【第69話:農業の再起動、あるいは現金の規律】
【Scene 1:月曜の作戦会議、あるいは世界への布石】
月曜日の朝、佐藤の事務所には春の柔らかな日差しが差し込んでいた。デスクを囲むのは、智子、牧野、藤田、北脇さん、そして裕子さんの5人。全員の視線の先には、壁のモニターに映し出された最新の収支表と進捗管理図がある。
「おはよう。今週からの業務を確認する」
佐藤の声に、場が引き締まった。
「まず現状の数字だ。AI倉庫管理で毎月270万、毬事業で約1200万。爪とぎが稼働すれば、月商2000万が見えてくる。この利益を元手に、4月から新しいフェーズに入る」
佐藤は画面を切り替え、地図上にプロットされた新たな拠点を指し示した。
「560坪の中古倉庫を購入予定だ。そのうち70坪を先行して改修し、苗プラントのビニールハウスを作成する。昨日、水利組合の理事長と会ってきた。2ヘクタールの農地でIT農業の実験を始める。秋からは、毎月10トンの玄米を海外へ分割販売していく計画だ」
一瞬、事務所が静まり返った。あまりのスケールの飛躍に、全員が言葉を失った。沈黙を破ったのは、現場組の牧野だった。
「……2000万、ですか。それに次は『農業』。佐藤さん、俺たちはトイレ直して、次はビニールハウス建てるんですか。いよいよ何屋か分からなくなってきましたね」
牧野が苦笑い混じりに言うと、北脇さんが深く頷いた。 「10トンを海外へ、か。佐藤さんのことだから勝算はあるんだろうが、土地の連中はJAとの付き合いがうるさいだろ。大丈夫なのかい?」
「もちろん、全農家の全収穫までは対応できない」
と佐藤は二人の懸念を静かに受け止めた。
「そこはJAと折り合いをつけながらやっていく。あくまで、この町の農家が少しでも生活しやすくなるための『呼び水』だ。俺たちの利益を、少しだけ町のインフラに還元する。まずはそこからだ。あとな藤田、苗作ったり、秋には収穫したりとてんこ盛りだぞ」
藤田が「へえ、腰を据えてやるってわけか」と面白そうに鼻を鳴らした。
智子が手元の資料を整理しながら、小さく溜息をついた。
「月10トンの輸出。また役所との書類仕事が山積みになりそうね。でも、やるしかないわね。500坪の工場群の件だって、ここで止まったら元も子もないし」
「智子、悪いな。今週も引き続き工場群の役所対応を頼む。そのあとは10月以降の精米・コメ販売・SGの販売対応などてんこ盛りだぞ、くくっ」
佐藤が珍しく喉を鳴らして笑うと、智子はあからさまに肩をすくめて見せたが、その瞳には覚悟の光が宿っていた。
「藤田、北脇さん、牧野の3人は、先週に続いて納屋の改修だ。今週中にトイレ2基を仕上げてくれ。改修が終われば、爪とぎ事業の機材搬入に入る」
「分かった。任せとけ」 藤田が短く答え、職人たちの表情に気合が戻る。佐藤は最後に裕子さんに視線を向けた。
「裕子さんは、毬事業の進行と上田倉庫ラウンジの清掃を。それから、隣の空き地500坪の基礎工事準備も並行して進める。ハローワークに出している『製造業出身者』の求人については、まだ連絡待ちだ。焦る必要はない、良い人材を待ちたい」
「分かりました」と裕子さんが柔らかな声で応じる。「佐藤さん、お体だけは気をつけてくださいね。これだけのプロジェクト、佐藤さんが倒れたらおしまいですから」
佐藤は全員の顔を見渡し、微かに口角を上げた。
「やることは多いが、一つずつ組み直していく。あと、工事等にひと段落見えたら全員でSG視察いくからな。頼むぞ」
「SG……シンガポールにかい!?」と牧野が声を裏返らせ、事務所に初めて笑いと活気が弾けた。
【Scene 2:理事長宅の取引、あるいは信頼の種】
月曜日の午前。佐藤は、重厚な門構えの理事長宅を訪ねていた。通された奥座敷、使い込まれた座卓の上に、ヴェルが昨夜のうちに作成した資料を広げる。
「寄り合いには出席しません。外部の人間が口を出すより、理事長から直接話してもらった方が、彼らも聞き入れやすいでしょう」
佐藤の言葉に、理事長は意外そうな顔をしたが、示された資料の数字を見て目を見開いた。
「kg単価580円で、農家から110トンを直接仕入れると? 田中くんの分を合わせて120トン。これにJAへの事務手数料15円、水利組合への協力金5円を乗せて、合計600円。佐藤さん、これは市場価格からしても破格だ。特にJAや組合にまで筋を通すとは」
「農家の方が少しでも良い風になるように。ただそれだけです。争うのが目的じゃありませんから。110トン、一軒5トンで22軒。すべての農家を対象にできないのは申し訳ないですが……条件として、『おぼろづき』を生産できるところでお願いします」
佐藤は淡々と続け、さらに踏み込んだ条件を提示した。
「それと、5月から9月までの5ヶ月間、各農家へ毎月20万円を先払いでお支払いしておこうと思います。その代わり、電柱のそばに街灯とカメラを設置させてほしい。設置費用はこちらで持ちます。電気代だけ負担していただければ、各農家さんも自分の畑の様子をいつでもスマホで確認できるようにします」
理事長は絶句した。農閑期の資金繰りに苦しむ農家にとって、月20万の先払いは命綱に近い。さらに防犯と見守りを兼ねたカメラの設置。
「至れり尽くせりですな。だが、あの2ヘクタールの先行実験についてはどうするおつもりだ? あそこの老夫婦は今年で71だ。気力も限界に近いと聞いているが」
「そこについては、スマート農業の先行実験として全数買い入れ、最低400万を保証します。苗と肥料はこちらで準備し、農薬と乾燥だけはあえてJAにお願いする。最終的にkg/600円の計算か、400万の保証額か、高い方を適用します。これなら、彼らももう一年やってみようと思えるはずだ」
佐藤の目は、情に流されることなく、冷徹に「持続可能な農業」の数値を弾き出していた。
「分かった。これだけの条件を揃えてもらって、首を縦に振らん奴はおらん。JAの連中も、手数料が入るなら公然とは反対できんだろう。佐藤さん、あんたは本当に……」
理事長が資料を握りしめ、感嘆の溜息を漏らした。佐藤はふっと表情を緩める。
「わたしは、数年かけてこの街の農業だけをなりたい職業ランキングで野球選手と同じぐらいにしたいだけですよ、あはは」
軽やかな笑い声を残して、佐藤は席を立った。
「今日の寄り合い、よろしくお願いします。これだけの『武器』があれば、理事長なら彼らを説得できるはずだ。私はこれから、その71歳の老夫婦のところへ向かいます」
「本当に行ってしまうのか。主役不在の寄り合いなんて、前代未聞だぞ。だが、分かった。この数字、私が責任を持って連中に叩きつけてやる」
「助かります」
佐藤は短く応じ、古い農家の玄関先で軽トラのエンジンをかけた。
【Scene 3:老夫婦の決断、あるいは25年の約束】
理事長宅を後にした佐藤の軽トラは、春の乾いた風を巻き上げながら、町外れの広大な水田地帯へと向かった。2ヘクタールもの一団農地を背負う、米山さんの自宅。庭先では、一人の小柄な老人が、錆びついたトラクターのロータリーを力なく眺めていた。
佐藤は車を止め、作業着の裾を払ってから歩み寄った。
「米山さんですね。初めまして。佐藤と申します」
米山は不審そうに顔を上げ、深く刻まれた目尻の皺を寄せて佐藤を見た。
「佐藤? ああ、内地から戻ってきたっていう、例の。水門の件で理事長が騒いでいたが、あんたがその当人か。修理の金でも取り立てに来たのかい」
「ええ。水門の基板が死んでいるのはご存知かと思います。メーカーなら300万、半年待ちだそうですが、私が1週間で直します。ただ、今日はその請求書を持ってきたわけじゃありません。その話の続きに来ました」
米山は力なく鼻で笑い、使い古されたトラクターの座席をポンと叩いた。
「直ったところで、どうなる。わしは今年で引退だよ。女房とも話してな、もう体がついていかん。71だ。この2ヘクタールをこれ以上、中途半端に汚すわけにはいかんからな。先祖から預かった土を、わしの代で荒らすのは忍びないが、それも限界だ」
佐藤は米山の視線の先にある、広大だがどこか寂しげな農地を見つめた。そこには長年の労働が刻まれた、美しい畝がある。
「米山さん。辞めるのは、私のわがままを聞いてからにしてください。今年一年だけ、この2ヘクタールを私に預けてもらえませんか。正確には、共同経営です」
「共同経営だと? あんた、土をいじったことがあるのか。ITだか何だか知らんが、農業はそんなに甘いもんじゃないぞ」
「おっしゃる通りです。だからこそ、米山さんの経験が必要なんです。苗と肥料はこちらで全額負担して準備します。まず、水の自動管理システムをすぐに入れます。真夜中に起きて水路を見に行き、泥にまみれて腰を痛める作業は、すべてシステムが肩代わりします。米山さんには、家の中からモニターで私の作った仕組みが正しく動いているかを見守る、司令官になってほしいんです」
奥から、妻の節子が怪訝な顔で顔を出した。佐藤は二人に、手元の資料をゆっくりと提示した。
「収穫したおぼろづきは全数買い入れます。最低400万は保証する。農薬と乾燥はあえてJAにお願いして、角は立てないようにします。最終的な売り上げが400万を超えれば、高い方の額をそのままお支払いします」
「400万。佐藤さん、そんな大金。わしらの年金より多いじゃないか」
節子が絶句した。米山さんから見れば大金かもしれないが、平均市価から見ればこれでもまだ安い。佐藤の計算では、この2ヘクタールが持つポテンシャルはもっと上にある。
「それと3月末に、ここ専用の苗のシステムを入れます。私と一緒に、新しい命を育ててほしいんです。米山さん、あなたが50年培ってきたその目は、機械には代えられません。でも、あなたの足腰の代わりなら、私の技術でいくらでも作れる。そして今年の年末には、来年のことを考えながら笑っていてほしい。私はこの街の農業を、誰もが胸を張れる最高の仕事に書き換えたいんです」
米山は、佐藤の揺るぎない瞳をじっと見つめ返した。その瞳には、単なるビジネスではない、エンジニアとしての執念が宿っていた。握りしめていたウエスが、わずかに震えている。
「司令官、か。かっこよすぎるな、それは。……いいだろう、佐藤さん。あんたの言うわがままに、一年だけ乗ってやる。わしも、このまま錆びつくのを待つのは性に合わんでな」
米山が小さく笑った。止まりかけていた老夫婦の時間が、今、佐藤の手によって静かに再起動した。佐藤は去り際、軽トラのドアに手をかけ、ふと思い出したように振り返った。
「あ、あと最後にお願いが。できればあと25年、お願いしたいです」
「25年……? おい、わしゃそのとき、いくつになると思っとるんだ!」
米山の呆れたような、それでいてどこか嬉しそうな怒声が響く。佐藤はあははと笑い、アクセルを踏んだ。96歳まで現役。その冗談のような数字が、この土地に新しい命脈を吹き込んだ瞬間だった。
【Scene 4:寄り合いの嵐、あるいは合理的な共生】
集落センターの会議室は、立ち込める煙草の煙と、22軒の農家たちが放つ熱気でむせ返っていた。壇上に立つ理事長の前には、佐藤が作成した「120トン仕入れ計画」と「支援条件」が書かれた資料が配られている。
「……以上が、佐藤さんからの提案だ。水門は彼の手で、来週中に30万で直る。そして今年の『おぼろづき』は、全量ではないが120トンまで、彼がkg単価585円で買い取る。さらに、5月から9月まで、協力費として一軒につき毎月20万を先払いする。これが条件だ」
一瞬の静寂の後、会場は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
「ふざけるな! そんなうまい話があるか!」
「kg/585円だぁ? JAの倍近いじゃないか。どうせ後で難癖つけて叩く気だろう!」
「そんな勝手な真似をしたら、JAから肥料も農薬も売ってもらえなくなるぞ。俺たちを干す気か!」
最前列に陣取った、JAの理事も務める有力農家が机を叩いて立ち上がった。
「理事長、あんた丸め込まれたのか! 余計な混乱を持ち込むな。水門だって、メーカーに任せるのが筋だろうが!」
怒号の嵐に、理事長は佐藤の言葉を反芻した。 『争うのが目的じゃありませんから』 理事長は深く息を吸い込み、手近な灰皿を机へ叩きつけた。硬い音が響き、会場が静まる。
「いいか、よく聞け! 文句があるなら、今すぐここで300万を出し合って、半年指をくわえて水門が直るのを待て! 佐藤さんはな、俺たちの絶望を30万で買い取ってくれたんだ。それだけじゃない。JAには事務手数料を15円、組合には5円を払うと言っている。乾燥もあえてJAに頼む。これは、喧嘩を売ってるんじゃない。俺たちが生き残るための、新しい共生案なんだよ!」
「……JAに手数料を払うだと?」
有力農家が毒気を抜かれたように呟いた。組織を無視するのではなく、あえて組織を「利用」し、金を落とす。その冷徹なまでの合理性に、会場の空気が変わり始めた。
そこへ、一人の農家がスマホを握りしめて駆け込んできた。
「おい、聞いたか! 米山さんが……あの頑固な米山さんが、佐藤さんの話に乗るって決めたらしいぞ! 2ヘクタール全部、佐藤さんに預けるってよ!」
「何だと!? 米山さんがか!? やめるんじゃなかったのか?」
どよめきが会場を揺らした。村で最も離農に傾き、最も伝統を重んじていた米山さんの決断。それは、提示された「月20万」という数字以上に、農家たちの疑念を打ち砕く決定打となった。
「米山さんに先を越されるなよ」
理事長が不敵に笑う。
「やるか、やらんか。今ここで決めてもらう」
会場の空気は、もはや反対一色ではなくなっていた。
【Scene 5:鉄屑の誓い、あるいは外堀の完成】
米山さん宅を後にした佐藤の軽トラは、町外れに広がる「中村金属」の敷地へと滑り込んだ。高く積み上げられたスクラップの山が、傾き始めた日差しを鋭く跳ね返している。
事務所の重いドアを開けると、油と鉄の匂いの中に、デスクで分厚い伝票をめくる中村の姿があった。
「中村先輩、お疲れ様です」
中村は顔を上げると、ニカッと白い歯を見せた。
「おお、佐藤か。なんだ、この間の給食の件、やっぱり凹んでるのか。ヴェルだか何だか知らねえが、理屈じゃ通らねえこともあるって言っただろ。中抜きだのしがらみだの、あの役人どもが前例のねえことに首を縦に振るわけねえからな」
数日前、中抜きとしがらみの壁にぶつかり、「やっぱりできなさそうです」と弱音を吐いたばかりだった。佐藤は中村の向かいのソファに深く腰を下ろし、真っ直ぐに視線を合わせた。
「いえ、諦めたわけじゃありません。正面突破が無理なら、外堀を埋めることにしました。今さっき、米山さんの2ヘクタールを押さえてきました。それと、周辺の農家22軒からも120トン仕入れる手筈を整えています。kg単価585円です」
中村が手にしていたペンを止めた。
「585円? おい、農協の倍じゃねえか。それを120トン。7000万超えるぞ。お前、どっからそんな金が出る。国内の卸に流したって赤字だろうが」
「国内では売りません。シンガポール、SGに直販します」
佐藤の声に迷いはなかった。
「この街の米を、最高のブランドとして海外に持っていく。中抜きされる前に、こちらで適正な価格で買い取る。給食の寄付が制度的に無理なら、この街の農家自体を金持ちにして、その子供たちが家で一番いい米を食えるようにすればいい。学校がダメなら、食卓から変えます」
中村はしばらく沈黙し、佐藤の顔をまじまじと見つめたあと、膝を叩いて豪快に笑い飛ばした。
「あはは! お前、相変わらず極端だな。給食がダメなら農家ごと買い上げるってか。海外へ直か。面白えじゃねえか。で、俺には何を頼みに来た。またプラントの鉄骨か。それとも役所の誰かを締め上げるか」
「両方です」
佐藤も薄く笑みを浮かべた。
「560坪の倉庫改修と、500坪の新工場の基礎に入ります。中村先輩のところにある出物の建材、全部押さえさせてください。あと、今日の寄り合いでゴネる奴がいたら、先輩の顔を貸してください」
佐藤は一度言葉を切り、さらに踏み込んだ。
「それと、今後さまざまな邪魔が入る可能性を、先に少しでも対処しておきたくて。その時、またお力を貸してください。お願いします」
中村は太い腕を組み、不敵な笑みを浮かべた。
「……なるほどな。出る杭を打ちに来る奴らが必ず現れるってわけだ。いいぜ、佐藤。お前のそのわがまま、最後まで付き合ってやるよ。その代わり、この街の景色、根こそぎひっくり返してみせろよ」
「もちろんです」
中村の力強い言葉に、佐藤は深く頷いた。事務所を出る佐藤の背中に、中村からの威勢のいい声が飛んだ。
「死ぬ気で稼いでこいよ、佐藤!」
【Scene 6:布陣の完了、あるいは明日の足音】
納屋の改修現場では、藤田さん、牧野さん、米田さん、そして北脇さんの4人が、手際よく後片付けを進めていた。
「北脇さん、そっちの固定は終わりましたか」
藤田さんの問いかけに、北脇さんは無口に頷き、正確なトルクでボルトを締め上げた。製造業の現場で培われたその動きには一切の無駄がない。彼が加わってから、現場の精度は一段上のレベルに引き上げられていた。
事務所の窓からその様子を眺めていた佐藤は、隣に立つ智子に静かに語りかけた。
「智子、やはり北脇さんに来てもらって正解だった。北脇さんがいれば、爪とぎのラインも新工場の精密機器も、図面通りに回る」
智子はスケジュール帳をめくりながら頷いた。
「ええ。それで、明日の段取りですが」
「ああ。まず午前中、ハローワークに行ってくる。窓口じゃなく、統括官に直接会って相談したいことがあるんだ」
佐藤はデスクの電話機を引き寄せ、迷いのない手つきでダイヤルを回した。
「……お疲れ様です、佐藤です。支店長はいらっしゃいますか。ええ、明日の午前中、少し顔を出したいと思いまして。……はい、よろしくお願いします」
受話器を置くと、間を置かずに今度はスマホを取り出し、理事長へ発信した。数回のコールの後、寄り合いを終えたばかりの理事長の声が響く。
「理事長、お疲れ様です。22軒、全員の合意……ありがとうございます。ええ、ここからが本番です。それで明日ですが、午後にJAへ行くのに付き合ってもらえませんか? 喧嘩をしに行くんじゃありません。こちらの『筋』を通しに行くんです」
電話を切った佐藤は、現場の片付けを終えた牧野さんに声をかけた。
「牧野さん、明日はいろいろ回るから、こっちに時間を割いてくれ。頼みますよ」
「わかりました、準備しておきます」
牧野さんの短い返事を聞き、佐藤は明日からの予定を頭の中で整理した。ハローワーク、銀行、JA、そして工場の基礎。
淡々と、だが確実に、次の段階へと進む準備が整った。
【収支報告】
【前回の資産:10,513,020円】
【収入(項目):600,000円】
「SILK & RAVAGE 99」着金(50個分):600,000円
【支出(項目):15,000円】
毬海外配送料(10個分):15,000円
【現在の資産(メイン口座):11,098,020円】
【納税・社保引当金(聖域):1,472,000円】
【税金防衛額(節税成功分):2,823,975円】
【個人資産(佐藤):11,100,000円】
【牧野氏の債権残高:14,811,800円】
【第69話:完】
【偉人の言葉】 「進歩とは、反省のきびしさに正比例する。
うーん。一話が長くなりすぎてきたな。一日を2話に分けたほうがいいか。。。




