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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十八話「対話をするもの、行使するもの」

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空の飛び方

「さて、それじゃあ移動と行きたいけど・・・ここって最寄りの教会からもかなり離れてるよな?」


「えっと・・・一番近い教会で・・・うん、車で三十分から一時間はかかりそう」


「遠いな・・・どうやって行く?レンタカーでも借りるか?」


実際最寄りの教会がすぐ近くにあるという状況だけではないためにこの考察は予想の範囲内ではあったが、この人数で一度に移動するとなるとかなり面倒なのも事実である。


特に頑張って装備を準備した康太としてはあまり派手に動きたくはなかった。


「この中で免許を持ってる人は?」


「俺もってるけど普通車」


「同じく私も普通車」


「私はもってない。ブライトビーたちは?高校生だったよね?」


「俺とトゥトゥはバイクの免許は持ってるけど車のはもってないです。ってか取れないです」


「となると借りられても車二台か・・・どうする?」


「支部長、そのあたり何とかなります?これだけ遠いとちょっと厄介なんですけど」


困った時にはとりあえず上司に相談してみるのが一番だ。具体的にどのようにするかの方針を決める前に、取れる手段があるなら支部長から是非案をいただきたいところである。


「車を借りるのは単純にいい案だと思うけど、近くに止めたら目立たないかな?借りるなら大きな一つの車にしておいたほうがいいと思うよ?」


「大きな車って言っても俺ら中型はもってないんですよね。それとも支部長の知り合いで中型以上の免許持ってる人いますか?」


「持ってる人はいるけど、大体忙しそうにしてるよね。あとは・・・体一つで行動したほうが確実だとは思うけど」


体一つで行動すれば確かに目立たないかもしれないがその分時間がかかってしまう。場所が特定できているため、多少はましかもしれないがいつまでも相手が精霊術師たちを生かしておくとも限らない。早めに助けておくに越したことはないのだ。


とはいえ一気に大勢が移動するだけの手段が今のところないのも事実。だがそこでサニーたちが何やら視線を合わせ始める。


「それじゃあ、あんまりいい方法じゃないけど、空を飛んでいくしかないと思うわ」


「空を?飛行機とか?」


「いいえ、魔術で飛んでいくのよ。魔力も消費するしあんまり使いたくないけど」


「へぇ、三人はそれができるんですか?」


「あぁ、俺の魔術を使うんだよ。結構魔力食うし、道具も用意しなきゃだけど体だけで移動はできる」


どうやらこの三人は空中への移動手段を有しているようだった。康太と倉敷も一応有しているが、土御門の双子も一緒に連れていくことを考えると多少人数オーバーになる可能性が高い。


そういう意味ではほかにも同じような手段を持っている人間がいて助かったというべきだろうか。


「どういう魔術なんですか?俺とトゥトゥも一応空を飛ぶことはできますけど」


「そうなの?ならそれぞれ空を飛んでいけそうね。土御門の二人は?」


「俺らは念動力で強引に飛ぶことなら・・・でも長距離飛べるかは怪しいです」


「長時間とんだことはないので・・・」


「ならお前らは俺が連れていく。トゥトゥは一人で平気か?」


「一応連れて行ってくれると助かるな。俺も長時間は飛べないし」


「了解。じゃあハレとメイで手伝ってくれ。サニーさん、こっちはそれで大丈夫なんで、そっちはそっちで空飛ぶのお願いします」


康太たちとサニーたち、二手に分かれて空を飛ぶことになる。幸いにして土御門の双子も一応風の魔術を扱うことはできる。二人の素質を考えれば消耗はほとんどないに等しい。空を飛ぶということもあって日中に移動することはできないが、田舎ということもあって日が落ちれば問題なく行動できるようになるだろう。


「でもブライトビー、その装備着けて飛べるの?かなり重いって言ってたけど」


「大丈夫ですよ。風を利用して飛ぶので多少の重さは問題ありません。ちなみにそちらはどうやって飛ぶんですか?」


「俺の場合は重力の反転と操作で飛ぶ。ただ単体の物体にやらないと効率悪くなるから、複数人が一緒に乗れる板とかそういうのを探さなきゃいけないんだよ」


「なるほど、人数がある程度いても問題ないと・・・重力を操るだけでそんなに飛べるんですか?」


「結構飛ぶぞ?実際のところ何度もそうやって行動してきてるし。正確には重力を操作してるっていうよりは念動力で飛んでるって言ったほうが近いのかもしれないけど」


単体の物体の重力を操作しても、それ以上の重さや質量を持った物体を動かすのには別のエネルギーが必要になる。


その辺りはエトラもあまり理解はしていないようだった。現象を物理的にとらえないほうが魔術の効果が発揮されやすくなる現象がこういった部分にも表れているということである。


だがこれで移動手段は問題がなくなった。あとは突撃するだけである。


「一応お願いしておくけど、一般人に見つかるようなことはしないでね?これは本当にお願い」


「わかってますよ。今は・・・十七時ね。あと二時間くらいで日没だから、それを合図にして動きましょう」


「了解です。んじゃ行きますか」


康太の言葉に全員が気を引き締める。あと二時間、康太たちにとってその時間はないに等しいほどに早く過ぎていった。


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