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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
三十一話「その有様」

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部隊に必要なもの

「となると・・・アリスを入れても何も問題はないってことか?」


「問題はあるけどね。けどアリスを入れるうえでの圧倒的なデメリットの一つは無視しても問題ないってことになったわ」


アリスを部隊に編成するにあたって問題なのはアリスの力と存在が強すぎるという点である。


ただ一定期間、特に組織が大きくなるまでの間の指導員役として配置されるのであれば、内部分裂を起こす心配も少なくなる。


封印指定を部隊に入れるということもあって本部は多少の嫌がらせをしてくるかもしれないが、その程度であればアリスを部隊に入れるメリットの方が圧倒的に大きい。


「あとの問題は・・・アリス、あんたどの程度までこの部隊に協力するつもりなわけ?」


「どの程度・・・とは?」


「いつもみたいに適当に自分の好きなタイミングだけ協力するとかそういうことを考えてるのなら、いくらあんたが優秀でも部隊に入れるのはちょっと反対。協力するなら全面協力しなさい。別に金銭とかじゃなくていいから、ちゃんと部隊の人間として動いて」


文の言いたいことはアリスも理解できていた。つまり今までのような自堕落な生活と雑な態度と面倒な応対ではなく、きちんと部隊の人間として部隊に貢献しろということだ。


それができなければ部隊に居場所はない。


確かに何も間違ってないのだが、アリスにそれを頼むとなると果てしなく難易度が高いと感じてしまうのは康太だけだろうか。


「なぁ文そこまで言わなくても。アリスはただ単に仲間外れにされるのが嫌だっただけだろ?」


「子供みたいなわがままを聞いている場合じゃないってわかってる?あんたは部隊のトップになるのよ?それでアリスみたいな超一流の魔術師を、ただ仲間外れがかわいそうだからなんて理由で入れてみなさい。絶対に他から文句言われるわよ。ただでさえアリスは面倒くさいのにこれ以上面倒なことをしてほしくないの」


文から超一流と言われてアリスは照れているが、その後に面倒くさいという一文が付け足されたことに関しては特に何も思っていないようだった。


自覚があるからか、あるいは聞いていなかったのか。どちらにせよアリスがその気にならないと文を説得するのは難しそうである。


「ふむ、では具体的にどのような行動をとるのが、フミとしては最低限だと考える?」


「質問を質問で返すのは・・・ってまぁいいわ。さっきも話したけど、アリスが所属するとしたらこの部隊の門外顧問か後ろ盾、アリス的には前者の方がいいんでしょ?」


「そうだの。あれこれ文句を言いながら自分はのんびり過ごすのが妥当かの」


「その内容が問題なのよ。あれこれ文句を言うって・・・それは組織体制への口出し?それともただ単にここはこうしたほうがいいぞってアドバイス?」


「場合によりけりだの。お前たちの組織がどの程度の規模になるかもわからん。だがまぁそうだの・・・アドバイス程度であれば普通に授けてやるぞ?門外顧問という立場になれど同じ組織であることに変わりはない」


「じゃあ、オブザーバー的な立場であればいいってことね?実働はあまりしないけど、いろいろとアドバイスとかもらうような」


「あぁいいぞ。暇なときは私は好きにさせてもらう。いろいろとやりたいこともあるしの。とはいえ、その場所はどこになるのだ?」


「場所?何の話?」


いきなりアリスが場所という言葉を出したことで、その場にいたアリス以外の全員が首をかしげる。


「これから部隊を編成するのだろう?まさかここを部隊の駐在所にするわけではあるまい?ここはあくまでコータとフミの拠点だ。これから部隊の拠点を一つ作らなければいかんだろう」


アリスの言葉にそういえばそうかもしれないなと三人は顔を合わせる。


アリスを仲間に入れる入れないの話以前に、部隊に必要なものをそろえるという話をするべきだった。


人材もそうだが装備や拠点も当然必要になる。部隊として本格的に動くのであればそこに門をつないでもらう必要もあるかもしれない。


康太たちからすればまだ先の話かもしれないが、これは話しておいて損はない内容だ。


「具体的にさ、部隊に必要な拠点ってどんな感じだ?俺今プールが二つに割れてそこから飛行機が飛び出してくる光景が浮かんでるんだけど」


「俺的にはこう地面がせり上がって車とかが出てくる感じをイメージしてるぞ」


「なんで男子ってそういう想像ばっかりするのかしらね。普通に会議ができる大きめの部屋と装備品を置いておけるような部屋があれば問題ないでしょ。車とかバイクは置いておいてもいいかもしれないけど、それも共用になるんじゃないの?」


「私的には広大な地下施設があってもいいと思うのだ。訓練設備的なものがあるとテンションが上がる」


男子と女子の比率は同じであるというのに、なぜか文の真っ当な意見が少数になってしまっているこの現実に、文は大きくため息をついていた。


アリスを女子として分類したのがそもそもの間違いだったのかもしれないと思いながら、文は話を進める。


「現実問題、それができるとしたら一つのビルを貸し切るとか、所有するとかそういう話になるわよ?店舗も入れられないからものすごく怪しくなるけどね」


何の店舗も入っていないビルはただの廃ビルと同じだ。一般人からしたら目を引く存在になってしまう。

だが康太はここで一つある秘策を思いつく。


「まて、何とかなるかもしれないぞ?」


「いやな予感がするけど、とりあえず言ってみなさい」


「これに関してはマジでいい案だ。とはいえ俺らだけじゃなんともいかないけど」


そう言いながら康太はとりあえず方々に連絡を取るべく準備を始めていた。


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