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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
10章 墓地エリア
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189話 怨霊

階層の狭間を抜けると不気味な笑い声が再び聞こえてくる。


「「ねぇ?「なぁ「あなた「さようなら」だれ」殺っちまおうぜ」遊びましょう」」


しかし、先程と違い頭の中に直接響いてくる事は無いが、憎悪の感情や喜びの感情、少女の声、少年の声、大人の声など聞こえてくる声は様々だ。


だが、この様な声を聞いて心地が良いとは一切思わなかった。


恐らく仲間もそうだろうな。


この声を聞いて心地が良いと思えるのは余程のサイコパス又は心霊学の研究などをしている感じのヤバい人位だろう。


いや、悪い意味で言ったわけでは無い。


偏見だと思うが、とにかく正常な精神を持った人間ならば心地良く思う事は無いとだけ言っておこう。


「気味が悪りぃな……」


添島も眉を顰めて背中の武器に手をかけていつでも剣を抜ける様に構えている。


階層の狭間を抜けると大きな門があり、二体の老人の様なアンデッドが門をガラガラと開けて俺達を出迎える。


俺達は戦闘準備をしていたが、この二体のアンデッドには敵意は無い。


ここはどこかの貴族の家か?そう思わせる場所だった。


目の前には大きな屋敷と庭があって屋敷までは三百メートル程は距離がある。


かなり巨大な屋敷だ。そして、その屋敷の後ろには巨大な城が見える。


正直通りたくは無いのだが、道がここしか無いので仕方がないだろう。


恐らく、四十四階層のマップシステムなのだろうな。


貴族屋敷?とでも言えば良いのか?


もちろん、人が住んでいる気配は無く辺りはシンと静まり返っている。


俺達はゆっくりと周りを警戒しながら足を進める。


貴族の屋敷だ。きっと罠などのギミックがあるに違いない。


「亜蓮、罠は?」

「罠の気配は感じられないが、今回の罠はあるとしたら魔法系が多いかも知れない」


亜蓮は少し考えてそう言って重光を見た。


成る程な、今回ばかりは重光にも聞いた方が良いって事か……確かに先程の罠も亜蓮は感知できていなかった。


階層の狭間という事もあって感知はし辛かったという事も多少はあるだろうな。


重光ならば多少の魔力は感知する事が出来る。

罠でなくても、魔力を感じれば対策を事前に施す事も出来るだろうな。


門を潜ると再び後ろの門が動き出して門が閉じて鍵がかけられる。


成る程、引き返す事は出来ないって事か……。


屋敷の玄関までは約三百メートルとかなり距離がある為何かが起こらない筈は無いと思う。


正直こんなに巨大な屋敷は見た事がない。


元々の設定としてはどれくらいの爵位の貴族が済んでいたのだろうか?


俺達は辺りを警戒をしつつも、世界遺産を見学する様なイメージで貴族の屋敷を眺めた。


庭には噴水や石像が立っている。


これ、動きそうだな。


(ギィッ)


やっぱりな。


石像の横を通り過ぎた途端ギシリと何かが軋む音がして石像がゆっくりと動き出した。


こいつの相手は添島が適任か?


「添島行けるか?」

「ああ」


薙刀を構えた石像がゆっくりと動き出し、そのまま真っ直ぐと武器を振り下ろす。


だが、その動きはここまで来た俺達にとってはゆっくりに見えた。


添島はそのまま大剣を盾にして攻撃を受け止めてそのまま大剣を盾のようにしたまま突き飛ばして衝撃波で石像を粉々にする。


「案外脆いな」


それは俺も思った。


流石にこれは脆すぎる。

ギミックとしても物足りないと俺達に思わせるレベルだ。


舐められているのか?

そう俺達が解釈してもおかしくないレベルでだ。


それから無駄に長い中庭を何事も無く抜けると玄関に鎖で繋がれた大きな犬が二匹見えた。


そして、貴族屋敷の中からは様々な楽器の音や音楽が聞こえて来て、俺達を不思議な感覚にさせた。


しかし、生き物の気配は一切俺達を感じさせない。

そうなると正体はアンデッドまたは貴族のゴーストか?


ゴーストにもレイスの様に耐性を持っている物もいる為無闇矢鱈に攻撃は出来無いのだが、大抵のゴーストに効く属性がある。


「アクア、頼む」

「キュイイ!」

「「ギィィィアアア!!!」」


「っ!?」


アクアが聖属性のドームを展開した瞬間屋敷の中から悲鳴が聞こえて音楽は止んで静かになった。


まさか、ドームを展開しただけで消滅するとは思わなかった。

再び辺りは静寂に包まれる。


戦闘になった場合にアンデッドモンスターやゴースト対策にドームを展開したつもりだったんだが予想以上の効果だ。


それと、ここまで広範囲でドームを展開する予定では無かったのだ。

アクアはゴーストの殲滅と勘違いしたのかも知れない。


「グルルルルルル……!」


そして、中が静かになったのと同時に家の前で鎖で繋がれていた番犬が立ち上がって威嚇をする様に喉を鳴らす。


まぁ、自分達の主がやられたのだから怒るのは当然か……。


俺達もそれに呼応する様に武器を構える。


だが、それと同時に俺の身体にドサっと何かが乗っかった様な感覚に襲われる。


「よくも、やってくれたワネ……」


俺は突然頭の真横から聞こえて来た声に血の気が一気に引いた。














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