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鉄パンツの王女、宮廷に現る  作者: まこ


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5/6

ハズレ王子と変わらぬ王女

ご機嫌ななめなご様子ですね?


王太子妃付きとなった側近の一人、フィリップスがクラリスへ声をかけた。


「別に悪くはないわよ?」


クラリスは大きな瞳をさらに大きく見開き、フィリップスを鋭く睨みつける。


……相当お怒りだな、これは(苦笑)


「昔のまま、まっっったく成長してないのよ、あの王子は!」


「クラリス様は、随分とお変わりになられましたが?」


再び睨まれ、フィリップスは肩をすくめる。


「そう言えばあなたも変わらないわね? いつも殿下と一緒に、令嬢を侍らせて楽しそうにしてたでしょう?」


「クラリス様、人聞きの悪い言い方はおやめください。侍らせていたのではなく、向こうが寄ってきたのです。仕方ないでしょう(笑)」


クラリスは、大げさなほど深いため息を吐いた。


「……とんだハズレ王子だわ」


「ハ、ハズレ?」


フィリップスが首を傾げると、クラリスは淡々と語り出した。


「私は幼い頃から、どこかの国に嫁ぐことが決まっていたの。

候補は三つ。どことは言わないけど、全部留学して確かめたわ」


クラリスは目を閉じ、思い返すように続ける。


「一つ目は、冷たさすら感じるほどクールな王子。遠い存在そのものだったわ。

そして二つ目は、絵本から飛び出したみたいに優しい笑顔の“白馬の王子様”。」


……白馬? そんな奴、見たことないけど?


「そして三つ目。薄っぺらい笑顔を撒き散らし、品位の欠片もない令嬢を侍らせて練り歩く能なし王子」


……それ、つまり“ハズレ王子”確定ってことか?


フィリップスは乾いた笑いを浮かべ、何とかクラリスの機嫌を取ろうとする。


「クラリス様……図書館にでもご案内しましょうか?」


クラリスの瞳が細くなる。


「浅はかね。私、本なんて好きでもないし、むしろ大っ嫌いよ!」


……え? まじで? あれほど本にかじりついてたじゃないか!?


困惑するフィリップスへ、クラリスは手をひらりと振った。


「お気遣いは無用。――で、婚儀までに私がしなければならないことは?」


すっと表情を王女のものへと切り替えると、フィリップスもまた側近の顔に戻り、

二人はそのまま打ち合わせへと入っていった。

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