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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十三話「追って追って、その先に」

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か弱き乙女(笑)

「というわけだったよ・・・なんかあったときはよろしくってさ」


「なんだかだいぶ厄介な提案をされたもんね・・・アリス、何とかならなかったの?」


康太は翌日、本部に行ってきたときのことを小百合の店で文に話していた。本部が康太に対して高い評価を下しているというのは良いことなのだろうが、同時に非常に面倒な立場にあることを考えると手放しに喜ぶことはできなかった。


「なんともならんな。昔からそうだ、権力を得た人間というのは基本的に自分の考えを覆そうとはしない。仮に圧倒的上位者がそこにいたところで自分より下位の人間を言いくるめてどうにかしてしまうのだ」


「となると、今回の件に関わる何かがあった時点で康太は引っ張られるわけか・・・っていうかあんたこの話私にしてもよかったわけ?なんかいろいろと聞いちゃいけないようなことも入ってたように思うんだけど」


マウ・フォウへの依頼、そして協会内にいるであろう裏切者に関しても康太は文に話していた。


わざわざ本部が康太を本部に呼び出してまで隠したかった情報を康太は文に対してはあっさりと話してしまう。


良くも悪くも康太が文のことを信頼しているということなのだろう。同時に康太は特に何も考えずに文になら話してもいいという風に考えている節さえあるのだが。


「文が信じられなくなったらもう何も信じることはできないな。お前が協会の裏切り者だったら俺も一緒に裏切るかもしれない」


「うわぁ・・・信頼してくれるのはうれしいけどそこまでなの?」


「ぶっちゃけ俺はそこまで協会に思い入れはないからな。アリスには悪いけど別に敵対したところで困らない」


康太はもとより協会に何かを依存しているかと聞かれるとそういうわけでもない。移動手段として便利だな程度にしか思っていないくらいだ。


術式に関してもほとんどが自分で調べたものか誰かに教わったものだ。支部にある魔導書を自分で好んで使ったことは今のところない。


康太は師匠である小百合が協会に所属していたから魔術協会に所属しているにすぎないのだ。


もし仮に小百合が魔術協会に所属していなかったら、同じように康太も所属していなかっただろう。


「まぁそれはさておいて・・・本部の人間が本気になったら私たちの生活なんて簡単に脅かされちゃうわね・・・いやな感じ」


「私がにらみを利かせている分にはまだ何とかなると思うが・・・今の本部は私を少々軽視しているようにも思えるな・・・この間の抹殺作戦のこともある。はっきり言って私の圧力があまり利いていないのであれば本部はそれなりに無茶を言ってくるかもしれんぞ?最悪私を敵に回す勢いでな」


「アリスを敵に回すとかはしたくないなぁ・・・本部もずいぶんと強がってるなぁ・・・あれだけの戦力を投入しても殺せなかった相手をどうやって敵に回すんだか・・・」


康太を含め、魔術師の中でも実力者を集めたあの作戦においても、アリスを殺すことは不可能だったのだ。


途中、康太とアリスが接触するという不慮の事故があったものの、あれだけの人数差でも殺しきれないような相手をどうにかできると思っている時点で考えが甘い。


康太ならば無条件降伏だ。小百合でも勝てるか怪しい人物に自ら挑もうとは思えない。


本部がアリスを軽視しているその理由が、割と高い頻度で頼みごとをしている自分のせいではないかと感じている康太はどうにかしたほうがいいなと悩み始めていた。


「実際に戦ってるところを見せてやればそんな気にもならないんじゃないか?アリスの戦闘能力って相当高いだろ?」


「私の戦闘能力・・・か・・・正直あまり自信はないのだがな・・・私のようなか弱い乙女を前に戦いなどと」


「はいはいそういうのいいから。ぶっちゃけどうなの?私あんたが戦ってるところってほとんど見たことがないからわからないんだけど」


「俺も実はほとんど見たことがないんだよな。あの時は逃げるのに必死だったし、そもそも戦ってるって感じじゃなかったし」


周囲を魔術師に囲まれ、大量の射撃魔術を放たれていて、その軌道をすべて変更し逆に反撃する。


恐ろしいまでの処理能力であるのは間違いない。それだけの鍛錬と技術を要するというのは容易に想像できる。


それだけの高い技術力を持った人間がいったいどれほどの戦闘能力を持つのか興味がないわけがなかった。


「小百合さんと戦った時はどうなると思う?正直なところ」


「サユリ・・・サユリか・・・んー・・・正直なことを言えばだ、私はサユリのようなタイプは苦にならんのだ。コータも同様だな」


「俺らみたいなタイプっていうと、近接戦メインのやつ?」


「それもあるが、お前たちは攻撃を回避しようとするだろう?回避は攻撃範囲が点や線であった時には有効だが、面の攻撃には弱い。加えてお前たちは防御能力がお世辞にも高いとはいいがたいだろう?」


「まぁ・・・そりゃ・・・」


単体の防御能力で言えば康太のそれはほとんど紙切れに等しい。反撃を念頭に入れた炸裂障壁に自らの体にかけるエンチャントの魔術くらいしか満足な防御がないのだ。いや、この状態では決して満足などとは言えないのだが。


「そういった輩はとにかく攻撃することが肝要だ。防御に回ればそれだけ相手に攻撃を許す。相手が避けられない攻撃を連発すればそれで事足りる」


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