21.悪くありませんわね(最終話)
ご機嫌よう、皆様の悪役令嬢セラフィーナですわ。これはどうしたら良いのでしょうか。一妻多夫を提案すれば、立派な肩書きをお持ちの陛下方は諦めてくださると思ったのに、まさかの受け入れ表明です。
軽い現実逃避をしながら連れ去られたのは、魔王城です。奈落の底から地上に届く高さの塔が自慢の立派なお城ですが、多少薄暗いですね。風を通した方がいいですよと助言したところ、竜帝陛下に壁をぶち破られました。
風通しが良すぎて、魔王城自体が半壊ですけどね。喧嘩はダメですよ。言い聞かせた直後、魔王軍が修復に乗り出した。勇者との戦いで修理はお手の物だそうです。なんだか人間が申し訳ありませんわね。労ったら、感涙されました。見た目が鱗や角で厳ついですが、中身は下町のおじちゃん集団みたいですね。
修理が終わるまで、一時的に精霊界に連れ込まれました。こちらは空中から手が出て、突然吸い出された感じです。慌てた魔王陛下が腕を掴んだため、離してくださいとお願いしたら両方離されました。あれです――両方、本当のお母さんだった!?
落下中の私は竜に拾われ、大切そうにお屋敷ならぬ洞窟へしまわれました。どうも彼らの私への扱いが、お気に入りの玩具ではありませんか? 婚約者というより、犬のボールのような……いえ、贅沢はいけませんね。人間とは思考も常識も違う方々ですもの。
毎日のように魔王城や隣国の屋敷や洞窟、精霊界と時空まで超えて行き来したせいでしょうか。疲れからか、寝込んでしまいましたわ。陛下方が非常識なので忘れておりましたが、私は一応種族がひ弱な人間です。くたりとベッドに懐いていると、魔王陛下が必死に看病を始めました。
「これなら食べられるだろうか」
部下に命じて地上から持ち込んだという林檎を、魔王愛用の剣で皮を剥きます。長剣で剥くなんて器用なんですのね、ではなく……その剣で人の首を刎ねたりしてませんわよね? 答えが怖いので聞きませんけれど。口を開けて食べさせてもらい、嬉しそうな魔王陛下の口付けもいただきました。
「あ、ずるい! 抜け駆けだ」
飛び込んできた氷持参の精霊王様が、私の額を冷やしながら唇を尖らせます。得意げな魔王陛下に触発されたのか、大量の果物を持ち込みました。ひとつずつ味見をさせられ、その度にキスをお願いされるなんて。恥ずかしいですね。
竜帝陛下は、魔王城半壊のせいで立ち入り禁止のため、窓の外でほとほと涙を零す事態に……あまりに可哀想なので入れてあげたところ、小型化して猫のように毛布の下に潜り込みました。温かいので抱いて寝たのですが、翌朝訪れた魔王陛下に首を掴まれて檻に捕獲されました。
「仲良くね?」
念を押しますが、思ったより彼らは仲良しみたいです。今日も私のいない間に、胸を揉ませてもらう順番を平和にゲームで決めていました。もしかして……魔王陛下からのキスも順番を勝ち取った、とか?!
一番の心配は、陛下方のお子を産めるかどうかでした。種族が違いますし、何より一妻多夫の妻が一番寿命が短いので。精霊王様は寿命がないため、子孫繁栄の必要はないそうです。竜帝陛下は前例があるので、普通に妊娠できそうですし……魔王陛下は魔力が尽きなければ寿命が尽きないと豪語なさいました。
結婚式はそれぞれの世界で、それぞれの衣装を纏って順番に行う予定です。その順番も公平に決めたとのこと。両親や兄に報告しなくてはいけません。
「安心しろ、僕は勇者になる」
久しぶりに顔を出した実家で、大惨事の予感が……お兄様が勇者になると言い出しました。まだどたばたは終わりそうにありませんが、私は夫達に愛されて幸せに暮らすことにいたします。
夫達にヒロインが現れたら、また悪役令嬢として復活して対峙しますわ。あ、でも……明日のお式が終われば、悪役夫人ですわね。ふふっ。
最後にこれだけは言っておきますわ。
「運営のひと! 私が寿命で死ぬまで休んでていいけど、混戦は邪道ですわよ?!」
***END***
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最後が多少駆け足になった感じですが、元からこの構成です。相手を決めるところまではじっくり、そこからは事後談風に軽く仕上げる予定でした。詰め込んだので、何かぬけているかもしれません。
どうしても1万字に収まる短編が書けない(`・ω・´)短編が書いてみたいのです。またチャレンジしますね。
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