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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十六話「届かないその手と力」

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目的は何か

「僕としてはこの石を厳重に保管、そしてこの石を作り出したグループの情報を引き出したら本部とも話し合いをしようと思ってるんだ。すでに大まかな情報は本部に流してある」


「念動力で動かせるってところが厄介ですね・・・普通に奪われかねない」


「厳重に保管しているとはいえ・・・情報が流れれば誰かに奪われることもあり得るからね・・・護衛しているとはいえ限度があるし・・・」


物理的な干渉ができなくとも、念動力によって普通に持ち運び自体はできてしまう。どのようにしても運び出せないというわけではないのだ。


そのため手段さえ問わなければ運ぶ出すことは容易。あとは支部に展開している防備がどれだけ信頼できるかという話になってくる。


この石がどれだけ重要なのか、場合によっては本部が出てくるような案件だということになる。


支部で抱えていると、万が一奪われたときに責任問題になりかねない。そしてそれは石を作り出した魔術師たちも同様だ。


また何者かに口封じでもされようものなら相手の情報が再び闇の中に葬り去られる結果となってしまう。


良くも悪くも今回のこの件、扱いに困るというべきか。


「ちなみに書類とかの情報系統は?手記とかはあったんですか?」


「うん、そのあたりも今解析してもらっているよ。どんな情報があるのかって考えると頭が痛くなるけどね・・・」


このような物体を作り出した人間の手記だ。いったい何が記載されているのかわかったものではない。

組織にどのような形でかかわっていたのもわかっていないが、これが何らかの手掛かりになる可能性は大いにある。


「日本で見つかったってことはほかの国でも似たようなことがあるかもしれませんね・・・一度情報のすり合わせをするべきでしょうか?」


「うん、そのあたりは本部も考えているみたいだね。本格的に拠点潰しが始まってからいろいろと新しい情報は集まってきているし、何よりそれぞれの支部や本部で情報を抱えたままにしていると連携にも支障が出るからね」


情報というのは協力する者たち全員で共有することで真価を発揮する。横でのつながりを作ることで、連携を密にすることができるようになるだろう。


他の支部が手に入れた情報というのも気になる。一度情報をそれぞれ公開しておいて損はない。


「やっぱり、現状かなりの規模の魔術師が関わっていることは確定ですか」


「うん・・・人数や資金、活動規模を考えてもかなり大きな組織、グループになっているね・・・何を目的にしているんだか・・・」


「やってることが多すぎてちょっと絞り込みが難しいですね・・・もう少しやってることがわかりやすければよかったんですけど・・・」


「どちらにせよ、彼らの多さがその目的の大きさを示しているよ。目的に利益や魅力がなければここまで人は集まらない」


「・・・世界征服でもするつもりですかね?」


世界征服。一度はその単語を耳にしたことくらいはあるだろう。いかなる国家や団体にもとらわれず、世界のすべてを自らのものとする。


まさに世界規模の征服活動。世界規模での移動が一般人に比べて容易な魔術師ならば比較的楽にその行動を行うことができる。


だが同時に、それはほかの魔術師にも同様の行動、あるいはそれを阻止する行動がとれることを意味している。


結局のところ、自他ともにそういった行動がとれるために互いが互いを牽制するという状況が出来上がるわけである。


「世界征服か・・・具体的な方法が思いつかないね・・・いくつもの大国を敵に回して無事でいられるほど魔術師は強くないし」


「たいてい機関銃とかでも持ち出されれば普通に負けますよね。爆撃とかされたら一発ですよ」


魔術師というのは万能ではない。戦闘面に関しては近代兵器に劣る部分が多すぎる。


そんな状況で近代兵器を大量に所持している各国を相手に征服活動を行うというのは少々現実的とは言えない。


「洗脳とかをすれば割と楽なんじゃないですか?そうすると今やってる行動の説明はできませんけど」


「そうなんだよね。こんなことが洗脳につながるとも思えないし」


世界を征服する方法として、各国首脳陣などに洗脳の魔術を施して意のままに操るという方法も一応ある。


だが当然ながらそのような行動をすれば個人レベルでは限界があるし、何よりほかの魔術師にも気づかれることになる。


さらに今回相手が行っている一連の行動に対して説明ができないのである。


何を作ろうとしているのかはさておき、これが洗脳のためとは思えなかったのだ。


「これを作っていた人間の事情聴取はまだ終わっていないんですよね?」


「うん、もう少しかかるかな・・・本部への報告もあることだし、早く正確にと伝えてはいるけど・・・」


人から情報を聞き出すというのはなかなかに面倒くさい。何せ人は嘘をつく。その嘘を見抜くためいろいろな手段があるとはいえ、それらを行使していても完璧とは言えないのだ。


それは暴力を使っても、薬物や魔術を使っても同じことである。


人の嘘を見抜くにはそれだけ技術が必要なのだ。


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