィリップス、ランドールの三名は控室でぐったりと疲れを癒していた。


「ってかさ……王太子妃、何なんだよ。もはや本の虫の面影ゼロだろ?」


テオドールがフィリップスへ視線を送ると、

フィリップスはあっさりと言った。


「本の虫は“見せかけ”だよ。むしろ大嫌いらしい」


サラッと投げられた事実に、テオドールとランドールは一瞬思考停止し、

次の瞬間、同時にフィリップスへ視線を戻す。


フィリップスは深くため息を吐き、

クラリスから聞いた話――“三ヶ国の王子比較”をそのまま二人へ伝えた。


「……ハズレ、って……」


「……ペラッペラって……」


呆けた声が控室にふたつ響く。

しばらく呆然としたのち、テオドールが口を開いた。


「で? 本の虫の正体は、実はワガママ王女でした~ってオチか?」


悪態まじりの言葉に、フィリップスは真顔で首を振る。


「じゃあ……よくある脳内花畑系?」


ランドールの推測にも、フィリップスはまた首を振る。


「……」


「だぁー、めんどくせぇ。じゃあ何だ? 頭空っぽ? 傲慢? お人形タイプ?」


テオドールは長い足を投げ出し、完全に投げやりモード。

しかしフィリップスは含み笑いをしながら、またしても否定の首振り。


その様子を見たランドールが、何かを読み取るように頷くと、

フィリップスは小さく笑って説明した。


「妃殿下は仕事ができるし、本の虫じゃなくても学はある。

元王女だから品位も備えているし、かといって冷たくもない。

それにユーモアまである」


しばらく黙っていたテオドールは固まったまま言葉を失い──


「……それって、完璧じゃねぇか」


ランドールも腕を組みながら感心したように言う。


「なるほど。俺たちが侍らせてた令嬢とは、そもそもの格が違うわけだ」


フィリップスは満足げに頷き、


「後は――フリード殿下次第だな」


テオドールは側近として思考を巡らせ、

やがてニヤリと笑った。


「今夜は初夜だしな。あのフリードなら……まあ、大丈夫だろ」


三人はそれぞれ思いを馳せながら、静かにグラスを傾けた。

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