第1話、少年ルイラ
ーこの世界は、魔法に剣に、現代から見たら羨ましい、いわば夢と希望溢れる。ファンタジーの世界である。
今からおよそ500年前、勇者エレクーネ率いる英雄3人が魔王を討ち滅ぼし、世界は平和だった。
しかし、魔王亡き後は今まで影の下で暮らしていたモンスターが新たな脅威の存在が世界を脅かす存在となる。
その為、英雄も亡き今でも人々は互いの力を頼り頼られ、そうして国を発展させていき。
この世界には五大陸あり
そのうち四大陸には、圧倒的権力を持つ帝国が存在し、【四帝国】と言われている。
力の剣国
ーセブナール帝国
魔法と歴史の国
ーラウパウンダ帝国
知と技術の国
ーネイルドザランド帝国
神の国
ーアルストリア帝国
そして、各帝国の皇帝にそれぞれ仕える。
帝国最強の騎士の事をー
ー皇騎士と言われた。
この四帝国が持つ『神の権力』によって守られていた。
さて、
この世界には魔法とはまた違う。
人間が持つ、生まれながらにして持つ特殊能力がある。それが【ースキルー】
このスキルは強ければ強いほど有利となり、
場合によっては経歴や魔法よりも重要視されているほどである。
そんな強スキルや持ち前の強さで世界中を飛び回り、人々に手を差し伸べる者たちを「冒険者」という。
「ーだからこそ‼︎
今度教会で行われるスキル発表で‼︎
スキル判明したら‼︎伝説の冒険者となるために旅に出るんだ‼︎」
とある小さい村で、黄色がグラデーションになった。猫耳のような寝癖の少年が剣を掲げながらそう決意を決めていた。
「もうルイラったら、スキルがわかるのは明日なのに気が早いんだから。」
深い紺色に青がかった髪の少女は、先程牛の乳搾りしたときにとれた牛乳が入ったバケツを持ちながら少年にそう言う。
そう、その頑張り屋がこの俺ルイラである!
「えーっ?だって楽しみじゃないか!俺はこの世界にルイラの名前を刻むためにも伝説の冒険者になる!」
彼には、憧れの人物が二人いる。
一人目
セブナール帝国騎士団長兼皇騎士
グラノラディウス=アルフィンド
元はセブナール帝国の平民の出でありながら、
帝国の騎士の憧れの座である皇騎士に
彼は己の実力で差別が多い国にあったのに、
そこに着くほどの偉業を成し遂げた。今では世界最強の騎士である。
もう一人はかの有名な英雄
エレクーネ
初代勇者にして、およそ二百年世界を苦しめ続けた魔王を滅ぼした英雄。
彼の最後は、魔王の残留の協力な『魔気』を一人で払い、二度目の世界滅亡を救った逸話を残す聖人である。
その名は今も、世界人口の七割が加入されているとも言われる『ネラルニア教』にもまた大々的に載っている。
彼が名を刻みたいと考えたきっかけの人物でもあるのだ。
「俺は‼︎とにかく強くなって!、グラノラディウスやエレクーネのようになるんだ‼︎」
そう言うと少年はさっそく練習用のマネキンにいつものように打ち込みをする。
「まあ、ルイラは剣の腕は村1番の実力だもんね〜」
そう言うのは先程気が早いと落ち着かせた。
彼の幼馴染の少女・メゼリーが搾りたての牛乳をコップに注ぐ。
「でも、少しはやっぱり休まないとね
明日体調崩したら、元も子もないんだもの。」
「まあ…それもそうか‼︎」
〜次の日
ルイラにメゼリー教会の前で列になり、神父様の言葉を待つ。
基本スキルというのは、才能がある者以外は14歳になり、ようやく判明し、使えることが出来る。
「あ〜ッ‼︎去年はまだかまだかってなってたのに緊張する〜‼︎」
スキルが判明した者は一喜一憂しており、反応は様々である。
「メゼリー‼︎」
「はい!」
ルイラの前に並んだメゼリーが水晶に願いを込める様に水晶に手を置くと、他と違い、白く輝く
。
ーパァァァア!ー
「こ、これはー!」
神父さえも目を見開きながら水晶玉を見つめると
文字が浮かぶ。
(なんだなんだ‼︎どんなのだ⁉︎)
ルイラは興味津々に何度か覗こうと背伸びしたり横からなんとか見ようと色々な手を使う。
「能力増加…!自身や周りの魔力に筋力…様々な力の量を増やすことができる…。
君の成長や使い方次第では非常に良いスキルだ!」
ーーオオォオ‼︎
村の人々から拍手と歓声が上がる。
「よかったなメゼリーちゃん!
リネさん喜ぶぞぉ!」
「よっ!さすがは村の看板娘」
村の人々からそう言われるとメゼリーは恥ずかしそうにはにかみながら手を振り教壇を降りる。
「さてさて最後は…」
村の大工がニヤニヤしながらルイラを見ると周りもニヤニヤしながら見る。
「遅刻魔ルイラ〜!お前のスキルはなんだ〜‼︎」
「ぐっ…‼︎(←30分遅刻した)」
「メゼリーちゃんがあんなすごいの引いたんだから、お前も良いの引けよ〜‼︎」
「るっせいやい!お前らよりは良いの引くから見とけよおー‼︎」
そう言いながら教壇に上ると神父は俺をジトーとを見ながらやれやれと水晶に手を置く。
(ヒイ〜!いいの来いいいの来い、
いいの……来い‼︎)
ーパリン!
「…えっ⁉︎」
突如、水晶が音を立てて四方八方に飛び散る。
「ッ!?」
「んっ⁉︎」
周りは一気に騒然とし、
俺も何が何だか頭が回らない。
「おいおい何があったんだよ‼︎」
ザワザワ…
周りはざわめき始める。なんせ鉄よりも硬いと謳われている水晶が、突如として割れたのだから反応として当たり前だ。
「あ、新しいのを用意した!もう一度やってみなさい!」
神父は目を輝かせる。
今から12年前、帝国を凍らせることも出来ると噂されるセブナール皇帝が確か水晶を同じく割ったからだ。
ルイラは興奮気味に水晶を見つめ、心臓の鼓動を早くさせながら手を伸ばす。
ーもしかしたらそのクラスぐらいの、
強スキルかもしれないとー。
「…‼︎」
緊張しながらもう一度手を置くと
ゆっくりと文字が浮かぶ。
…神様‼︎
「…‼︎‼︎」
「…‼︎」
書かれていた言葉は…
神父がゆっくり読み上げる
「…(記憶動画)!」
「……」
「…………」
全員、思わず固まる。
誰も聞いた事がないのだ。
ルイラはキョトンとしながら聞く。
「…強いの?、それ?」
「…生まれて初めて見たわ」
この世界で神父は知らないスキルはないと言われる程物知りである。
仮にあまりに物珍しいスキルが出たら能力者も使い方が分からないため最悪…。
スキルが使えないまま人生を終える。
そんな惨めな人生を歩むものも少なくはない。
「ソンナバカナァァァァア‼︎」
ルイラはその場で膝から崩れ落ち、顔を地面につけて手で顔を覆うと、ギャグ漫画ならばよく見るであろう。涙をブリッジ型に流す。
神父はオドオドとどう励まして良いか困り、
知り合いの大工の男にはヒョイと担がれルイラの背中を軽く撫でながら苦笑いを浮かべる。
「な、泣くなルイラ、スキルがどうした、生きていけるさ人間は」
「スキルが使えない冒険者なんて聞いたことねえよ‼︎」
豪快な泣き声で包まれる教会では村人は彼に憐れみのこもった目や、心配そうにしている目で見つめていた。
「やめてくれぇ‼︎俺をそんな目で見ないでくれぇ‼︎」
バンっー!
そのまま担がれたまま、教会を後にし。
取り残された村人のほとんどが口を揃えた。
「か、可哀想に…」
ーーー600年後
突然だが、ここから少し変わる。
この世界は、魔法とスキルがなくなり、
現代と同じ文明が気づかれていた。
魔物は現代のように猫や犬、大きい物は動物園など特別なところで見られ、
エルフやオークなどの知性持つ物たちと共存していた。
どうやら、この世界では歴史に一つの仮説が有名になっているらしい
『その勇者の情報は名前は「名無し」としてでしか出ておらず、まだまだ謎が多いのですが、
同一人物書かれていると思われる書物が多くありましてな』
貫禄あるスーツの着た老人がそう言うと、
モデルの男が尋ねる。
『その人物は、先生はいると思うのですか?
私は幼い頃まではそんな話聞きもしなかったため。』
そう言い、老人は大きくうなづき話し始める。
『確かにもしかしたらただの物語上の人物かもしれませんね。しかしもしもこんな伝説がいたら、世界の歴史が大きく変わるでしょうな。
ー何故、現代では魔法が、
ー何故、スキルという能力が、
人間は失ってしまったのか知れるかもしれません
私はあの書記を読んだ時は驚きましたよ。
「記憶動画」
どうやら
その勇者はそんな能力を持っていたらしい。
始まりの言葉は確か…
「その勇者の名前は
「名無し」と言ったー!」』
そう、きっと気付いた方も多くいるだろう。
この物語は、
この世に名前を刻む冒険者を目指した
少年ルイラが
何故名無しの勇者として語られる存在となったか。
何故魔法とスキルが無くなったのか。
そんな濃すぎる運命を辿った。
彼の半生を綴った物語である。




