尋ね人
「癒やしの女神よ、この者を苦しみから解放したまえ、この者の傷を癒やし、病を追い出したまえ――」
毎晩、グスタフが寝たあとは祈りの癒やしを捧げるのが日課になっていた。腐敗を極力抑えるためだ。
それでも、腐敗は抑えられないのでどうしようかしらと思っていたのだけれども、グスタフの体の交換が順調に進み、当面の腐敗に対してはなんとか対処できるようになった。すでに手足は全て交換してあげた。
さすがに顔の交換はできなていない。グスタフの顔まで交換してしまえば、グスタフじゃなくなってしまうから。だから毎夜グスタフが寝たあとに、グスタフの顔に対して癒やしの祈りを念入りに捧げて、顔の腐敗を極力抑えていた。
グスタフの寝顔にキスをして、私も横になる。
また明日。
○
「クリスティーナちゃん大変だよ」
私が村で買い物をしていると、マルグリットさんが声をかけてきた。
「たぶんクリスティーナちゃんのことを探している人がこの村にやって来ているの」
「どういう人ですか」
多分教会の関係者だろう。私がいなくなってしまったものだから捜索しているのだろう。そっとしておいてくれたらいいのに……
「ウェーブのかかった金髪の青年ね。目の近くにある泣きぼくろがチャーミングだったよ。村じゃあんなイケメンは見かけないからドキドキしちゃった。年はそうね、クリスティーナちゃんの旦那さんくらいかな。」
……教会騎士のギルベルトだろうか?
「そういえば最近、旦那さんを見かけないけど、何かあったのかい」
「あの人は体調がすぐれなくて……」
「そうかい。それは大変だねえ。体力がないときはいっぱい寝ていっぱい食べさせてあげたらすぐ元気になるから」
「ええ、たくさん食べさせてあげます。それでその私を探している人はなんて」
「そうそう。クリスティーナちゃんそっくりの人相書きを持ってね、『この女性を探しているんですが知りませんか』って聞いてきたんだよ」
マルグリットさんはそこで自分自身の頭を軽くぽーんっと叩いた。
「そこで私はぴーんと来たよ。『駆け落ちしたクリスティーナちゃんをおうちの人が探しているんだ』って」
マルグリットさんは私の手を両手でぎゅっと握ってきた。そして私の目を見つめると優しげな声で言った。
「私はクリスティーナちゃんの味方だから大丈夫、安心して。その人にはクリスティーナちゃんのことは言っていないから。だけど、他の村の人はクリスティーナちゃんのことを教えてしまった人もいるかもしれない。クリスティーナちゃんを探していた人は今もこの村に泊まっているから、暫く村に来ないほうがいいかもしれない」
私はマルグリットさんにお礼をいい村を離れた。
マルグリットさんは村の人たちに私の事は秘密にしてくれるように頼んでみると言ってくれた。




