見たら驚く
「すいません、遅れまし・・・ってうわ・・・!」
そんな話をしている中、今回行動を共にするサニーたちが支部長室にやってきた。扉を開けて康太の姿を見た瞬間につい口から出た『うわ・・・』という言葉に康太は若干傷ついていた。
「人を見ていきなりうわってひどくないですか?いくら俺でも傷つきますよ?」
「その声、ブライトビー・・・?ごめん、わからなかった」
「・・・あぁ、この前とは格好が違いますからね。これが俺の戦闘用の姿です」
鎧を纏った姿を見るのは初めてだったのか、サニーは驚きながら康太の姿をじっくり観察している。
サニーに続いて残りの二人もやってくると、同じように康太の姿をまじまじと観察していた。
「これが本格的な戦闘用装備なのね・・・あんまり見ない装備だけど・・・これいつもつけてるの?」
「いえ、状況によってはつけられないことの方が多いです。今回は派手に暴れるつもりなので本気で用意しました」
「確かに先輩がフル装備してるのって地味に珍しい気がしますね。俺は久しぶりに見ましたよ?」
「そうか?この間もフル装備で戦ったんだけどな・・・この間はお前たちいなかったし」
「一緒に行動できることの方が少ないですからね。私たちがもう少し強ければよかったんですけど」
土御門の双子は康太が鎧を纏って戦っているところは数える程度しか見たことがない。
特に今回のように本気で康太が装備を用意した時は目にしたことはないはずである。
「だいぶ重そうだけど、大丈夫なの?」
「使えば使うほど軽くなりますから大丈夫ですよ。それまでは重戦士です」
「魔術師じゃないよな絶対に。かっこいいけどさ」
男子からすればこの格好はかなりロマンがあるのだろうが、実際に戦っているところを見ていない者からすればただの張りぼてかコスプレのようにしか見えない。
もっとも実際はコスプレなどではない凶悪な効果を秘めているのだが、そのあたりは実際に体感してみないとわからないのだ。
「それじゃあ全員そろったことだし始めようか・・・目的地とその数と、君たちの目的も含めて」
支部長の言葉に康太たちは全員気を引き締める。
こうして集まったのも今回の敵を倒すためだ。自分の装備を見せびらかしに来たわけではない。
支部長は地図を用意し、それぞれに広げて見せると、そこは所謂田園地帯の一画にある大きな建物だった。
周りを木々に囲まれている、どこかの誰かの別荘であるのは間違いない。一番近くにある建物でも一キロ近く離れているそこは明らかに人が立ち入るような場所ではないように思えた。
康太はかつて利用したことのある別荘を思い出していた。車がなくては満足に動くこともできないその場所を思い出し目を細める。
「ここがその場所ですか?」
「うん、現在確認できているだけで人数は十三人。もしかしたらもう少し増えるかもね。周りは木々に覆われているから隠れるところは多い。けどそれは相手にも言えることだ」
周囲の地図を確認しながら、康太たちは同時に携帯などで現地の航空写真なども併用して周囲の状況を確認していく。
確かに木々が多く、一番近い家屋でも一キロ程度離れた片田舎。そんな場所に誰かを連れ去っている時点ですでにいろいろと後ろめたいことをやっているのは目に見えているだろう。
「今索敵をやっているのは支部の魔術師ですか?」
「うん、精霊術師についていてもらった追跡を得意としている魔術師だよ。索敵も得意なんだけど、彼はどっちかっていうと追うほうが得意でね」
「ちなみに建物の見取り図とかは?」
「すまない、電話とかでしか話ができていないから見取り図はないんだ。現地で確認してくれるとありがたい」
「エトラさん、現地で索敵して現地で見取り図を描くことはできますか?」
「任せておいてくれ、ちょっと時間はかかるかもしれないけど、人の配置と建物の構造くらいなら用意できる」
今回の索敵要員であるエトラは胸を叩いて問題ないとアピールする。
どれほどの索敵範囲を持ち、どれほどの感知能力を有しているのかはわからないが、少なくとも建物の構造を理解できる程度の技術はあるようだった。
後はどの程度で用意できるかだが、場合によっては一部のみをかいてもらってそこから切り崩すことも考えられる。
「被害者、精霊術師たちはどれくらいの人数捕らえられていますか?」
「最後の報告で上がっていたのは四人だね。それから増えていることも考えられるけど・・・彼らを助けるのも今回の依頼の内容の一つだ。覚えておいてほしい」
「了解です。敵を全滅させてから助け出しますよ」
とりあえず敵を全滅させることは確定なのだなと、支部長は大きな被害が出ないことを心から祈っていた。
少なくとも一般家屋からかなり離れた場所にある建物だ。多少暴れても問題にはならないと思いたいが、何が起こるかわからないというのが正直なところである。




