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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
九話「康太とDの夏休み」

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あらかじめの想定

幸か不幸か、その日はそれ以上何か問題が起きることもなくライブは無事に終了していた。


先程気絶させたあの人物が件の妨害工作を行っていた人間なのかどうかはこれから他の誰かが調査するだろう。


既に必要なことはすべて終えた。あとは明日も含めて最後までこれをやり通すだけだ。


「という事です。一応そいつが犯人である可能性が高いので調査をしておいた方がいいと思います」


『なるほど・・・わかった。よくやったと言っておこう。まだそいつが犯人であると確定はできていない。この後もしっかり頼むぞ』


「了解しました」


康太は護衛対象者がホテルに向かったのと同時にホテルに戻り、体を休めると同時に奏に報告していた。


明日どのようなことがあるかわからないのだ。それに対応するためにはしっかりと気を引き締めなければならないだろう。


特に明日はライブ最終日。観客もかなりハイになっている可能性が高い。それに反比例するように森本奈央の体力は限界に近付いている。


休みを入れているとはいえ体力の回復には限界があるのだ。なにせ彼女はまだ高校生なのだ。


康太たちのように魔術による回復が見込めない以上、自身の体力による回復でしか疲労はなくせない。


「一般人一人気絶・・・いや昏倒かしら?まぁ手段を選んだだけましってところかしらね」


「そうだな。師匠がここにいたらたぶん思い切り殴るとかしてたかもしれないけど・・・そう言う意味ではこいつがいてくれてよかったよ」


康太は自分の中から黒い瘴気を漏れ出させその場にデビットの残滓を顕現させる。


人の形になっていく黒い瘴気を見て文は眉を顰めるが、それ以上特に何も言うつもりはなかった。


文の中ではこれには関わりたくないという気持ちがあるのだろうが、康太はデビットとほぼ一体化してしまっている。もう今さらどうすることもできないだろう。


小百合に頼めばデビットの核となる術式をしっかりと破壊できるのだろうが、それをするのはあまりにもったいない。


そのくらいの考えは文にだってある。だからこそこの黒い瘴気を文は精霊の一部であると思い込むことにした。


そうでないとはっきりと人の姿をし過ぎているこの黒い瘴気を直視できないのだ。あまりにも人に似すぎていて、そしてあまりにも何かを抱えすぎていて。


「でもその代わりにあの二人の魔術師には睨まれちゃったわね」


「それは仕方ないだろ。理由はあれど一般人気絶させたんだから。魔術の隠匿を考えるなら当然の反応だ。むしろあの程度で済んでよかったよ。ライブ中だったっていうのが唯一の救いだな」


文のいうようにあの二人に対しては正直悪印象を与えただろうがそうする価値があるだけの行動だったと康太は自負している。


あの二人の魔術師に対して敵対することも覚悟のうえでとった行動だ。必要経費だというのならまさにそうなのだろう。


「ていうか問答無用で気絶させてもよかったんじゃないの?その方がいろいろ楽だったでしょうに」


「一応確認もしておかなきゃだろ?魔力の入れ忘れの可能性もあったわけだしさ・・・まぁ人数確認はしてあったけど・・・」


「まぁ結果オーライってことでいいわ。今日も昨日も何もなかった。これで明日も何もなければ最高ね」


まぁそんなことはないんでしょうけどと文は眉を顰めながらため息をつく。


実際明日で康太たちの依頼自体は完了するわけだが、康太の勘も文の勘もこのまま終わるとは告げていなかった。


きっと何かある。何かしらあるはずだと。


なにせここまで順調すぎるのだ。今まで自分たちが関わってきた何かしらには必ず面倒な何かがついて回ってきた。


今回もきっとそうなのだろうと腹をくくっているのである。


ネガティブな思考はどうかと思うがこういう状況においてはむしろ正しく作用する。なにせ何かがあると思って行動したほうが本当に何かが起こった時に対応しやすいのだ。


「ちなみにあんたの予想は?どんなことが起きると思う?」


「そうだな・・・ファンが目標に駆け寄って怪我する」


「ありきたりね・・・」


「じゃあそっちは?」


「魔術師の干渉、あるいはそれに近しい何か。あの人のファンの中に魔術師がいないとも限らないもの。無理やり接近しようとする奴がいるかもしれないわ」


「なるほど、あり得なくはないな・・・あとは明日の打ち上げの後に少々厄介ごとに巻き込まれる」


「具体的には?」


「疲れたところを誰かが襲うとか」


「ん・・・あり得るわね・・・暴漢対策ならそこまで難しくもないか」


とりあえず二人で考え付く限りあり得る状況を言葉にしながらその対策を考え始めていた。


実際どの程度役に立つかどうかはさておき、状況を想定しておくというのは悪いことではない。


やや思考が偏っている気がしなくもないがこれはこれで立派な対抗策と言えるだろう。


護衛の場合時間を持て余すという事はよくある。そう言う時に話せるだけ話しておくのが必要なのだ。


ちょっと予定があったので予約投稿


反応が遅れるかもしれませんがどうかご容赦ください


これからもお楽しみいただければ幸いです

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