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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
十五話「夢にまで見るその背中」

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水魔術の特性

「そういえばウィルって基本液体だし、倉敷との相性もいいんじゃないかしら?基本こいつ水属性しか使えないでしょ?」


「おぉ、確かに・・・もしかしたらウィルを自由自在に操れたりするのかもしれないな」


正確なところは把握できないが、少なくともウィルは物質的な性質を持っている。そしてその動きと特徴は確かに液体そのものだ。


固体化したり流動したりそのあたりは自由自在だが少なくとも水属性の特徴を持ち合わせているのは間違いない。


水属性の精霊術師である倉敷とも相性が良いと考えるのは自然な流れだろう。


「いやいやまてまて。そもそも俺だって扱える液体には相性があるんだぞ?水属性だからって何でも扱えるわけじゃないんだって」


「え?そうなのか?てっきり水属性っていうから液体全部操れるもんだと・・・」


康太は水属性の魔術を今まで一度も使ったことがないためにそのあたりを完全に誤解してしまっていた。


文も水属性の魔術は扱えるが、倉敷は水属性専門の術師であるためにてっきり自分より扱える液体の数は多いと思っていたために少しがっかりしているようだった。


「何よ倉敷、あんた一つの属性しか使えないくせに使えない液体とかあるわけ?」


「ふざけんなよこら、向き不向きがあるってさっきお前らだって言ってただろ?同じ液体でも全然性質が違うんだって」


「・・・水属性って液体全体を扱えるもんだと思ってたけど、違うんだな」


康太の言葉に文と倉敷は一瞬視線を交わして小さくため息をつく。康太の考えている水属性の魔術、というか今まで調べてきた水属性の魔術は水そのものを操ったり、血液を操作したりと液体ならばたいてい操れるような印象を持っていた。


だが実際はそう簡単にはいかないのである。


「一言に水属性の魔術って言ってもいくつか種類、というか分類みたいなものがあるのよ。水そのものを操るタイプと、水分を操るタイプ、状態、つまりは液体そのものを操るタイプとか・・・まぁいろいろあるわ。倉敷のは・・・水そのものと水分を操るタイプかしら?」


「あぁ。メインで水そのもの、あと水分を操るのもいくつか。液体そのものの操作はちょっと苦手だな」


「・・・ごめん、三つの違いが全然分からないんだけど」


水そのものを操ることと水分を操ることは同義ではないのだろうかと康太は頭をひねってしまっていた。


水属性の魔術は今までも何度も見たことがあるが、その理屈まで知っているわけではない。ぱっと説明されてもすぐに理解することができないのである。


「そうね・・・倉敷、ちょっと水の塊作ってみて」


「ん・・・はいよ」


文に言われて倉敷は手のひらに十センチほどの水の塊を作り出して見せる。それを見て文は自分の手にも同じような大きさの水の塊を作って見せた。


倉敷が作ったそれに比べると少し時間がかかっただろうか。だがそこにある水の大きさは全くと言っていいほどに同じものだ。


「今私たちは水の塊を作ったわけだけど・・・この違いが判るかしら?」


「・・・ごめん全然わかんねぇ。二人とも普通に水を作ったことくらいしか」


「普通に水を作るっていうのは倉敷がやったほうね。私がやったのは周辺の水分を集めて水の塊を作ったのよ。倉敷のは水そのものを操るタイプで私のは水分を操るタイプね」


説明を受けても康太はやはり文と倉敷の魔術の違いが理解できなかった。いや理屈は理解できている。だが結果が同じだけに二つの魔術の違いがうまく理解できないのだ。


「えっと・・・もうちょっと特徴とか教えてくれないか?どういう特性があるとか、どういう効果があるとか」


「そうね・・・水そのものを操るタイプは水を作り出して操る。気体とかは操作できないわね。水分を操作するタイプは気体状になった、いわゆる水蒸気とかも操れる。霧とかを作るのはこっちのほうが向いてるかも」


「お前に使ったみたいな水の鞭とかは水そのものを操って、天候を操作するほうは水分を操ってる感じなんだ。違いが判るか?」


「あー・・・何となくわかったかも・・・」


康太は自分の中でイメージを作り出して何とかこの二つの特徴の違いを理解しつつあった。


火属性の魔術にも発動方式に種類があるように、水属性の魔術にも同じような形で違いがあるのだ。

それは結果的には同じ効果を持つのかもしれないが処理や制御の関係で違いが出てくるのである。


「あ、じゃあその水分を操るのが得意じゃないとほかの液体が操れないとかそういうことか?」


「あー・・・水以外の液体を操る方法はいくつかあるけど・・・一つはお前が今言った水分を操る方法。んでもう一つ有名なのが液体そのものを操れるタイプの発動方式だ」


「・・・液体そのものなら水も操れるってことだろ?そっちのがお得じゃね?」


水を操れる、液体を操れる。どちらかというと液体を操れるというほうがお得な気がしてならなかった。

何せ水を操れるほうは気体や固体になってしまったら操れなくなってしまうのだ。それならほかの液体も操ることができるタイプのほうがお得なような気がしてならない。


「もちろん多様性はあるでしょうね。ただ水を操るタイプと液体を操るタイプが同じ水を操ろうとした場合、水を操るタイプのほうが優位なのよ?」


「・・・?なんで?」


「魔術っていうのは汎用性が高い魔術であるほど出力が弱い。逆に一つのことに特化している魔術のほうが出力が高かったり処理が軽減されたりするのよ。特化型の魔術の強みってこと」


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