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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
10章 墓地エリア
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191話 ナイトメア

「うっ……」


まただ。


俺は再び変な夢の世界にいた。


となるとこれは前回の続きか?


周囲を見渡す状況は前回よりも酷く俺の周りには兵士達の死体が原型も残らないぐらいぐちゃぐちゃになって大地ごと抉り取られていた。


しかし、まだ兵士達は大量に残っており逃げ惑っていた。


そして、銃弾の嵐が止んで上空を覆っていた大量の黒い影が一斉に動き始めた。


遂に動き出したか……。


俺は余りの残酷さに気持ち悪くなる気持ちを抑えながらこの夢の真相を探ろうと意思を保つ。


臭いなどは感じない。


だが、この妙に生々しい夢に俺は空想の出来事とは思えなかった。


この夢には何かメッセージがあるはずだ。


聞いた事のある話だが、たまに別の場所で起こった事のある出来事を夢に見たりする能力を持った人がいると言う。


もしかしたら、それで俺に何かを送って来ている可能性も否定出来ない。


規模からしたらこれは戦争レベルだ。


そこから連想出来るのは、エルキンドが言っていた次元の戦争か?


いや、だが、エルキンドはこの巨大な大陸の様な大きさの船の事などは一切知らない様子だったし、エルキンドが少し語った次元の戦争とは内容が違う。


上空から降りて来た黒い影の正体は地面に近づけば近づく程鮮明に映る。


兵士だ。


恐らく向こうの巨大な船の持ち主の戦力の一部なのだろうがまず見た目に俺は違和感を覚える。


機械?


上空から降りて来た兵士達の姿はドラゴンの姿をしているものから武器を持った人間型までも様々だが、特徴がある。


全て、人工物の様な見た目をしているのだ。


身体は全身金属の様な物で出来ており、どこかメタリックだ。


恐らく、身体は鉱石で作られていると思われる。


だが、俺はあんな鉱石を見た事が無かった。


青く透き通った鉱石を使っているパーツもあれば黒くずっしりとした印象を受ける鉱石、虹色に輝く鉱石など様々な鉱石が合成されているのは言うまでも無い。


そして、何匹、いや何万いるかも分からない数のそのマシン兵達が動き出して地上の兵士達を蹂躙している。


強い。


一体一体が半端なく強いのだ。


それが、数え切れない程の数存在している。


最初は戦っている兵士達が弱いのかと思ったが、そうでも無い。


何故ならば、俺でも視認するのがやっとの速度なのだ。


それくらいの速度でマシン兵達は動いている。


そして、攻撃の余波で地面が次々と抉られていく様子を見るに火力も高い。


少なくともあのマシン兵一体相手でも俺達が戦った場合の勝ち目はゼロだ。


本当に次元が違うってのはこういう事かと痛感させられる。


そして、ドラゴン型のマシン兵は毒ガスの様な物をばら撒きながら戦っているのが見えた。


ガスがなくても厄介極りない強さだ。


俺が見た感じだとあのマシン兵一体一体がAランク相当の力は持っていると思った。


それ以上の事は分からない。


しかし、夢の世界なのか俺は蹂躙される兵士達を助けたくても干渉出来ない。


もしも干渉出来たとしても、俺は何も出来ないだろう。


悔しい……、悔しい……、








――そこで、俺の夢は途切れた。


「まぁ、座りなさい」


しかし、俺の夢は終わっていなかった。


目の前には長い髭を生やした老人が椅子に座って食事を取りながら俺に机を挟んで椅子に座る様に指示する。


その老人は年老いていても服や身なりを見る限り貴族と思われた。


そして、背筋はピンと伸びていた。


俺は言われるがままに椅子に座る。


ここは……俺達が寝付いた貴族屋敷か?


横からメイドの様な人が食事を俺の前に差し出す。


ん?ちょっと待て……状況が分からない。


先程の夢からの落差が大きすぎて俺の脳が付いて行かず、その場で俺は固まる。


「早く食べなさい……」


食事を取る様に催促されたが俺はそこで違和感に気が付く。


俺の服装が違う。


武器も鎧も身につけていないのだ。


そして、この場所は夢の世界だ。


干渉出来る筈が無いのだ。


いつもの俺だったならば、言われるがままに普通に食事を取っていただろう。


だが、先程の夢で気が立っていたせいか俺はその場でエンチャントを発動させて机を燃やす。


「何をしている!」


やっぱりな……。


干渉出来た。


そして……目の前の老人は姿を醜い悪魔の姿に変えて俺に向かって襲いかかる。


ナイトメアか……ナイトメアは取り憑いた相手の夢で相手を言いなりにする事で取り憑いた相手のマナや生気を吸い取るモンスターだ。


一度取り憑かれると普通は中々対処が難しいモンスターだが、俺はあの悪夢のお陰で対処する事が出来た。


ナイトメアは夢の世界で気付かれてしまうと、夢の世界を維持出来なくなる。


まぁ、気付かなかったとしても対象の全てを吸い取る程の能力は無い。


所詮はCランクモンスターだ。


夢の世界から出てきたナイトメアは物理攻撃も通用する。


ただし、催眠系の魔法に注意さえすれば大した事の無いモンスターである。


恐らく、俺が見張りをしている間に催眠系の魔法を俺にかけて取り憑いたのだろうな。






現実の世界に戻った俺はナイトメアを斬り伏せて倒す。


やれやれ、結局ずっと寝付けなかったな。


シェルター内の仲間は全員すでに起きており、俺待ちだったようだ。


俺の額からは大粒の汗が流れ出ており、ずっと魘されていた事が分かった。


まぁ、無事で良かった。


しかし、あの悪夢は何だったんだ?ナイトメアが見せた物とは思えないし……結局あの夢の謎は解けないままだった。


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