14 朝
リセットは目覚めた。
「私……」
なんとなく変な感じがする。頭がぼんやりしていた。
「おはようございます」
召使いが部屋にやって来た。
リセットはこめかみを抑えた。
「お嬢様? 体調が悪いのでしょうか?」
「大丈夫よ」
リセットは答えた。
「では、予定通り王宮へ出かけるということで」
「そうね」
リセットは起きて身支度をした。
「おはよう」
「おはようございます」
リセットは朝食の席に着いた。
父親が新聞を読むのを中断する。
「今日も王宮へ行くのか?」
(今日も?)
リセットはなんとなく違和感を覚えた。
「第二王子殿下にご迷惑をかけていないだろうな?」
父親は懸念した。
「さすがに毎日王宮へ行くのはどうかと思うのだが?」
リセットは新聞の日付を確認した。
王太子の極秘視察予定日。
リセットは騎士見習いの姿で貧民街に同行したことを覚えていた。
(私、罠魔法の上にいて……)
頭がぼんやりした。
(王太子殿下が走って、足を動かすなと言われて……)
リセットは路地の奥にいた騎士を見たはずだった。
(制服の色合が違うと思って、偽者だって叫んだら足元が光って……)
リセットは痛みを感じて頭を抑えた。
「具合が悪いのか?」
「……大丈夫です」
(戻っているの? 過去に?)
だが、半年前ではない。当日の朝だった。
(絶対に王宮へ行かないと)
でなければ、ザカリアスを突き飛ばせない。罠魔法にかかってしまう。
リセットは震えた。
(私、死んでしまったのかしら……?)
だとしても、行かなくてはいけない。ザカリアスを救えているはずだと思った。
(あ、待って。もしかして、あの後で王太子殿下が死んでしまったとか?)
そのせいでやり直しになっている可能性をリセットは思いついた。
(確認するしかないわね)
誰がやり直しをしているのかもわかった。
リセットは朝食をすませると、王宮へ向かった。




