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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十一話「新しい生活」

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光と瘴気

「二人とも、予知はどうだ?」


「五分後、大きな部屋に出ます。拠点にしている場所じゃないですかね」


「十分後、戦闘始まります。何者かと先輩が戦ってます!」


土御門の二人の言葉に康太と文は一瞬視線を交わす。


もし戦闘になったら土御門の二人は逃がしておいたほうがいいと考えたのだ。


この状況で戦う可能性があるとしたらこの空間を作った魔術師だ。土属性を得意とする魔術師だった場合かなり面倒なことになる。この地下空間を操られたら康太たちに勝ち目はほとんどない。


「相手の魔術師がどんな魔術を使うかわかるか?見える範囲で教えてくれ」


「えっと・・・強く光を放っててよくわかりません・・・ただ光も明滅してて時々先輩方が動き回っているのはわかります」


光を操る魔術師。この空間を作り出した魔術師とは別であると考えていいのだろうか、それともあえて土属性を使っていないだけの話か。


どちらにせよ、予知魔術の弱点の一つが露呈した。二人が使っている予知は基本的に視覚的に未来を確認する魔術だ。


未来が目に見えるような状態ではない場合、例えば深い霧に覆われているとか、今回のように強い光、あるいは強い闇が存在する場合は確認が難しくなる。


少なくとも異常事態であるということは確認できるが万全とはいいがたい。


「二人とも、その戦闘の様子を常に予知していてくれ。その相手は一人か?」


「今のところは」


「なら二人に増えるかどうかも、戦闘がどれくらい続くのかも予知してくれ。戦闘近辺の未来を虱潰しに予知だ。できるか?」


「やって見せますよ。任せといてください」


「大丈夫です。一カ月先の未来でもない限り読み切って見せます」


こういう時に未来予知の魔術を持っている人間はありがたい。第三者の介入がある場合、一番危険なのは戦闘時だ。


いきなり横合いから殴られるようなことがあればかなり危険なことになる。


「ベルは索敵しながら俺の援護、いつも通りだ、頼むぞ」


「了解。武器の類全然持ってないけど大丈夫なわけ?」


「ちょっと不安だな・・・地下だから炎はあんまり使いたくないけど・・・武器はあんまり持ってないし・・・」


地下空間ということもあって康太は大規模な炎を使うわけにはいかない。しかも武具の類をほとんど置いてきてしまっているのだ。


持っているのは数本のナイフ程度。しかもそのどれも攻撃力が低いと来ている。


少々つらい戦いになるかもしれないなと康太は眉をひそめていた。


文の援護に期待したいところだと康太は考えながらも走り続け、その匂いを強く嗅ぎ取っていた。


「ビー、いるわ。ウサギ二匹、魔術師一人。一応協会の依頼を受けたか確認する?」


「こんなところに引きこもってる時点で怪しさマックスだろ。一度倒してそのあと話を聞く。ベルの索敵で捕まえたってことはこっちもそろそろ捕捉されるか・・・こっからは急ぐぞ。全力で行く」


康太と文は肉体強化の魔術を発動して全力疾走する。土御門の二人も何とか追いつこうと必死に走るが、二人の速度には追い付けずにいた。


「ビー、気づかれたわ。相手は迎撃態勢に入った」


「了解。ベルは適当な位置で止まって援護とあいつらのお守りを頼む。突っ込むのは俺の仕事だ」


そう言いながら康太はさらに加速する。相手の攻撃が来るとわかっていれば迷う必要はない。


いつもの通り戦うだけだと割り切りながら康太は一直線に続く通路を直進する。すると通路の先から強い光が放たれる。


康太は一瞬目を細め索敵の魔術を発動する。自身のほうに襲い掛かる攻撃は今のところはない。康太は構わず突っ込んでいき、Dの慟哭を発動しその体から黒い瘴気を噴出させていく。


相手が強い光を使うことがわかっているなら、その光を無効化してやろうと地下空間を埋め尽くす勢いで周囲を瘴気で満たしていった。


「ちょっと火を使うから空気頼んだ!」


「了解。あんまり派手に使わないでよ?」


わかってると叫びながら康太は噴出の魔術を使い一気に加速する。先ほどまでとは比べ物にならないほどの速度で加速した康太は一気に相手の魔術師との距離を詰めることに成功していた。


すでに康太の索敵でも捉えられるほどの距離。互いの射程距離に入ったといっても過言ではない距離だった。


康太が一気に接近してきたことに驚いたのか、魔術師は康太めがけて攻撃を放ってきた。


光に瘴気、目を使えない状況になってしまっているために康太はそれを索敵で知覚するほかなかった。


それは一見すると剣のようだった。どのような物質で構成されているかまではわからないが、自分めがけて襲い掛かる剣の群れ。康太はその体に無属性のエンチャントの魔術をかけ防御を万全にした状態でその剣すべてを回避していく。


わざわざ当たってやる必要などない。一直線に飛んでくるのであれば回避すればよいだけである。


文は射程外に退避し、康太を援護できる態勢を整えている。すでに空気の循環を始め、康太が炎の魔術を多少使っても問題ないようにフォローを始めていた。


その近くには土御門の二人もやってきている。準備は整った。あとは康太がこの魔術師を倒せばいいだけである。


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