1-11. グラフ、曲線とその方程式:Graphs. The equation of a curve
窓の外には星が瞬き始め、部屋の中はランプの温かな光に包まれています。透はノートに描かれた座標軸をじっと見つめていました。
「お母さん、座標があれば、点はどこにでも打てるね。でも、この『グラフ(Graphs)』って、結局どういう意味があるの?」
私は透の隣に座り、鉛筆を手に取りました。
「いい? 透。座標平面に打たれた『点』は、ただの場所じゃないの。あるルールに従って動く点の軌跡が、美しい『形』を作る。それがグラフなのよ。そして、そのルールを言葉にしたものが『曲線の方程式(The equation of a curve)』なの。」
私はノートに、原点を通る一本のまっすぐな線を描きました。
「例えば、この直線を考えてみて。この線の上にある点は、どれも『 yの数字が、xの数字と同じ』というルールを守っているとするわね。そうすると、このルールは y = x という短い式で書ける。これがこの『直線』の正体、つまり方程式なのよ。」
「式が形になるんだね。」
「そう。逆に言えば、どんなに複雑な形……例えば円や、星が描く楕円、噴水が描く放物線だって、すべて一つの『方程式』という種から生まれるの。 x と y という二つの変数が、お互いに縛り合い、約束を守りながら動くことで、バラバラな点が一本の『曲線』として浮かび上がってくるのよ。」
私はページをめくり、スミルノフの本に載っている美しい曲線たちを指差しました。
「数学者はね、このグラフを見るだけで、その背後にある『法則』を読み取ることができるの。グラフは、数式という目に見えない魔法を、私たちの目に見える形に通訳してくれる『絵本』のようなものね。」
「じゃあ、この式がわかれば、未来の点の場所もわかるの?」
「ええ、その通り。惑星が次にどこに行くのか、投げたボールがどこに落ちるのか。すべてはこの『曲線の方程式』の中に書かれているわ。数学は、世界の動きを予言する言葉でもあるのよ。」
透は自分のノートに、今度は y = x^2 という新しいルールを書いてみました。点が少しずつカーブを描きながら昇っていく様子を見て、彼は小さく歓声を上げました。
「さあ、今夜はここまでにしましょう。明日はもっと不思議な曲線たちに会いに行きましょうね。」




