表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/185

第069話 夜に舞う蝶

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。

日が暮れて依頼組と合流することになった。

ティキアの時のように周辺の地域にも何かあるかと思ったが、どこにもおかしな場所は無かったようだ。


「魔物の種類は鳥系の魔物が多かったな。遠距離攻撃がないと不便だったが、射撃精度を上げるのにはいい練習になった。」


「鳥系か。外にそんな魔物が多いのなら外壁があっても魔物が入ってくる可能性があるだろうな。」


「結界かなにかが張ってあるんじゃないですかね?」


殺生を嫌うこの国で魔物とどう付き合っていくのかが気になる。


「アタシ達も少しぐらいは収穫があったわ。賢者についてだけど、夜に誰かと接触しているのを街の人に目撃されているわ。」


「それは変なことじゃないのでは?」


「相手が普通の人間ならね。わざわざ教会であって女神と似た格好をさせていたらしいわ。それに、顔は絶世の美少女らしい。あの賢者の孫って言われても信じられないわよ。」


「補足すると、そいつと会っているであろう20時から22時にはなるべく教会に人を寄せ付けないようにしている。これは、疾しいことをしていますと言っているようなものだろ。」


多少無理やりな部分もあるが、賢者の行動が怪しいと思うのには十分なほどの判断材料だ。


この話合いをしている間にも清水は孤立してしまった。

小原は清水についていったがこの話し合いにはしっかりと参加している。

だが、清水は聞こえる範囲にいるものの会話に参加するつもりは全くないようだ。


「なら、直接確かめるしかないのではないですか?」


「それが1番早いかもしれないな。けど、夜でも民衆の監視があるだろう。」


「そうね。今日の聞き取りでも街の人がアタシ達はずっと監視しているような感じがしたもの。もしかしたら、街の人と教会は繋がっていて情報は筒抜けかも。」


「今日は避けた方が良いかもしれないな。そうだとしても、いずれは実行すべきだ。いつでも調査に出れるように用意はしておいてくれ。」


ここで話合いは終わりとなった。

賢者のことばかり調べてしまって肝心の精霊の鏡の情報は聞けていない。

そちらも並行していかなければならないだろう。


俺の予測では賢者の周りのことを調べていたら関連して情報が集まる可能性が高いと思っていたが的外れだった。

精霊の鏡はこの国のどこかにある。


精霊の鏡も真偽の審判の時のように本体の方から接触してくれたら便利だけどな。


そんな発想が夜の街を散歩しながらよぎる。

この街は昼間と夜では全く違う風景を見せる。

あれほど賑わっていた街は、急に静けさを見せ全く照明などもない。


不気味とも思える街の様子を見ていると1人の人物に出会う。


「そこで何をしている!」


教会にいたスタルと呼ばれていた男だ。

俺を見つけた瞬間に大声を上げながら近づいてくる。

よっぽど俺達のことが嫌いなのだろうか。


「ただの散歩だ。何か文句でもあるのか?」


「この街では夜間の外出は禁止されている。いくら、外部の人間であっても守ってもらうぞ。」


「それを強要するなら理由ぐらいは聞いてもいいんだろうな。」


「パルーシアの教えで夜は悪魔の時間とされており、誘惑など多いから出歩くのは危険だというものがあるのだ。」


「あんたは良いのかよ。」


「私はきちんと修行もしている身だ。誘惑ぐらいに負けるわけがない。それのお前のような人間がいないか見回る必要もあるしな。」


夜は簡単に動けると思っていたが検討違いだったようだ。

教会の人間がいて簡単には近づくことはできないか。

今日のところは大人しく帰ることにした。

けれど、もう1人の出現によって状況は大きく変わることになる。


♪♪♪〜


どこからともなく聞こえる音。

それを聞くと次第に強い眠気が襲ってくる。

眠気に負けて眠ってしまう数秒前に俺は宮武がこちらに近づいてくるのを確認した。


その後、強い衝撃を受けて起きることになる。

完全に脳が睡眠状態に入っていたため一瞬状況が分からない。

しかし、落ち着いてくると先ほどのことを思い出してくる。


「何アンタまで寝てんのよ!ほら起きなさい。」


「やっぱり宮武か。こんなところで何をしているんだ?」


「何をってアンタと同じで教会に行こうと思っていたところよ。」


「別に俺は散歩していただけだぞ。そしたら、スタルに注意されたから戻るところだったんだ。」


「余計なことして捕まったと思ったから援護したのにいらなかったってこと?まぁいいわ、眠気を呼ぶメトロノームの効果は知れたし。」


良いことはないだろ。

効果を試すために俺にまで被害が出ているぞ。


「で、行くんだろ?俺も着いていこうか?」


「そのつもりで助けたのよ。危険な役目はアンタにさせるためにね。」


そんな横暴が通用するのだろうかと思ったが、教会はいずれ行こうと思っていた俺からしても誰か一緒にいた方が便利なことも多いだろう。


教会は街のどこにいても見えるので迷うことなく辿りつく。

そして、周りに人が多いのを確認したので外壁を越えて侵入することにした。

いつどこで人が見ているか分からないがこの時間は賢者自体が教会付近への立ち入りを禁止しているので大丈夫だろう。


外壁へ近づいてみるがもちろん音など一切しない。

かと言って天井の窓へ移動するのも道具がなければ不可能だ。

ここは宮武が持ってきている魔導具を頼りするしかない。


「本当に頼りにならないわね。これを使えば問題解決よ。」


名前:盗蝶(とうちょう)

説明:見た目は使用者には機械のように見えるがスキルによって他の者にはただの蝶にしか見えない。蝶が見た映像と拾った音が使用者の手前に表示される。

スキル:【偽装】Lv5 【記録】Lv3


「本当に何でも出てくるんだな。」


「興味あったものを買っているだけよ。実用性のある物ばかりだから使う場面があるだけ。」


それにしれもタイミングといい、出てくる物といい完璧すぎる。

未来が視えていると言われても不思議じゃないくらいだ。


「ほら聞こえてくるわよ。ちゃんと聞いてないさいよ。」


『本当に人遣いの荒い方ですね、あなたも。』


盗蝶から聞こえるのは間違いなく賢者の声。

誰かと話しているのには間違いないが距離の問題なのかまだ姿を捉えていない。

もしかすると街の人が見たという女神の遣いなのだろうか。


『こんな時間であっても人は来る可能性だってあるのです。一応規制しているとはいえどれほどの効力があるか。』


『なんのためにあれをやってあげてると思っているの?死者蘇生が本当は・・・。』


聞こえてくるのは女性の声で顔までしっかりと映っている。

確かに綺麗な顔立ちで衣装も魔族とは程遠いがそれだけでは判断できない。

カモフラージュの可能性だってある。


それよりも死者蘇生が本当はと言っていた。

続きが気になるがその言葉を発する前に口を噤む女。

そして、こちらをずっと見ている。


『あの蝶が気になるのですか?以外と女性らしいところもあるのですね。』


『バカを言うな。蝶はほぼ日中活動する。夜に活動する個体は珍しい。そして、そんな個体はこの土地の近辺に存在しない。あれは、魔導具の盗蝶だろうな。もし本物の蝶だったとしても殺せば良い。』


賢者とは違い、殺生に抵抗は感じられない。


「この場から離れるぞ。」


「使用者はすぐ近くで聞いてることはバレたわね。」


「俺たちはスタルに目撃されている。犯人候補は免れないぞ。」


「大丈夫よ。強く眠らしているから前後の記憶は曖昧よ。アンタも起きなかったらそうなってたわ。」


サラッと恐ろしいことを言いやがって。


噂が本当だったこと。

目撃されることを強く嫌がっていたこと。

相手はかなり頭が切れるということ。


そして、賢者の力は仮初めの力であり決して人を蘇らせているわけではないことがわかった。


今、俺達が見た物はこの国の闇の一端にしか過ぎないのだろう。

ご覧いただきありがとうございました!

宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。

毎日22時から23時半投稿予定!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ