第067話 変わらない日常の中に
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。
最近は何かと勇者としての活動をしていたのでしっかりとした休日は久しぶりだ。
他のメンバーも休日なので、覚醒者及び可能性がある者について監視しておきたい。
しかし、あからさまに警戒をしてまうと信頼関係にヒビが入るという懸念もあるため、出来れば偶然を装いたい。
まずは昨日小原と清水が行ったであろう孤児院を目指すことにする。
ストーキングをしているみたいであまり気分は良く無いが昨日の昼間に会った時確実にその表情は曇っていた。
その前によっていた場所は恐らく孤児院だけだろう。
つまり、そこで何かがあったことは間違いない。
「誰も活動していないであろう朝早くに動いて正解だったな。目立たずに行動できる方がいいからな。」
「あれ?朝早いですね一ノ瀬さん。」
よりにもよってこのタイミングで1番会いたくない人間に会ってしまった。
こんな早朝であれば清水の起きていないだろうと思ったが、まさか既に宿を出て昨日と同じように孤児院へ行っているとは思ってもいなかった。
「こっちの方向へ何か用事があるんですか?」
「特に用事はないぞ。珍しく早い時間に起きたから街の散策に出ようと思っただけだ。」
「それなら一緒に孤児院へ行きませんか?子供達喜ぶと思いますから。」
ここで俺を孤児院へ誘う理由はなんだ。
俺にとってはまたとないチャンス。
だからこそ、このタイミングが完璧すぎる提案に疑心暗鬼に陥る。
疑い深くなる癖があるのは良く無いと自分の中で反省し、素直について行くことにする。
答えがなんだったとしてもそれが1番の正解であることは間違いないと思ったからだ。
「昨日、会った時は子供達はどんな反応をしていたんだ?」
「とても嬉しそうにしていましたよ。ずっと笑顔でした。以前の辛かったこと全部忘れちゃったみたいに。」
「それほど、この環境が気に入っている証拠だな。あれほどの地獄を経験しているんだ、ここが天国だと思うのも無理ないんじゃないのか。」
「そうですね。」
返事には力を感じられない。
それは昨日と同じように何か不安があるような表情。
その理由については触れるわけにはいかない。
清水のことを探っているのだと警戒されてしまえば、迂闊に情報を出さなくなったら終わりだ。
「ここが孤児院です。」
「ここが?もっと経営に苦労しているイメージを持っていたがここは立派な建物だな。」
目の前に建っているものは、全く経年劣化等の傷がなく昨日建てられたと言っても信じてしまうほどに綺麗で立派な建物だった。
受け入れ先のない子供達を預かっているのが事業ではなく慈善活動のはずだ。
それならば、どこからこんな金が湧き出しているのか不思議でならない。
国の方針で商業が栄えるような工夫もないとすると、稼ぎ所はあの教会、そして賢者様だろうな。
「あら!おはようございますー!昨日は、子供達が大変喜んでいましたよー!」
朝からかなり元気な女性が俺達を見るなり声をかけてくる。
清水は昨日来たから顔を覚えられているのだろう。
それにしてもフレンドリーすぎるような気もするが。
「この人はお友達さんですか?」
「一緒に旅をしている一ノ瀬だ。たまたま道で清水を見かけて付いてきた。」
「昨日、重い物を運ばないといけないけど男手がなくて大変だと言っていたので連れてきました。」
平然とそう言った清水だが俺からすれば初耳だ。
なぜ、唐突に俺のことを誘ったのか分からなかったが少し理解した。
「いいですか?結構な力仕事になると思いますけど・・・。」
遠慮がちに言ってはいるがその目は期待の感情ばかり覗かせている。
ここで嫌だと行って帰ることはもうできないだろう。
「ここになるんだけどね。ここにある本棚を場所移動させたいんだけどどうしても重くてー。」
「こんなに大きなのを動かすのは難しいだろな。」
試しに1人で抱えてみようとするが結構な重量がある。
見た目以上の重さに驚きながらももう一度挑戦してみることに。
するとさっきよりは軽くなっていてなんとか持ち上げることができる。
このまま指定された場所に運ぼう思ったが足が重くて動けない。
「やぁーーーー!!」
何かと思えば子供が俺の足に引っ付いている。
この棚が最初に重かったのはコイツが隠れていたからだろう。
危ないので本棚をおいて、子供の服の首の部分を摘んで俺の顔のところまで引っ張り上げる。
施設員の女性は心配そうにこちらを見ている。
俺が手を上げるのではないかと心配しているのだろう。
「おい、何やってるんだ?」
「おいじゃない!ヤーナ!ヤーナだもん!」
「悪い子はお仕置きするぞ?」
「そんなの全く怖くないぞ。だって、ヤーナは強いもん。」
こういうタイプの子供な大きな怪我に繋がる可能性があるかなら。
シッターのバイトもしたことがあるから一応子供の扱いには慣れている。
「それならこうだな!」
「きゃーーーー!!!」
腕を掴んでグルグルに回る。
俺も三半規管が強い方ではないがヤーナも目がぐるぐる回っているようだ。
「やるな!ウプッ!けど負けは認めないもん!」
そういうとどこかへ走っていってしまう。
ここへ来ることはもう無いだろうから、ヤーナとの再戦も叶わないだろう。
「すごいあの子に気に入られてますね。子供との接し方も意外と慣れているみたいでしたし。」
「あの子には手を焼いているんですけど、あんなに早く逃げていくなんて!」
そんな尊敬の眼差しで見られても困る。
なんだか当初の目的とだいぶかけ離れてきたのでさっさとやることをやって適度な距離から監視しておきたい。
その後は言われた通りに本棚を運んで、ついでに掃除も指示されたのでこなしておいた。
清水のことを監視していたが、掃除をしている時も子供達と遊んでいる時もいつもと変わらないような態度で接しているようだった。
ここまで見れば、俺の予想は大きく外れていたとして思えない。
しかし、最後に孤児院から出て行く瞬間に俺は初めて清水の表情の理由を知る。
子供達の顔が一瞬だけ、たった一瞬だけ濁った表情を浮かべたのを見逃さなかった。
ただ別れを惜しむという表情とはまた違う。
それがどういう意味を持っているのかは本人達にしか分からないが、それが気がかりになっているのかもしれない。
「その顔は気づいたみたいですね一ノ瀬さんは。」
「あれが気になっていたということか。」
「どう思いますか。」
「何かある。それは分かるが余計なことに首を突っ込むなよ。」
「でも!それでも困っている子供達がいるなら私は助けたい!」
感情的になっている清水。
それは前の世界にあった記憶があるから言えることだろう。
非情だと思われるかもしれないが、変にここで記憶を取り戻されて覚醒させてもあまり喜ばしくは無い。
「それで俺達に不利益が出るとしてもか?死人が出たらどうする。」
「それなら私だけでも行きます。」
「それも同じだ。清水が死んでもこちらの魔王討伐に不利益が出る。ましてや、お前はこのパーティの核を担う回復役だ。」
「それでも。それでも私は調べたい。」
「本気のようだな。なら、止めはしない。その代わり絶対に1人で動くな。誰かと一緒に動くのだけは誓ってくれ。」
最もらしい理由をつけて俺は近くで監視する理由を作る。
ここで清水が子供達を気にかけていることを知っているのは俺だけだ。
なるべく俺を誘うように誘導しよう。
これで事がうまく収束していけば嬉しいが恐らくそうはいかないだろう。
賢者と秘宝と孤児院。
この国でもやることは多そうだ。
全く休まることのない休日を過ごしてそう思うのだった。
ご覧いただきありがとうございました!
宜しければブックマーク、いいねお願いいたします。
毎日22時から23時半投稿予定!




